当院では従来の小児鼠径ヘルニアの手術は、鼠径部の小さな切開で行っていました(図1)。1997年、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(LPEC法:Laparoscopic Percutaneous Extraperitonial Closue)が発表され、現在はLPEC法を標準術式とする施設も多くなっています。LPEC法の利点は、
①従来法で10%弱に存在する対側ヘルニアの確認と治療が同時にできる
②従来法と比べ手術手技が簡便である
③手術の傷が小さいこと
などのメリットがあります。
①おへその中央と右脇腹に、手術に使うカメラと器具の2カ所とヘルニアのある鼠径部に針を刺すだけです(図2)。
②ヘルニアの穴の閉鎖:腹腔鏡でヘルニアの穴の確認を行います。症状のない反対側にもヘルニアの穴があった場合は両側ともに閉鎖します。これがLPEC法の利点の一つです。ヘルニアの穴の閉鎖に用いる針に糸を2本付けて、ヘルニアの穴の周囲に糸を回し二重に結紮して穴を閉じます(図3)。
③臍の傷は、吸収糸で縫合して閉鎖します。針の刺入部はボンドで固定したら手術は終了です(図4)。 ④手術時間は、片側20分、両側30分程度です。全身麻酔で手術行いますが、麻酔をかけたり、起こしたりする時間を含めて1時間程度でお部屋に戻ってきます。
従来法とは術式の概念の全く異なるLPEC法は、術中操作は解剖学的にきわめて分かり易く、手技は容易であると言え、術創部が目立たないことが特徴です。
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