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新しい前立腺癌治療 Focal_therapyとは

腎泌尿器外科|新しい前立腺癌治療 Focal_therapyとは

新しい前立腺癌治療 Focal therapyとは

・前立腺癌を含む前立腺全てを摘出するのではなく、前立腺内に発生している癌病巣部位付近だけを治療する方法です。

・前立腺を摘出しないことにより、全摘手術に認められる尿失禁や勃起障害を大幅に回避することが可能です。

・前立腺癌の制御、治療と生活の質や機能温存を両立できる新しい治療法です。

当院ではマイクロ波凝固による経皮的前立腺癌焼灼術を行っており、患者様の状態によって先進医療、もしくは自費治療で治療を提供しております。

20245月から先進医療として認められ、当院では7月から実施しています。

Focal therapy:マイクロ波凝固による経皮的前立腺癌焼灼術の特徴

Focal therapyは前立腺内の必要な部位だけを治療する方法です。

病巣を様々な方法で治療しますが、当院では「マイクロ波」による凝固、焼灼により前立腺癌病巣とその周囲を治療します。

マイクロターゼと呼ばれるマイクロ波発生機器に深部凝固用電極を接続し、会陰から電極を穿刺し前立腺癌病巣にマイクロ波を通電させます。

マイクロ波は電子レンジと同じ波長の電磁波であり、電極の接する先端20mm、半径約10mm周囲を約100度の高温で凝固、焼灼します。

それにより癌病巣もしくはその周囲のみを正確に治療することができます。

   

※アルフレッサファーマ株式会社HPより引用

 https://www.alfresa-pharma.co.jp/microtaze/index.htm

Focal therapy:マイクロ波凝固による経皮的前立腺癌焼灼術の実際

全身麻酔下もしくは腰椎麻酔下で行います。

病変に対して5mm程度のマージンをつけて焼灼を行います( 30W で1回60秒間の焼灼)。

勃起機能保持に重要とされる前立腺外側を通過する神経血管束は、焼灼範囲外です。従って焼灼の影響を受けず、勃起機能の温存につながります。

超音波ドップラーで病変部位の血流が消失していることを確認し終了します。

・尿道留置カテーテルを術後1−2日まで留置

・抗生剤(ニューキノロン等)内服

・術後2日目以降で退院可能(3泊4日入院)

治療効果の確認は術後のMRI検査やPSA値の変化、場合によっては前立腺生検を行い確認します。

Focal therapy:マイクロ波凝固による経皮的前立腺癌焼灼術が受けられる方

MRI画像検査で確認できる単発の前立腺癌が良い適応になります。(特に確定診断としてMRI /US画像融合前立腺生検を受けて診断された方)

また、前立腺癌の悪性度が中程度(グリソンスコア7点)の方は治療効果を得られやすいと言われています。

さらに、悪性度が高く(グリソンスコア8点)ても癌体積が小さいもの(径10mm未満、体積0.5cc未満)であれば治療効果が見込めます。また、低悪性度(グリソンスコア6点以下)であっても癌体積が多く(径10mm以上、体積0.5cc以上) 臨床的に意義のある癌と考えられる場合は治療の対象となります。

   

副作用・リスクについて

マイクロ波凝固治療による副作用、合併症は麻酔や手術体位に関連する一般的なもの以外に、焼灼する前立腺周囲の熱損傷やそれに伴う臓器損傷、軽度の出血、血尿、尿道の浮腫による一時的な排尿障害や尿路感染症などが想定されます。治療前には同意・説明文書で詳しく内容をお伝えし、治療後も定期通院をお願いし経過を拝見いたします。

本治療の費用について

本治療は「自由診療」で行います。費用は全額自己負担となり、術前検査、治療費、入院費、本治療後3ヶ月以内に必要となる前立腺癌に対する治療または本治療により生じた有害事象への治療のために必要な通院及び入院に関わる費用が発生します。費用の内訳については下記の通りです。

【費用】¥1,000,000-(税込)
【費用内訳】
・術前検査受診に係る外来治療費
・手術施行の入院期間に係る入院費(手術代・食事療養費etc含む)
・退院後・計3回分の術後外来治療費(診察料etc含む)
※差額室料は上記内訳に含めない為、別途自己負担となります。
 又、本治療がやむを得ず中止になった際には術前検査費用のみ徴収いたします。

参考資料

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