診療放射線技術部は76名の診療放射線技師で構成され、診療施設部門である画像センター、救命センター、手術IVRセンター、放射線治療センター、内視鏡センターで各診療科の医師、看護師、事務職員等のスタッフと協働して、さまざまな検査や治療を担当しております。質の高い情報を提供するために、安全管理、多職種との連携、医療被ばくの最適化を行っています。診療放射線技術部では専門資格を取得した技師が多数在籍しており、患者さんに安心・安全な検査や治療が受けられるよう日々努めています。
診療放射線技術部
参事 森 寿一
一般撮影検査とは、放射線の一種である「X 線」を用いて、体内の構造物の吸収差を利用して画像にする検査で、いわゆる「レントゲン写真」の事です。レントゲン写真は「白黒写真」で、X線を吸収しにくいもの(空気など)は黒く表現され、X線を吸収しやすいもの(水や骨)は白く表現されます。レントゲン写真は2次元画像のため、診断目的によっては2方向以上撮影する事があります。
当部門では胸部・腹部撮影や、骨・関節撮影、病室でのポータブル撮影を行っています。放射線は怖いというイメージがあると思いますが、当部門ではすべての部位について撮影条件の最適化を行っており、低被ばくで高画質な診断価値の高い画像を提供しています。また、その日に撮影された画像について、毎日夕方にカンファレンスを行い、診断価値の高い画像が提供できるよう、様々な情報の共有や撮影技術の向上に努めています。
X線を用いて身体の中の臓器を映し出し、その画像をリアルタイムで観察しながら検査・治療を行います。また、バリウムなどの造影剤を使用することで胃や大腸などの臓器を写すことができます。他にも多くの透視を用いた検査があり、超音波装置や内視鏡検査と併用してさまざまな検査・治療を行っています。
骨塩定量検査は、骨の中に含まれるカルシウムなどのミネラル成分の量(骨塩量)を定量的に測定する検査です。骨粗鬆症の診断や治療の経過観察、体組成(体内の水分量などを含む筋肉量・脂肪量)の測定に用いられます。2種類の異なるエネルギーのX線を照射し、骨と軟部組織の吸収率の差により骨塩量を測るDXA法(Dual Energy X-Ray Absorptiometry)を用いて検査を行っています。
マンモグラフィとは乳房のレントゲン撮影のことです。乳房専用の装置を使用し、しこりや乳がん初期症状の一つである微細な石灰化を写し出すことができます。
当院は日本乳がん検診精度管理中央機構の認定施設であり、マンモグラフィ認定資格を持った診療放射線技師が多数在籍しています。
また、2015年には関連病院の診療放射線技師を中心とした啓発団体「Smile Mamma Marianna(スマイルマンママリアンナ)」を発足し、一般の方を対象に乳がん検診の啓蒙活動をしています。
CT検査はX線とコンピュータを利用して、大きな苦痛を伴わないで身体の内部の臓器や病気を詳しく調べる検査です。全身どの部位でも適応があり、短時間で検査可能のため緊急的検査にも対応しています。当院では診断用X線CT装置を5台設置し、検査台を動かさなくても脳や心臓の範囲を検査できる装置や、病変をよりわかりやすくすることができる新しい装置を導入し、より少ない被ばくで高精度な検査を実現しています。得られたCT画像を利用して、立体的な血管の観察や内視鏡のように胃や大腸の内腔を観察することができる画像を作成し、高精度の画像診断や手術前支援などあらゆる場面で活用しています。検査は造影剤を使用しない単純CT検査と使用する造影CT検査を目的や部位に合わせて実施しています。当院ではX線CT認定技師を中心に、安全な検査方法の確立や被ばく線量の管理、装置の精度管理をしっかりと実施していますので安心して検査を受けてください。
MR検査は、非常に強力な磁力と電磁波を使用して身体の中の情報を得る検査です。さまざまな断面での観察が可能で、X線を使用しないため放射線による被ばくの心配がありません。強力な磁力のため検査室に金属類などを持ち込むことができません。そのため検査着に着替えていただき、入室の際には磁性体探知機による確認を行います。検査時間は30分から60分前後と長く、検査中は動かずにいることがとても重要となります。検査の目的によっては造影剤を使用する場合がありますが、使用の際は細心の注意を払って行います。また、緊急事態に対応するため、日ごろから訓練を重ね万全の体制を整えています。
微量の放射線を放出する医薬品を身体に投与し、疾患や臓器の機能を画像化する検査になります。投与する医薬品の数量は少なく、また、時間と共に体内から消失しますので、放射線の影響は、無視できるほど僅かになります。なお、PET(陽電子断層撮影)検査も核医学で行っている検査の一つになります。当院では従来よりも画質の向上した半導体検出器を用いたPET/CT装置を導入しています。
血管造影検査とは血管内にカテーテルという細い管を挿入し、造影剤という血管を写すことができる医薬品を注入して、血管の走行や状態を撮影する検査です。診断だけではなくIVR(Interventional Radiology)と呼ばれる画像下治療を行っています。各種ドレナージ術や生検などの非血管系IVRのほか、止血術、血管形成術、血栓回収術などの血管系IVRがX線透視やCTなどの画像を用いて行われています。
放射線治療は手術、薬物療法と並ぶ、がん治療の3本柱の1つとなっています。薬物療法は全身を、手術、放射線治療は主に局所を対象としたがん治療です。同じ局所治療でも、形態や機能を温存できる治療とされるのが放射線治療の特徴です。がん治療は根治的治療・姑息的(緩和)治療に分けられますが、当院はどの治療にも広く対応する最新のリニアック (外部照射装置) 2台とラルス装置 (RALS:RemoteAfterLoadingSystem・内部照射)でがんの集学的治療に取り組んでいます。最新のリニアック装置は広い範囲を対象とした回転IMRTや極めて小さな照射領域にピンポイントで集中させる機能を有し、X線画像誘導機能や呼吸同期機能、近赤外線による仮想体表画像を作成する機能を駆使して、その照射位置ずれを1mm以下の精度で合わせる治療も行っています。安全で質の高い放射線治療を達成するために、最新の装置を取扱う教育(知識・技能)、管理が必要です。そのために放射線治療認定医資格、放射線治療専門放射線技師資格、医学物理士資格、放射線治療品質管理士資格、がん放射線療法認定看護資格を有するスタッフが対応しています。
【臨床試験部会 承認番号】 6087
【実施責任者】 小川 泰良(診療放射線技術部 診療放射線技師)
【実施期間】2023年7月25日~2024年9月30日
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認知症(老年精神疾患)治療研究センター