診療科・部門等一覧
乳腺・内分泌外科
診療科所在地
■病棟 病院本館8階西
■外来 病院本館3階
ご挨拶

乳腺・内分泌外科は、乳癌、甲状腺癌などの悪性疾患を中心に乳腺疾患、甲状腺・副甲状腺疾患を治療しています。年間手術症例数は原発性乳癌が約700例、良性乳腺疾患が約100例と豊富な手術症例を誇っています。また、甲状腺・副甲状腺疾患も年間約30症例を行っています。
原発性乳癌症例の約50%弱に乳房温存手術を行っています。診断には、マンモグラフィや超音波検査、当院で開発した高分解能MRIを用いています。高分解能MRI、3次元CTにより切除範囲の決定を行い、癌の範囲や進展が複雑な症例にも安全、正確に乳房温存手術を行っています。また、2019年度は、腋窩郭清の省略を目的としたセンチネルリンパ節生検を、約450症例行いました。この手技は、腋窩郭清に伴う知覚鈍麻や上腕のリンパ浮腫を防ぐ最善の方法です。入院日数も短縮できます。また、マンモグラフィ上の石灰化のみで腫瘤を触れない症例に対して、吸引式針生検装置(マンモトーム)を用いて、腫瘤非触知乳癌の早期診断を行っています。術前化学療法によって、腫瘍縮小効果が得られた症例に対して、乳房温存手術の適応を広げています。乳房切除術(全切除)が必要な患者さんには乳房再建術(人工物、自家組織)のオプションも提示し、施行しています。
家族歴を有する乳癌患者さんに対しては遺伝診療部と協力し、遺伝カウンセリングを行っています。遺伝子検査やリスク低減の予防手術に関してもオプションを準備しております。
また、他病院からの紹介を含めて、進行再発(転移)乳癌症例に対して、関係各科と協力し化学療法・内分泌療法・放射線療法を組み合わせた集学的治療を行っています。さらに、複数の治験・臨床試験を進行させています。
外来担当表
初診外来 | 再診外来 | 専門外来 | ||
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月 | 午前 |
(交替制) |
津川浩一郎 部長(再診のみ) |
|
午後 |
津川浩一郎 部長(再診のみ) |
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火 | 午前 |
(交替制) |
小島康幸 副部長 |
|
午後 |
小島康幸 副部長 |
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水 | 午前 |
(交替制) |
志茂 新 |
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午後 |
志茂 新 |
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木 | 午前 |
(交替制) |
小島康幸 副部長 |
|
午後 |
小島康幸 副部長 |
[甲状腺外科外来] |
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金 | 午前 |
(交替制) |
本吉 愛 |
[甲状腺外科外来] |
午後 |
本吉 愛 |
[甲状腺外科外来] |
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土 | 午前 |
中野万理(1) |
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午後 |
午後は原則再診のみ(予約制)
平成28年6月より、乳腺内分泌外科の初診患者さんの受付が変更になりましたので、お知らせいたします。初診につきましては、当科への紹介状をお持ちの患者 さんのみ予約にて受付いたします。紹介元の医療機関を通して事前にご予約の上、紹介状をご持参ください。ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。
特殊検査・処置・入院・手術のご案内
名称 | 所要日数(時間) | 説明 |
---|---|---|
超音波ガイド下吸引式針生検 |
30分 | 吸引式の針生検装置を用いた組織診断。生検による侵襲を大幅に軽減。 |
ステレオガイド下吸引式針生検 |
1時間 | 石灰化所見のみで腫瘤を触れない症例に対する検査。持続吸引式の針生検装置;マンモトームを用いた組織診断。生検による侵襲を大幅に軽減。 |
High Resolution MRI Mammography |
1時間 | 高い精度の乳管内の評価が可能な診断方法。乳がんの広がり診断に用いる。 |
乳癌手術(乳房温存術+センチネルリンパ節生検) |
約4日間(入院) | 術前検査は、転移検索を含め外来で行います。手術前日の入院、術後は約2日で退院。後日病理結果等を検討し、治療計画を外来で説明。 |
乳癌手術(乳房切除術・温存術+腋窩リンパ節郭清) |
約10日間(入院) | 術前検査は、転移検索を含め外来で行います。手術前日の入院、術後は約1週間で退院。後日病理結果等を検討し、治療計画を外来で説明。 |
乳癌手術+同時再建術 |
約2週間(入院) | 術前検査は、外来で行います。手術前日の入院、術後は約2週間で退院。後日病理結果等を検討し治療計画を外来で説明。 |
甲状腺手術(甲状腺癌、腺腫) |
5日間(入院) | 術前検査は、CTなどの転移検索を含め外来で行います。手術前日の入院、術後は約3日間で退院。後日病理結果等を検討し治療計画を外来で説明。 |
副甲状腺手術(原発性機能亢進症) |
4日間(入院) | 原発性機能亢進症は、代謝・内分泌内科と共同で診療にあたることが多い。手術前日の入院、または当日の転科。術後は約3日間で退院可能。小切開手術を心がけている。 |
取り扱っている主な対象疾患
乳癌、良性乳腺疾患、甲状腺・副甲状腺疾患
■主な手術および検査件数(2020年度実績)
手術名・検査名 | 件数 |
---|---|
全乳癌手術 | 704 |
初発乳癌手術 | 632 |
乳房温存術 | 279(44.1%) |
良性乳腺疾患手術症例数 | 67 |
甲状腺・副甲状腺疾患手術症例 | 1 |
同時再建 | 57 |
センチネルリンパ節生検 | 443(70.1%) |
SLN→AX | 60 |
研究内容
治験
【現在エントリー可能な治験、臨床試験】
1. IPATunity130(中外製薬株式会社)
乳癌患者を対象としたRO5532961(ipatasertib)の第Ⅲ相試験
2. DS8201a(第一三共株式会社)
T-DM1を含む標準的な抗HER2療法の治療歴があるHER2陽性切除不能及び/又は転移性乳癌患者を対象として抗HER2抗体薬物複合体であるDS-8201aを医師選択治療と比較検討する多施設共同 無作為化非盲検実薬対照第III相試験
3. IPATunity170(中外製薬株式会社)
切除不能な局所進行性又は転移性のトリプルネガティブ乳癌患者を対象とした、イパタセルチブ+アテゾリズマブ+パクリタキセル併用療法の第III相ランダム化プラセボ対照二重盲検試験
エントリー終了、試験継続中
1. APHINITY(中外製薬株式会社)
手術可能なHER2陽性原発性乳癌における術後療法としての化学療法+トラスツズマブ+プラセボと化学療法+トラスツズマブ+ペルツズマブのランダム化, 多施設共同, 二重盲検, プラセボ対照での比較試験
2. KAITLIN(中外製薬株式会社)
手術可能な HER2 陽性原発性乳癌患者を対象とした術後補助療法としてのアントラサイクリン化学療法後のタキサン+ トラスツズマブ+ ペルツズマブとT-DM1+ ペルツズマブを比較する多施設共同非盲検ランダム化第III 相比較試験
3. OlympiA(アストラゼネカ)
十分な局所性治療及び術前補助化学療法又は術後補助化学療法を終了した高リスク生殖細胞系BRCA1/2変異陽性HER2陰性原発乳癌患者に対する術後補助療法としてのオラパリブの有効性と安全性を評価する無作為化二重盲検並行群間比較プラセボ対照多施設共同第III相試験
4. MONARCH2(日本イーライリリー)
ホルモン受容体陽性HER2陰性の局所進行または転移性乳がん患者を対象としたフルベストラント単独またはCDK4/6阻害剤LY2835219との併用の無作為化二重盲検プラセボ対照第3相試験
5. IMPassion130(中外製薬株式会社)
乳癌患者を対象としたMPDL3280A(アテゾリズマブ)の第Ⅲ相試験
6. KEYNOTE-522(MSD株式会社)
トリプルネガティブ乳癌患者を対象としたMK-3475(Pembrolizumab)の第Ⅲ相試験
7. KEYNOTE-355(MSD株式会社)
切除不能の局所再発又は転移性トリプルネガティブ乳癌の化学療法未治療患者を対象としたMK-3475及び化学療法併用投与とプラセボ及び化学療法併用投与を比較する二重盲検、無作為化、第Ⅲ相試験
8. MONARCH E(日本イーライリリー株式会社)
リンパ節転移陽性、ホルモン受容体陽性、HER2陰性の再発高リスク早期乳癌患者を対象としたアベマシクリブの第Ⅲ相試験
9. NK105(日本化薬株式会社)
進行又は再発乳癌患者を対象としたNK105とパクリタキセルを比較するランダム化第II相試験
【多施設共同臨床試験】
1. JBCRG-M06(EMERALD)
HER2陽性進行・再発乳癌におけるトラスツズマブ、ペルツズマブ、タキサン併用療法とトラスツズマブ、ペルツズマブ、エリブリン併用療法を比較検討する第Ⅲ相臨床研究
※エントリー終了
1. 術前化学療法後乳がん症例に対するSLNBの標準化に関する研究(厚労省中村班)
2. 超音波検査による術前化学療法効果予測の研究(JABTS03)
3. 切除可能なHER2陽性乳癌に対する術前Docetaxel+Carboplatin+Trastuzumab
(TCbH)療法の第Ⅱ相臨床試験(KBOG-1204試験)
4. POTENT試験(Postoperative Therapy with Endocrine and TS-1)(CSPOR)
エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳癌に対するS-1術後療法ランダム化比較第Ⅲ相試験
5. JCOG1017(PRIM-BC)
薬物療法非抵抗性StageIV乳癌に対する原発巣切除の意義(原発巣切除なしversusあり)に関するランダム化比較試験
6. JBCRG-M05(PRECIOUS)
HER2陽性の進行再発乳癌に対するペルツズマブ再投与の有用性を検証する第Ⅲ相臨床研究
7. JCOG1204(INSPIRE)
再発高リスク乳癌術後患者の標準的フォローアップとインテンシブフォローアップの比較第Ⅲ相試験
8. RESQ
HER2 陰性転移・再発乳癌患者を対象にエリブリンと S1 の health-related quality of life ( HRQoL )を比較するランダム化 第Ⅲ相試験
9. POSITIVE
妊娠を希望するホルモン療法感受性乳癌の若年女性における妊娠転帰及びホルモン療法中断の安全性を評価する試験
10. アベマシクリブ関連薬剤性肺障害のネステッドケースコントロール研究
Nested Case Control Study of Abemaciclib-Induced Interstitial Lung Disease (NOSIDE)
【その他の研究】
当科では、より良い医療を提供するために、以下のような後ろ向き検討による研究を行なっております。これらの研究では、当科を受診された方の臨床情報(病状や治療歴、画像所見、病理所見等)を匿名化し、個人が特定できない状態にしたうえで使用しております。得られた結果は、日常臨床へフィードバックし、学会発表や論文報告の形で公表しております。なお、ご自身の臨床情報の使用を希望されない場合は、当科までご連絡いただくか、担当医にお知らせください。また、以下の研究にご協力いただけない場合でも、診療上で不利益を被ることはありません。
研究課題名
1. Low grade DCIS に対する術後放射線照射の有効性に関する後ろ向き検討
2. 進行・再発乳癌に対するEriburinの使用状況についての後ろ向き検討
3. 乳癌におけるPET/CT及びPEMの病変診断能に関する後ろ向き検討
4. センチネルリンパ節転移陽性・非郭清乳癌の予後に関する後ろ向き研究
5. 乳癌サバイバーにおけるがん生殖医療外来受診の実態と妊孕性温存の取り組みに関する実績評価と課題の検証
6. 病理学的完全奏功(pCR)後に再発転移をきたした症例についての検討
7. 乳癌術前化学療法におけるアブラキサンの有用性についての大規模統合解析
8. 妊娠期乳癌患者の分娩転帰および予後に関するマッチドコホート研究(依頼者 聖路加)
9. 進行・再発乳癌に対するEribulinの臨床的効果についての多施設での後ろ向き検討
10. Webベース乳癌予後予測モデルの臨床的有用性の検討
11. 非造影MRI検査(高解像度DWI)による乳癌の術前評価についての検討
12. 当院における乳腺腺様嚢胞癌の臨床病理学的特徴
13. 乳癌に対する乳頭乳輪温存乳房切除、皮膚温存乳房切除後の局所再発の検討
14. 乳癌化学療法におけるdose-dense療法の安全性と治療効果についての検討
15. ホルモン陽性転移再発乳癌に対してのパルボシクリブによる治療効果の検討
16. 乳房手術省略の臨床試験対象者における乳房内再発ハイリスク群の同定
※後ろ向き検討(過去の事象について調査する研究・検討)
受診について
当院では患者さんの待ち時間を短縮するために、完全予約制を導入しています。 ご予約方法は以下を参照してください。
紹介状のない方
必ず他の医療機関からの「紹介状(診療情報提供書)」と受診の予約が必要です。書式は問いません。
ー過去に当院での受診歴はあるものの乳腺内分泌外科の予約がない方も、現在治療中、定期的な経過観察中の方を除き、他院からの紹介状と受診の予約が必要です。
ー6ヶ月以上ご受診いただいていない場合も、紹介状と受診の予約が必要となります。
紹介状のある方
こちらをご参照下さい。
紹介状を持参されていても、予約がお済みでないまま来院された方は、メディカルサポートセンター窓口11にお進み下さい。
✳︎注意! 予約がない方は、既に予約されている方の診察が優先されるため、原則ご来院日に受診できません。ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。
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