診療部長
鈴木 直(主任教授)
産婦人科は女性のライフサイクルに沿った様々なトラブルや悩み事を解決していくための診療科です。女性の一生には、女性特有の問題が山積されています。
思春期の月経異常、不妊症や不育症の悩み、妊娠中や出産前後の問題、子宮内膜症や子宮筋腫などの良性疾患や婦人がんに対する心配、更年期や老年期の体調の変化に関する悩みなどその範囲は多くの領域にわたります。
当院の産婦人科は、これらの病気に悩まれている多くの女性の悩みを解決するため、先進的なART(補助的生殖技術)を駆使した生殖医療ならびに思春期や更年期、老年期の体調の変化に伴う苦痛軽減を専門する生殖内分泌部門、安心して出産ができるよう地域の周産期医療を守る周産期部門、婦人科全般に関する手術療法(内視鏡手術や婦人科がん手術など)を施行し、また抗がん剤による化学療法や放射線療法を併せた集学的治療を行い緩和医療も提供する婦人科部門を有しています。
さらに、他の病気で悩まれている将来の妊娠・出産を希望されている一部の若年の患者さん(乳癌、SLE、精巣腫瘍など)に対して、治療開始前に卵子や精子、受精卵、そして卵巣組織を凍結保存し、病気が完全に治ってからARTによって妊娠成立を目指す新たな先進医療「がん・生殖医療」を行っています。
また、適切な治療法が存在していない早期に閉経が発来した患者さんに対して当院独自の治療法を開発し、世界初の先進的な医療も行っています。
当院産婦人科では、産婦人科全ての領域それぞれを専門とした医師によって愛ある医療を提供させて頂きます。
出産は、羊水の中で過ごしていた胎児が、分娩によって母親と分離され、呼吸を始めて新生児となるという母親と赤ちゃんにとって最も重要であり、危険な瞬間です。
聖マリアンナ医科大学産婦人科では、すべての診療科がそろっている大学病院であるメリットをいかして、最適な診療科のコラボレーションによって赤ちゃんにとってもお母様にとっても安心かつ安全に出産という一大イベントを迎えていただけるようにします。また、最近では多くの胎児の病気の診断が可能となっています。
”Fetus as a Patient”という言葉をモットーに赤ちゃんのための出生前診断や胎児治療に力を入れていきます。お腹の赤ちゃんの事で少しでもご不安な点や、ご自身の病気で妊娠することに不安をお持ちのお母様方は是非、聖マリアンナ医科大学産婦人科に相談にいらして下さい。
当大学の理念である「生命の尊厳」を重んじ、病める人を癒す、愛ある医療のもとでお母様と赤ちゃんを守って行きたいと思っています。
また、産科では子供がほしい女性の皆様のために生殖医療センターがあり、最先端の治療を行っております。お子さんが欲しいけれどもなかなか授からず、お悩みの方も是非、一度ご相談にいらっしゃって下さい。
詳しくは生殖医療センターホームページをご覧ください。
初診外来 | 再診外来 | 専門外来 | ||
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月 | 午前 |
△長谷川潤一
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飯田瀬里香
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[生殖内分泌外来] 高江正道 小田原圭 中村健太郎 |
午後 |
[子宮鏡外来] 西村陽子 [産褥外来] |
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火 | 午前 |
○鈴木直
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本間千夏
|
[がん・生殖医療外来] ○鈴木直 [生殖内分泌外来] 洞下由記 岩端秀之 (ONCO) 小田原圭(ONCO) [出生前検査外来] △長谷川潤一 西村陽子 本間千夏 |
午後 |
[生殖内分泌外来] |
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水 | 午前 |
△大原樹
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金森玲 中村健太郎 [産科] 山本紗希 |
[生殖内分泌外来] 鈴木由妃 |
午後 | [婦人科腫瘍外来] [生殖内分泌外来] 鈴木由妃 中村健太郎 |
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木 | 午前 |
近藤春裕
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洞下由記 [産科] 山本紗希 |
[生殖内分泌外来] 高江正道 杉下陽堂 |
午後 |
[子宮鏡外来]
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金 | 午前 |
高江正道
|
洞下由記
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[生殖内分泌外来] 杉下陽堂 岩端秀之 [無痛分娩外来] |
午後 |
[精密超音波外来] |
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土 | 午前 |
鈴木由妃(1) 岩端秀之(2) 西村陽子(3) 中村健太郎(4) |
遠藤拓(1) 飯田瀬里香(2) 山本紗希(3) 本間千夏(4) |
[生殖内分泌外来] 洞下由記(2) 小田原圭(3) 岩端秀之(4) |
午後 |
〇=部長、△=副部長、[非]=非常勤
都合により変更になる場合があります。
午後は原則再診のみ(予約制)
( )内の数字は第何週目かを示しています。
現在「休診・代診のご案内」はありません。
手術名・検査名 |
2017 年度 |
2018 年度 |
2019 年度 |
2020 年度 |
2021 年度 |
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婦人科手術症例 | ||||||||||
■良性疾患手術件数 | ||||||||||
■開腹手術 | ||||||||||
腹式単純子宮全摘術 | 65 | 30 | 28 | 41 | 23 | |||||
パッチテスト、 プリックテスト |
6 | 0 | 7 | 20 | 6 | |||||
付属器摘出術 | 19 | 16 | 20 | 9 | 16 | |||||
卵巣嚢腫摘出術 | 0 | 1 | 3 | 6 | 0 | |||||
その他 | 0 | 0 | 1 | 2 | 8 | |||||
腟式手術 | ||||||||||
■腟式子宮全摘術 | 6 | 3 | 16 | 6 | 0 | |||||
TCR | 35 | 67 | 73 | 51 | 77 | |||||
D&C | 49 | 46 | 40 | |||||||
その他 | 1 | 4 | ||||||||
■腹腔鏡下手術 | 227 | |||||||||
付属器切除術/ 卵巣嚢腫摘出術 |
111 | 75 | 79 | 97 | 119 | |||||
■子宮悪性腫瘍手術 | 45 | 28 | ||||||||
子宮全摘術 (LAVH,TLH) |
35 | 59 | 43 | 58 | 69 | |||||
子宮筋腫核出術 | 16 | 19 | 29 | 21 | 16 | |||||
卵巣凍結,移植 | 28 | 18 | 12 | 12 | 24 | |||||
その他 (子宮外妊娠含) |
10 | 11 | 1 | 12 | 6 | |||||
■悪性腫瘍手術件数 | 230 | |||||||||
広汎子宮全摘術 | 18 | 16 | 12 | 17 | 16 | |||||
準広汎子宮全摘術 | 4 | 3 | 1 | 4 | 12 | |||||
単純子宮全摘術 (拡大子宮全摘術含む) |
78 | 52 | 70 | 62 | 117 | |||||
子宮頸部円錐切除術 |
65 | 59 | 45 | 45 | 54 | |||||
子宮腟部蒸散 |
3 | 0 | 0 | 1 | 0 | |||||
外陰がん |
1 | 2 | 14 | |||||||
付属器切除 |
17 | 9 | 8 | |||||||
試験開腹 |
5 | 7 | 15 | |||||||
その他 ※骨盤内リンパ節、傍大動脈 リンパ節郭清の有無を問わず |
4 | 0 | 8 | |||||||
周産期症例 | ||||||||||
■分娩数 | ||||||||||
分娩母体数 (死産を含む) |
574 | 625 | 659 | 607 | 639 | |||||
双胎妊娠 | 31 | 38 | 30 | 35 | 34 | |||||
品胎妊娠 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | |||||
■分娩様式 | ||||||||||
自然分娩 | 325 | 334 | 274 | 310 | 381 | |||||
吸引/鉗子分娩 | 32 | 46 | 63 | 48 | 36 | |||||
帝王切開術 | 217 | 38 | 238 | 217 | 216 | |||||
無痛分娩 | 84 | 122 | 207 | |||||||
■生殖医療症例 | ||||||||||
採卵件数 | 267 | 307 | 293 | 249 | 283 | |||||
新鮮胚移植件数 | 22 | 11 | 5 | 7 | 2 | |||||
凍結融解胚移植件数 | 177 | 204 | 163 | 124 | 202 | |||||
卵巣凍結件数 (がん・膠原病) |
12 | 15 | 11 | 9 | 20 | |||||
卵巣凍結件数 (POI) |
3 | |||||||||
IVA (POI卵巣移植) |
5 | |||||||||
卵子凍結件数 | 35 | |||||||||
子宮鏡 | 77 | 84 | 52 | |||||||
IUI | 178 | 241 | 213 | 156 | 203 | |||||
卵管鏡下卵管形成術 (FT) |
10 | 16 | 8 | 7 | 8 |
聖マリアンナ医科大学病院産婦人科では生命倫理委員会の承認を得て、下記の臨床研究を実施しています。関係各位のご理解とご協力をお願い申し上げます。なお、対象に該当すると思われる方でデータの使用を拒否される場合は、下記問合わせ先へご連絡下さい。 本研究は診療情報等を用いた研究のため、新たに患者さんへ何かしらの検査や処置を行うものではございません。また、本研究への協力に同意しない場合でも、何ら不利益を被ることは一切ありません。各研究の概要は添付資料をご参照ください。
研究課題名 | 問合せ先 |
---|---|
鈴木 直 | |
長谷川 潤一 | |
長谷川 潤一 | |
長谷川 潤一 | |
戸澤 晃子 | |
高江 正道 |
名称 | 所要日数 (時間) |
説明 |
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【婦人科】 婦人科悪性腫瘍 |
10日~疾患・経過によります | 子宮頸癌・体癌、卵巣癌、外陰癌など婦人科領域の各種悪性経過によります腫瘍に対して根治手術を行います。疾患や患者さんの状態によっては、術前もしくは術後の抗癌剤治療や放射線治療を、入院もしくは通院によって行います。 |
【婦人科】 |
約8日間 | 子宮筋腫などの症例に対して施行される術式です。 |
【婦人科】 円錐切除術 |
約3~4日間 | 子宮頸部病変に対して施行される低侵襲の術式です。 |
【婦人科・生殖】 子宮鏡検査 |
検査施行時間 20分程度 |
症状:不正出血、過多月経の患者さん、或いは、子宮腔内病変(粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮奇形など)に実施します。 |
【婦人科・生殖】 子宮鏡下手術 |
前日入院 手術後1~3日で 退院 |
子宮鏡検査で子宮腔内病変の認められた患者さんに対して行う内視鏡下手術です。術後疼痛も少なくすぐれた手術です。 |
【婦人科・生殖】 腹腔鏡下手術 |
前日入院 手術後2~7日で 退院 |
婦人科疾患(子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣腫瘍、子宮内膜症、不妊症など)に対して行なう内視鏡手術。開腹手術に比べ、術後疼痛の軽減、美容上の利点、短期間の入院、早い社会復帰など利点が多い。先進医療として行われている子宮体がんに対する傍大動脈リンパ節郭清は手術費用が自己負担(70万円)となる。 |
【産科】 羊水染色体検査 絨毛染色体検査 |
結果は 約2~3週間 |
羊水検査は妊娠16週以降、絨毛検査は妊娠11~13週頃、希望があれば行います。事前に産科外来で状態を確認し、遺伝カウンセリングを行い、検査予約をとって行います。費用は自費扱いとなります(約15万円)。なお検査は日帰りで行い、結果が分かるまで2~3週間かかります。 |
【産科】 正常分娩(入院) |
原則として分娩後6日間入院 |
|
【産科】 帝王切開分娩(入院) |
原則として手術後8日間入院 |
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【産科】 人工妊娠中絶 |
当院では、母体合併症などのために他院での処置が困難である場合を除き、原則として行っていません。 | |
【生殖】 人工授精 |
施行時間約5分 |
排卵直後に人工的に精子を子宮内に注入する治療です。射精精液を洗浄濃縮する方法です。 |
【生殖】 体外受精のための採卵 |
日帰り |
体外受精とは、体外で卵子と精子を受精させ受精卵を子宮内に移植する一連の治療を指します。その為に、排卵誘発にて発育した卵子を麻酔下で採取します。(採卵から移植まで30~40万円) |
【生殖】 卵管鏡下卵管形成術(FT) |
日帰り |
卵管が閉塞または狭窄している患者さんに対して経膣的に行う手術です。保険適応があります。 |
※臨床試験および臨床研究に準ずる医療行為に関しましては、以下の『研究内容』を参照ください。
当科では、以下の先進医療を厚生労働省認可のもと施行しております。
ご希望される方は、お気軽に担当医にご質問ください。
1.『高周波切除器を用いた子宮腺筋症核手術』
なお『腹腔鏡下子宮体癌根治術』は、2014年4月より、保険適応となりましたので、今後は婦人科の一般医療として対応致します。
1.産科領域では
a.胎児診断に関する研究(胎児超音波検査、胎児心電図、胎児MRI)や胎児発育不全の管理に関する研究を行っています。
b.胎盤や臍帯の異常発生メカニズムの解明、リスクマネージメントに関する研究を行っています。
c.超音波断層法による出生前の胎盤病理所見の予知と、胎児発育不全の病態解明の研究
d.胎児発育不全の治療と、胎児へ与える影響に関する研究
e.新しい塞栓物質を用いた産科大量出血症例における血管内治療に関する研究を放射線科と共同して行っています。
2.婦人科領域では
a.難治性婦人科癌の一つである卵巣癌に対する新しい分子標的治療の開発に取り組んでいます。
b.子宮頸癌のがん化メカニズムの解明を目的として、レクチンマイクロアレイを用いた新たな分子マーカーの開発を行っています。
婦人科癌の転移に関わる分子機構を明らかにすることによって、新子バイオマーカーの開発に取り組んでいます。
c.抗がん剤の皮膚にあたえる障害に関する、その予防方法開発を志向した基礎的研究を行っています。
d.臨床研究として、術後の静脈血栓塞栓症の予防、緩和医療領域における臨床研究なども行っています。
3.女性医学領域では
a.早発卵巣不全(早発閉経)におけるホルモン療法が脂質代謝に与える影響の関する研究に取り組んでいます。
b.更年期女性のライフスタイル・生活環境が閉経後の健康に及ぼす影響に関する調査研究を行っています。
4.生殖内分泌領域では
a.カニクイザルや齧歯類の卵巣組織を用いた、新しい凍結方法の開発、ならびに異所性移植に関する新しい評価法の開発に取り組んでいます。
b.卵巣内の卵胞の発育には様々な因子が関わっています。我々は分子生物学的な方法によりこの因子を網羅的に解明し、生殖補助医療に役立てる研究をしています。
c.体外受精を行う場合には受精した卵子を体外で培養します。体内の環境に近くなるよう培養液が開発されていますが、まだ完全ではありません。受精卵の発育に必要な因子を明らかにして、それを培養液に加えることで完全な培養液が完成することが期待されます。これらの因子の同定・解析を行っています。
d.神経栄養因子の1つであるBrain-derived neurotrophic factorが女性生殖機能のうち、卵子成熟、胚発育、胎盤・胎児発育に広く関わっていることを明らかにしてきました。さらに他の生殖機能に関わっているかどうか、他の神経栄養因子はどのような作用を持つのかを調べています。
e.臨床研究として、がん患者さんおよび膠原病患者さんのために、より安全で効率的な妊孕性(妊娠する能力)温存療法の開発を行っており、卵巣組織凍結保存、未受精卵子凍結保存、アロマターゼ阻害剤を用いた排卵誘発などの臨床試験をすすめております。
診療科・部門のご案内
診療科
部門
センター
認知症(老年精神疾患)治療研究センター