認知症(老年精神疾患)治療研究センターは平成2年に設置され、平成8年より病院の診療施設として継続的に機能しています。平成24年12月からは「認知症疾患医療センター(川崎市北部・地域型センター)」として川崎市の認定も受け、活動を続けています。当センターは多職種(医師、臨床心理士、認定看護師、精神保健福祉士、音楽療法士 等)で構成されており、老年期にみられる認知症やその他の精神疾患について、検査・診断から初期治療、そして支援に取り組んでいます。また、認知症を心配されている65歳未満の方々のご相談もお受けしております。
現在の活動としては
が主な活動内容となっています。
これらの活動の多くは「認知症疾患医療センター」が全国で制度化する以前よりスタートし、以来脈々と受け継がれ、行われてきたものです。
高齢者の方々に生じる精神面の問題は、心理社会的な要素や身体疾患の影響等、複数の要因がときに複雑に絡み合います。認知症のみならず、不安症やうつ病、妄想性障害といった各種の病態が生じ得ます。また、認知症の前段階として不安症やうつ病が先行する事例があることが近年あらためて注目されてきています。こうした背景を考慮し、当センター「高齢者専門外来」では認知症の専門診断のみならず、老年期の精神疾患全般についてご相談に応じる取り組み(「高齢者専門外来」)を開始しております。初診時に医師診察および専門心理士による心理検査を実施致します。
認知症診断に関しましては、外来検査、1日検査入院をそれぞれ設け、ご相談内容に応じて適宜精査の予定を組んでいます。当センターでは、当学元学長・長谷川和夫先生が開発された長谷川式簡易知能評価スケール(改訂版)によるスクリーニング評価だけで捉えきれない、より軽度の記憶障害に関して、専門心理士が聖マリアンナ医科大学式コンピューター化記憶機能検査(改訂版)(St. Marianna University School of Medicine’s Computerized Memory Test: STM-COMET Ver.Ⅱ)を用いて評価致します。その他、目的に応じた詳細神経心理検査を実施しています。また、神経画像検査(頭部MRI、脳血流SPECT、ドパミントランスポーターイメージング、MIBG心筋シンチグラフィ)、血液検査を適宜用いて、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、血管性認知症等の診断を行っています。
認知症の診断のあとには治療・支援をどう行っていくのか検討することが大切です。現在の医学では多くの認知症は治癒することが難しいですが、症状を和らげるために薬物療法は有効な手段のひとつです。そして薬物以外のアプローチもとても重要です。当センターでは医師による診療のみならず、上記の電話相談、認知症介護相談、コーラス活動などがあり、チーム一丸で認知症のことを総合的に考え、支援していきます。当院の関わりだけですべてのことが解決するわけではありませんので、介護するご家族に向けた「認知症はじめて講座」や地域住民の啓発活動(公開講座)の実践、患者さんにかかわる施設職員の援助や研修、近隣医療機関との情報交流などを行っています。こうした関わり全体が、広い意味で認知症のより良い理解、支援に繋がっていくものと私たちは考えています。
センター長
笠貫浩史(教授)
外来受診および入院される高齢者の患者様に対する診断・治療・支援について積極的に関わっております。
かかりつけ医より当院メディカルサポートセンターを通して診察日を予約してください。
診察時間 | 木曜13時30分~14時30分 高齢者専門外来を受診後、一般血液、生化学、血清検査、形態画像検査、核医学検査、神経心理学的検査などを適宜施行していきます。 |
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認知症診断に必要な複数の検査を、日帰りで終わらせることができる、患者さまやご家族の都合に配慮した短期入院です(別館2階南 神経精神科病棟への一日入院)。
当教室が開発したコンピュータを用いた記憶機能検査。認知症スクリーニング検査として用いられる改訂版長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)と組み合わせることで、診断制度が上がるため、アルツハイマー型認知症の早期介入に有効です。外来・一日検査入院で主に実施されている検査です。
神経精神科では、運転免許更新の際に診断書提出が求められた患者さまに対し、一日検査入院等を利用して診断書作成に必要な検査を実施しています。
神経精神科医師、臨床心理士、認知症看護認定看護師、精神保健福祉士が講師となり、認知症の疾患理解・症状理解・対応方法・介護の工夫・社会資源の情報などについての講義を行います。参加対象は神経精神科外来を受診した認知症患者さまを抱える家族の方々です。
開催日 | 1クール3セッション(水曜日14時から1時間で実施) |
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開催予定 | 随時 神経精神科外来にてお知らせ |
認知症看護認定看護師による認知症患者さまやご家族の介護・生活相談面接です。
対象者 | 神経精神科外来の患者さまとその家族 |
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相談料 | 無料 |
相談日 | 平日応相談(神経精神科外来看護師に問い合わせください) |
神経精神科に所属する精神保健福祉士が電話で対応し、専門医や他の関係機関につなぎます。また臨床心理士や看護師が介護相談や治療導入までのサポートを含めた支援を面接で対応いたします
受付時間 | 月曜~金曜 9時30分~16時30分 |
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相談料 | 無料 |
連絡先 | 044-977-6467 |
フロイデンコーアとは『喜びの合唱』という意味です。合唱を通じて認知症患者様とそのご家族を支える非薬物療法的介入です。昔懐かしい唱歌や世界の愛唱歌を歌い、合唱に取り組むことで『生きる自信や喜びにつながり、病気であっても豊かな生活が送れる』といった認知症に対する理解・認識を深めます。また発表会や出張コンサートなどによる啓蒙活動も行っています。
※指揮者、ピアニスト、音楽療法士を中心に活動を行っています。随時見学を受け付けています。申込用紙は下記よりダウンロードしたものを印刷するか、外来受付もしくは主治医からいただき、外来受付もしくは主治医に提出してください。
活動日 | 毎週火曜日15:00~16:00 |
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<開 催 日> 3月・6月・9月・12月の第3水曜日
<時 間> 13時30分~15時30分
<場 所> 院内施設(適宜場所の変更があります)
<参 加 費> 飲み物代のみ
<内 容> 介護者同士で情報交換をしませんか。
外来通院中の認知症を抱える患者家族が対象です。
参加には事前登録が必要です。
<問合せ方法> 精神保健福祉士:久米
臨床心理士 田所・木下まで
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認知症(老年精神疾患)治療研究センター