2008年にフランスから、βブロッカー治療が報告されました(インターネットで閲覧できます:Propranolol for Severe Hemangiomas of Infancy. N Engl J Med 2008; 358:2649-2651)。以降、多数の論文が発表され、従来の治療にすべての面で優ると結論付けられています。βブロッカーは、元来、高血圧、狭心症、不整脈などの心臓に対するお薬です。これまでのステロイド療法と比べると効果だけでなく、副作用も極めて少ないことも特徴の一つです。日本では2016年9月にようやく保険適応となりました。
費用 | 効果(%) | 使用開始 | 副作用 | |
---|---|---|---|---|
ステロイド | 保険適応 | 30〜80 | 1968年~ | 長期投与で |
インターフェロン | 高価 (適応外) |
不明 | 1989年~ | 永続的な神経障害 |
βブロッカー | 安価 (保険適応) |
80~90 | 2008年~ | 少ない |
当院は2011年からβブロッカー治療を導入しました。医療者もびっくりするほどの効果があります。βブロッカーは心臓のお薬なので、内服を開始するときには入院(2泊3日)をして、治療開始前後で副作用の確認をします。安全性が確認できたら以降は外来での治療を進めます。
治療薬の投与を開始するタイミングは、血管腫の増大期(乳児期)から始められることが理想と考えていますが、1歳を越えた児に対しても有効性な場合があります。治療薬の投与期間は、血管腫が増大する1歳まで投薬しています。1歳以降に治療開始した場合は、6ヶ月間を目安にしています。主な副作用は、低血圧、低血糖、喘息、心拍数の低下、不整脈、興奮などです。投薬終了後に、血管腫が再び大きくなることがありますが、βブロッカーを再開すると再び縮小します。
当院の成績は(平成29年5月現在、30人以上に投与して副作用は2人(蕁麻疹、喘息)。約9割の患者さんで、その効果が確認されました。治療終了後に再び赤くなってきた症例は6人ですが、再投与で薄くなりました。以下に示す写真はご家族の了解を得て掲載しています。
治療方法でお悩みのご家族がいらしたら、気軽にご相談ください。
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