HTLV-1は、Human T-cell Leukemia Virus type I(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)の略称で、ヒトに感染するレトロウイルスの一つで、血液中のT細胞に感染します。血液中の白血球の一つであるリンパ球のうちのT細胞に感染します。
HTLV-1は感染しても特に症状はありません。HTLV-1に感染した人の約95%は生涯にわたりHTLV-1感染が原因となって起こる病気を発症せず、感染していない人と同じように生活することができます。無症状のままHTLV-1というウイルスを持続的に保有している人のことを「HTLV-1キャリア」と呼びます。
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よくわかるHTLV-1(厚生労働省)
HTLV-1情報ポータルサイト
HTLV-1キャリア診療ガイドライン
HTLV-1キャリアは、生涯のうちに約5%の頻度で成人T細胞白血病・リンパ腫(adult T-cell leukemia-lymphoma:ATL)とよばれる血液の病気を、約0.3%の頻度でHTLV-1関連脊髄症(HAM)とよばれる神経の病気などを発症します。
ATLはHTLV-1に感染したT細胞が長い年月をかけてがん化することによって起こる病気で、白血病・リンパ腫の一つです。ATLは、血液中に異常リンパ球がどのぐらいあるか、リンパ球が増加しているか、LDH(乳酸脱水素酵素)やカルシウムが増えているか、腫瘍がどこにあるかにより、急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型の4つの病型に分類されます。
急性型、リンパ腫型、慢性型のうち予後不良因子(血液検査項目のうち、LDH高値、アルブミン低値、BUN高値のいずれか1つ以上が該当)がある場合は、進行が速いことが多く「アグレッシブATL」とよばれます。一方、予後不良因子がない慢性型とくすぶり型は比較的経過が緩やかであるため、「インドレントATL」とよばれます。アグレッシブATLは、急速に症状が進行することが多く、早急な治療を必要とするため、抗がん剤による化学療法が行われます。また70歳未満でドナーが見つかった場合には造血幹細胞移植も行われます。死に至る可能性がある病気です。また、インドレントATLは、通常は症状がないため、厳重な経過観察を行います。皮膚病変などがある場合は、局所外用剤や紫外線照射などによる治療が行われます。しかし、経過中、急性型に移行する場合があります(急性転化といいます)。急性転化までの期間は人によって大きく異なりますが、急性転化した場合は、アグレッシブATLとして治療を行います。
HTLV-1に感染している患者さんを対象とし、以下を行う外来です。
① 現在の状況(ATLなどの疾患への進行の有無)を調べます。
② 今後の起こりうる状況を想定し、患者さんに状況を説明します。
必要時には、適切に早期の治療介入をします。
③ HTLV-1感染による不安や疑問にできる限りお答えします。
外来日:毎週木曜 9:00 ~ 16:00 (担当:渡邊・大島)
受診をご希望の方は、ご予約の上、外来を受診してください。紹介状をご準備いただけるとありがたいですが、検査でHTLV-1陽性と言われた場合、検査結果が判明していなくてもご家族がATLを発症され、ご不安がある場合等でも受診可能です。
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