室長
縄田 寛(主任教授)
臓器移植医療とは、健康な方から臓器を提供していただく「生体移植」だけでなく、亡くなられた方からの善意による臓器提供によって行われるのが本来の姿であると考えています。
歴史を振り返りますと、日本では1997年に「臓器移植法」が施行されました。当初、心停止下の臓器提供はご家族の承諾のみで可能でしたが、脳死下の臓器提供には本人の書面による意思表示とご家族の承諾の両方が必要でした。その後、2010年の改正法により、本人の意思が不明な場合でもご家族の承諾があれば脳死下の臓器提供が可能となり、それに伴って15歳未満の脳死下臓器提供も可能となりました。
その後、臓器提供数は増減を繰り返しながら、2019年には125件(心停止下28件、脳死下97件)に達し、社会の中で選択肢としての認識が着実に広がりつつあることを示しました。COVID-19感染症の蔓延により一時は年間70件台まで減少しましたが、地道な普及啓発活動もあり、近年は再び増加傾向にあります。2024年は138件(脳死下130件、心停止下8件)、さらに2025年には158件(脳死下146件、心停止下12件)となり、これまでで最も多くの意思が繋がる結果となりました。
臓器提供数が増加傾向にある一方で、移植を待機されている方々の現状は依然として厳しく、深刻な臓器不足が続いています。移植を受けられた方の平均的な待機期間は、肝臓で約1年、肺で約2年半、膵臓で約3年半、心臓で約5年、小腸では約10ヶ月となっており、特に待機者の多い腎臓移植においては約15年という長い年月を要しているのが実情です。いまなお多くの方々が限られた時間の中で移植の機会を待ち望んでおられます。
当院では2007年4月に移植医療支援委員会を立ち上げました。2008年7月からは移植医療支援室として活動を開始し、終末期の最期の選択の一つとして、臓器提供を希望される患者さんやご家族の提供意思を生かすために、臓器・組織提供が発生した際に迅速に対応できる院内のシステム構築や、院外、特に教育機関等での普及啓発活動も積極的に行っています。また当院は、腎移植施設でもありますので、腎臓移植に関する対応も行っています。
移植医療に関してご相談、ご質問等ありましたら、いつでも移植医療支援室にご連絡ください。
移植医療支援室は移植医療における提供側および移植側の両方の立場に立ち、特に臓器・組織提供について「提供を希望する・希望しない」、もしくは「臓器・組織提供、移植医療について知りたい」などの意思を生かせる院内体制を整えています。スタッフは8名ですが、院内には医師や看護師、臨床検査技師など、各専門分野の院内コーディネーターが在籍しており患者さんやご家族のご希望に応じて対応しています。
腎移植は血液透析、腹膜透析と並び、腎不全の治療の一つとしてすでに確立された治療法です。日本では年間約2,000件前後もの腎移植を行っており、当院では2026年3月までに310件の腎移植を行いました。当院腎臓病センターでは、腎泌尿器外科、腎臓・高血圧内科、移植コーディネーター、外来・病棟・透析室看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、透析・検査技師、移植医療支援室スタッフなど様々な職種が協力し、患者さんにとってベストな治療となるように対応しています。
院内では、ポスターの掲示や意思表示カードの設置を行っています。エントランス棟1階総合受付前、マリア像前待合所など数カ所に設置してありますので、ぜひお手に取ってご覧ください。また、地域啓発活動として「オープンホスピタル」にも出展しています。臓器提供意思表示カードの配布をはじめ、クイズやアンケート、相談コーナーなどを通じて、楽しみながら移植医療への理解を深めていただける活動を行っています。ご質問等あればお気軽に声をかけていただければ幸いです。
お問い合わせ先 044-977-8111(平日8:30~16:30)
臓器・組織提供、腎移植に関するご相談やお問い合わせ
(入院患者様は病棟の担当医師または看護師へご相談ください。)
移植医療支援室が中心となり関連病院での臓器・組織提供や移植医療に関しても迅速に対応できるように連携を図っています。
また、日本臓器移植ネットワークなどの関連機関とも連携を図っており、安全かつ適切な移植医療の提供に努めています。
一般の方々への移植医療の正しい知識を提供する講演会や、医療従事者を対象としたセミナーや講演会を随時開催しています。
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認知症(老年精神疾患)治療研究センター