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専門外来のご案内

血管腫外来

いちご状血管腫(乳児血管腫)

自然経過と治療

  1. 通常、1歳までは増大傾向があり、5〜6歳までは大きさは変わらず、以降自然に消退します。
  2. 一般的には治療せず経過観察します。
  3. 臓器障害(呼吸、肝臓、視力、関節など)、出血などの症状が出た場合や美容上の問題で家族が希望する場合、ステロイド、レーザー治療、手術などが行われています。

βブロッカー治療

2008年にフランスから、βブロッカー治療が報告されました(インターネットで閲覧できます:Propranolol for Severe Hemangiomas of Infancy. N Engl J Med 2008; 358:2649-2651)。以降、多数の論文が発表され、従来の治療にすべての面で優ると結論付けられています。βブロッカーは、元来、高血圧、狭心症、不整脈などの心臓に対するお薬です。これまでのステロイド療法と比べると効果だけでなく、副作用も極めて少ないことも特徴の一つです。日本では2016年9月にようやく保険適応となりました。

これまでのお薬の治療の比較
費用 効果(%) 使用開始 副作用
ステロイド 保険適応 30〜80 1968年~ 長期投与で
インターフェロン 高価
(適応外)
不明 1989年~ 永続的な神経障害
βブロッカー 安価
(保険適応)
80~90 2008年~ 少ない

当院は2011年からβブロッカー治療を導入しました。医療者もびっくりするほどの効果があります。βブロッカーは心臓のお薬なので、内服を開始するときには入院(2泊3日)をして、治療開始前後で副作用の確認をします。安全性が確認できたら以降は外来での治療を進めます。

治療薬の投与を開始するタイミングは、血管腫の増大期(乳児期)から始められることが理想と考えていますが、1歳を越えた児に対しても有効性な場合があります。治療薬の投与期間は、血管腫が増大する1歳まで投薬しています。1歳以降に治療開始した場合は、6ヶ月間を目安にしています。主な副作用は、低血圧、低血糖、喘息、心拍数の低下、不整脈、興奮などです。投薬終了後に、血管腫が再び大きくなることがありますが、βブロッカーを再開すると再び縮小します。

当院の成績は(平成29年5月現在、30人以上に投与して副作用は2人(蕁麻疹、喘息)。約9割の患者さんで、その効果が確認されました。治療終了後に再び赤くなってきた症例は6人ですが、再投与で薄くなりました。以下に示す写真はご家族の了解を得て掲載しています。

治療方法でお悩みのご家族がいらしたら、気軽にご相談ください。