正常な性生活を営んでいるにもかかわらず1年以上経っても妊娠に至らない場合を不妊症といいます。不妊のカップルは約10組に1組といわれていますが、結婚年齢の上昇に併ってその数は増えています。その原因は様々であり、原因不明の場合も少なくありません。最近では男性側の要因も少しずつ明らかとなって不妊の原因は女性側1/3,男性側1/3、双方の原因1/3と約半数は男性にも原因があります。従って本人だけでなく、ご主人の検査もされることをお薦めします。ほとんどの症例はタイミング指導や薬物療法などで妊娠に至りますが、人為的な技術が必要となる場合があります。このような医療技術を生殖補助技術(Assisted Reproductive Technology:ART)と言われています。生殖補助技術には、体外受精・胚移植、顕微受精、受精卵凍結・解凍移植などが含まれます。
生殖医療センターは、この生殖補助技術を用いた治療を主に行う部門として設置されました。近年の生殖医療の進歩にはめざましいものがあります。生殖補助技術を行うには、専門的な知識・技術が必要です。大学病院の特性を生かし、専門的な手術や検査も行っています。当センターには、他の病院で断られるような合併症のある患者さんやなかなか妊娠に至らなかった難治性不妊の患者さんも多く受診されています。またこの治療は、カップル単位の医療であり当生殖医療センターでは男女両面からのサポートをする診療を心掛けています。このような高度医療を行うための診療科間の連携を保つために生殖医学の基礎研究者も本センターに加わりました。またこのセンターは精子・卵を扱うことから本学の生命倫理委員会の管理下に運営されています。
センター長
鈴木 直(主任教授)
40歳前で閉経状態になってしまう女性は30代で100人に1人います。そのような方は今まで妊娠は不可能とされてきました。卵巣に対して適切な高刺激を与える治療を行うことで当院では約25%の方が卵胞発育を認めました。 月経が止まってしまってからなるべく早く治療を開始することが大切です。特殊な手術 (IVA:卵巣活性化手術)が必要な場合は、手術可能な施設に紹介させていただきます。
抗がん剤治療などにより将来卵巣機能障害を起こす可能性のある患者さんの相談をうけ、希望された方に妊孕性温存治療として卵巣・ 卵子・胚卵巣・精子の凍結保存を行っています。特定非営利活動法人日本がん・生殖学会 (JSFP)を設立して日本におけるがん・生殖医療の実践と啓発を目指した活動をしています。
当院では卵管が狭窄・閉塞している患者さん に対して、卵管鏡下卵管形成術(FT)を行っています。FTはカテーテルを経膣的に子宮へ挿入しカテーテルのバルーンを膨らませて卵管口から卵管内 へ進め、詰まっている部分を拡張する手術です。保険適応があり、日帰りで行うことができます。卵管閉塞があるまたは疑われる方は是非ご相談ください。手術の後は、紹介元の病院にて引き続き治療が可能です。
外来診療は、生殖内分泌外来で行っています。産婦人科外来と少し離れた皮膚科の前で診療しています。 また妊娠された場合も引き続き産婦人科外来にて妊娠管理させていただいております。
一般初診:月~金の午前11時まで
早発卵巣不全初診:完全予約制になります。お電話にて予約をお取り下さい。
がん・生殖医療外来初診:予約制になります。お電話にて予約をお取りください。(緊急時は適時受け付けております。)
再診:月~金 9:00~16:00まで
月~金 9:30~16:00
生殖内分泌外来
産婦人科
産婦人科外来表参照
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | |
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採卵件数 | 501 | 537 | 310 | 339 | 305 |
新鮮胚移植件数 | 53 | 58 | 23 | 11 | 6 |
凍結融解胚移植件数 | 249 | 249 | 187 | 197 | 180 |
卵巣凍結件数(がん・膠原病) | 13 | 17 | 13 | 14 | 11 |
卵子凍結件数(がん・膠原病) | 9 | 10 | 12 | 16 | 34 |
子宮鏡 | 58 | 44 | 72 | 84 | 52 |
IUI | 211 | 183 | 165 | 241 | 227 |
卵管鏡下卵管形成術(FT) | 2 | 3 | 6 | 16 | 7 |
今後、生殖医療に応用される以下の新しい技術の基礎的研究を行っています。
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認知症(老年精神疾患)治療研究センター