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糖尿病センター

糖尿病センター

センター長

曽根正勝(主任教授)


糖尿病について

「血糖の数字が高いと、なぜ病院にかからないといけないのか?
ちょっと喉が渇くだけで他に苦しいところもなくて、特に困っていないのに・・・」と疑問を持たれる方も多いと思います。

糖尿病の怖いところは、サイレントキラーと呼ばれていて、自覚症状がないうちに、体の臓器が徐々に蝕まれていくことです。


血糖値が高いと、徐々に血管の障害が進んでいきます

細かい血管が障害されることにより、腎臓の障害(タンパク尿、腎機能低下など)、眼の障害(糖尿病性網膜症、硝子体出血、白内障など)、神経の障害(足のしびれや疼痛、感覚異常、勃起障害、自律神経障害など)が起こります。日本の透析患者の原因第1位は糖尿病です

大きな血管が障害されると、心筋梗塞や脳卒中、下肢の血管の閉塞などが起こります。これらは、運動障害や麻痺、下肢切断などの重大な後遺症の原因となり、死亡の原因にもなります。


血糖値が高いと、感染症を起こしやすくなります

血糖値が高いと、下肢の壊疽や、肺炎、腎盂腎炎、蜂窩織炎、歯周病など、多くの感染症を起こしやすくなり、また重症化しやすくなります。


最近の研究では、血糖値が高いと、がんの死亡率が高くなることもわかってきています

最近の研究では、2型糖尿病がある人では、大腸がん、膵臓がん、肝臓がん、子宮内膜がんなどの死亡率が1.5倍以上に増えることが示されています(Diabetologia. 2023, 66(4), 657-673.)。


血糖値が高いことと、認知症やサルコペニア・フレイルが関連していることもわかってきています。

年齢を重ねると多くなる認知機能低下やサルコペニア・フレイルは血糖値が高いとより進行する可能性があります。


血糖値が高いまま放置すると、急性代謝失調で死亡することもあります

血糖値が高いまま放置すると、糖尿病性ケトアシドーシス(血液にケトン体が増えすぎて、血液が酸性に傾き、悪心、嘔吐、腹痛や意識障害を引き起こす)、高浸透圧高血糖状態(高い血糖値とそれに伴う脱水により、ショック状態や意識障害を引き起こす)などの急性代謝失調を引き起こし、時には死に至ります。

ですので、糖尿病は、自覚症状がない初期段階から適切な治療を行い、合併症を未然に防ぐことが重要になります。

聖マリアンナ医科大学糖尿病センターでは、医師・看護師・管理栄養士・薬剤師・理学療法士・ソーシャルワーカーなど多職種で連携し、上記のような合併症を起こさないために糖尿病とともに生きる方の治療に取り組んでいます。



糖尿病センターの病診連携

当センターでは、地域の医療機関と連携し、普段の外来は地域の医療機関に通院していただき、下記のような必要なポイントで当院を利用していただくという病診連携を推進しています。


 

・糖尿病教育入院(1~2週間)

糖尿病とその合併症について学び、患者さんに応じた適切な治療サポートを行うとともに、患者さんの合併症や膵臓の機能をチェックし、適切な治療方針を決めます。入院中は各専門職種による集団の講習と、個別の治療サポートを提供します。

・治療再構築入院(1~2週間)

糖尿病の治療がうまくいかない場合に、膵臓がんやホルモンの病気など他の原因が隠れていないか、合併症の状態はどうか、膵臓の機能はどのくらい残存しているかなどを詳しく調べ、普段の生活環境も考慮し、個々の患者さん毎に最適な治療に再構築します。

・血糖管理デバイスの導入

持続グルコースモニタリング(CGM)、インスリンポンプ療法、センサ付きインスリンポンプ(SAP)療法、ハイブリッドクローズドループなどのデバイス(詳しくは後述)を導入し、習熟いただきます。

 


当センターでは、2型糖尿病だけでなく、自己免疫により膵臓の機能が低下して起こる1型糖尿病をもつ方も多く、その他の原因の糖尿病の加療も専門的に行っています。

皮下に刺した細いセンサにより皮下の間質液中の糖濃度(グルコース値)を持続的に測定する持続グルコースモニタリング(CGM)、CGMを簡便化し肩に500円玉大の装置を貼るだけでグルコース値をモニタできる間歇スキャン式持続グルコースモニタリング(FreeStyle リブレ®など)、インスリンを自動で皮下に注入するインスリンポンプ療法、CGMとインスリンポンプを組み合わせたセンサ付きインスリンポンプ(SAP)療法、グルコース値に合わせ機械が自動で基礎インスリンを増減し血糖を目標範囲内に維持してくれるハイブリッドクローズドループなどの最新のデバイスを用いた治療を導入しています。

 

また、当センターでは、妊娠糖尿病(GDM)・糖尿病合併妊娠の加療にも経験豊富な専属の医師を置き、プレコンセプション・ケアも含め、専門的に取り組んでおります。産科・小児科を中心とした総合周産期母子医療センターと連携し、母子ともに安全に出産を迎えていただける態勢を整えています。

 

さらに、糖尿病を含む多くの病気の原因となる「肥満症」についても、

 

・外来における栄養指導と薬物療法導入

当院では肥満症治療薬であるウゴービ®が導入可能です。ただし、肥満度や合併症の有無により導入できない場合があります。また,保険適応上、導入前には最低6カ月間の生活指導(2か月毎の栄養指導)を受けていただく必要があります。

 

・15日間の肥満減量入院プログラム

などでの専門的な加療を行っています。

業務の案内

詳細は代謝・内分泌内科ホームページをご覧ください。

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