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呼吸器内科
肺がんについては、最近では分⼦標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など、従来の抗がん剤とは異なる作⽤機序のお薬が導⼊され、治療による生存期間の延長が得られております。また、⾼齢であっても全⾝状態が良ければ⼗分に治療の対象になるため、気管⽀鏡検査やCTガイド下⽣検等の肺がん診断のための検査をお勧めしています。1位は主に肺がん診断に関わる症例であり、当科は気管支鏡検査の肺がん診断について、検査現場での細胞診診断等も応用して90%以上の高い診断率を維持しております。症例数が減少しており、今後診断率などの業績をアピールしていきたいと思います。3位は抗がん剤や放射線治療の症例数です。4位は疼痛などの症状緩和が目的で入院した症例が主となります。2位の間質性肺炎はピルフェニドンやニンテダニブ等の抗線維化薬導⼊に伴う⼊院や、急性増悪治療のための⼊院によるものです。5位は重症の喘息発作で入院し、ステロイドの全身投与や気管支拡張薬等で治療した症例が主となります。コロナ流行後の感染予防手段により、他の呼吸器感染症が減少し、それに伴い喘息やCOPD増悪、あるいは高齢者の肺炎も減少しておりましたが、次第に増加しつつあり、留意が必要と考えております。
循環器内科
⼼房細動は脳塞栓の原因となり得るため、循環器内科では根治的なカテーテル⼼筋焼灼術を積極的に⾏っています。頻脈性不整脈の⼊院期間は4⽇程度です。
狭心症に代表される虚⾎性⼼疾患では、⼼臓を養う冠動脈に狭い箇所を有するため、虚⾎に関わる病変であればカテーテルによる冠動脈治療を⾏います。⾵船で広げるのみで終了する場合と、ステントを留置する場合があります。冠動脈造影と治療はいずれも4⽇程度の⼊院で⾏っています。 睡眠時無呼吸症候群は、いびきを契機に⾒つかることが多いですが、様々な疾患に合併することが知られています。適切な治療を⾏うことで⽣活の質の向上が望めるので、適切な診断と治療を⾏います。睡眠中の検査を⾏いますので、⼀泊の⼊院をしていただきます。 徐脈性不整脈としては、洞不全症候群と完全房室ブロックが代表的な疾患です。原因は様々ですが、薬での対処には限界があるため、治療にはペースメーカ植え込みが必要となります。ペースメーカには電池寿命があり、数年に1回の電池交換または追加が必要となります。⾼齢の⽅が対象となることが多く、1週間程度の⼊院が必要です。 消化器内科
⼤腸の粘膜の⼀部がイボのように隆起してできた病変を⼤腸ポリープといい、良性の場合も悪性の場合もあります。
胆管結⽯とは胆汁の流れ道にできる結⽯のことで、胆汁の流れを妨げて⻩疸の原因となります。胆管炎とは、その胆管に細菌感染を起こした状態です。胆汁の流れが悪いと容易に胆管炎などの感染を引き起こし、さらに腹腔膿瘍といっておなかの中に膿の塊ができることがあります。 胃の悪性腫瘍は、胃粘膜の細胞が何らかの原因で癌などの悪性細胞となったものです。病変が進⾏するにつれて徐々に胃の外側へと広がりますが、早期の病変は内視鏡粘膜切除術で治療できる場合があります。 憩室とは、腸管の壁が腸の外側に向かって⾵船状に突出している状態です。憩室は炎症や出⾎を引き起こすことがあり、症状に応じて抗⽣剤加療や⽌⾎術を要します。ときには粘膜に穴が開く穿孔や、感染を伴って膿の溜まる膿瘍を作ることがあります。 腎臓・高血圧内科
⽇本⼈の⾼齢化により、慢性腎炎に加え、糖尿病や⾼⾎圧・動脈硬化性疾患の最終像としての腎不全が、年々増加しています。実際、最新の⽇本透析医学会の統計調査では、⽇本の透析患者は32万⼈を超えたことが報告されました。腎臓⾼⾎圧内科のDPC病名として多くの疾患が慢性腎不全や腎不全関連⼿術(透析⽤動脈形成術、吻合術)であることもそれを⽰唆するものです。勿論、腎臓⾼⾎圧内科では従来の慢性腎炎に対する診断(腎⽣検)や治療も多く⾏っていますが、加えて、腎不全の進⾏を抑制することを⽬的とした慢性腎臓病教育⼊院の実施、透析を⾏うために必須である透析アクセスの造設や維持(それぞれ内シャント設置術、内シャント⾎栓除去術)のための外科的アプローチ、他科⼊院中患者も含めた急性腎不全の治療や予防、さらには尿路感染症や尿路結⽯症の内科的管理への対応等、多岐にわたる腎疾患に対応しております。また、腎不全・透析患者の⼼不全・感染症対応も腎臓⾼⾎圧内科で診療致します。さらに、難治性⾼⾎圧や⾼⾎圧緊急症、体液・電解質・酸塩基平衡異常症なども専⾨としております。地域の腎臓病患者の⽅々の総合医・かかりつけ医としての役割を果たし、患者さんの利便性を⾼めるようにしております。
代謝・内分泌内科
代謝内分泌内科の糖尿病センターでは、遺伝的素因と生活習慣から起こる2型糖尿病、膵臓のβ細胞の破壊によって起こる1型糖尿病、それ以外にも様々な原因で起こるその他の糖尿病も含め、様々な糖尿病患者さんを適切に診断し、合併症を含め全人的に治療する体制が整っております。とりわけ患者教育に積極的に取り組んでおり、医師、看護師、薬剤師、栄養士で構成されたチーム医療で生活指導、合併症の治療を行っております。また、糖尿病性ケトアシドーシスなど、糖尿病の急性代謝失調における川崎市北部・横浜市北部の拠点として救急診療に当たっています。
内分泌疾患については、5科で連携した内分泌疾患センターで集学的な診断・治療を行っています。近年、ホルモンの異常が原因で高血圧や糖尿病などになっている副腎疾患の精査を行うことが増えております。当院は全国でも有数の専門家を揃えており、内分泌機能試験、画像検査、副腎静脈サンプリング等を実施して副腎疾患の的確な診断と治療を行っております。また、見落とされがちな下垂体疾患の紹介や診断も増えており、脳神経外科と連携して診断・治療に取り組んでいます。外来では甲状腺機能異常の診断・治療や甲状腺腫瘍の手術件数も増えており、また副甲状腺の異常によるカルシウム・リン・骨代謝異常の診断・治療も行っており、乳腺内分泌外科と連携して診療に当たっています。今後耳鼻咽喉・頭頸部外科もセンターに加入し、さらに院内連携を強め地域のセンターとしての役割を果たしていきます。 脳神経内科
脳神経内科は、当院の脳卒中センターの一員として、急性期脳血管障害(脳梗塞や脳出血など)の患者を積極的に診療しており、高度な画像診断による正確・迅速な診断のもと、超急性期血栓溶解療法およびカテーテルによる機械的血栓回収療法など最先端の治療を提供しています。入院後は、脳卒中集中治療室(SCU:Stroke Care Units)で厳重に管理するのと並行して、多職種からなる脳卒中治療チームによりリハビリや再発予防の方針を決定し、入院から退院・転院までをトータルでサポートしています。
また脳神経内科は、パーキンソン病治療センターの一員として、パーキンソン病に対して様々な先進的治療や診断に多職種で連携して取り組み、ドパミン製剤(デュオドーパ)の腸内持続注入療法や深部脳刺激療法も提供しており、よい治療成績が得られるようになっています。 その他、慢性炎症性脱髄性多発神経炎やギランバレー症候群などの免疫介在性末梢神経疾患患者のニーズも高く、血液浄化療法や免疫グロブリン静注療法をはじめとして新たな免疫療法等で高い治療効果をあげています。またヒトレトロウイルスHTLV-1が引き起こす神経難病であるHTLV-1関連脊髄症(HAM)は診療・研究の中心的な施設で、最先端の治療を提供しています。 血液内科
悪性リンパ腫
リンパ球は、骨の中にある「骨髄」という組織で造られ、体内に侵入してきた遺物を除去する役割を担う細胞です。悪性リンパ腫は単に「リンパ腫」とも呼ばれますが、リンパ球が「がん化」して無制限に増殖し、リンパ節やリンパ組織にかたまりを作ってくる病気です。日本では毎年35,000人程度の人が悪性リンパ腫と診断されます。多くの場合、原因は不明です。 悪性リンパ腫の症状としては、首や脇の下、足のつけ根などのリンパ節が腫れてくることが多く、発熱や体重減少、寝汗などの症状を伴う場合もあります。悪性リンパ腫の診断には腫れているリンパ節の組織を手術で採取して顕微鏡で観察し、併せて免疫検査・遺伝子検査を行うことによって診断します。悪性リンパ腫の組織型はホジキンリンパ腫(5〜10%)と非ホジキンリンパ腫(90〜95%)に分けられ、後者はさらに低悪性度(ゆっくり進むタイプ)、中悪性度(速く進むタイプ)、高悪性度(直ちに治療が必要なタイプ)に分けられます。悪性リンパ腫は全身のどの部位にも広がる可能性があるため、治療を開始する前に採血検査、画像検査(CTやPETなど)、骨髄検査などを十分に行なって病気が存在する部位を確認しておくことが重要です。 当科では最新の診療ガイドライン(日本血液学会編集 造血器腫瘍診療ガイドライン)に基づき治療を行っています。組織型や病気の広がり具合(ステージ)によって治療法は異なりますが、化学療法 (抗がん剤の治療)が中心となります。抗体療法(リツキシマブ、ポラツズマブなど)を併用したり、放射線治療を組み合わせたりすることもあります。化学療法の1コース目の治療は入院が必要ですが、2コース目以降は外来通院で行います。治療は通常、5ヶ月程度かかります。再発した場合には造血幹細胞移植(自家移植・同種移植)が行われる場合もあります。 急性白血病 造血幹細胞が「がん化」した病気です。日本では年間人口10万人あたり約7人が発症します。正常な血液細胞が作られなくなった結果、赤血球の減少による貧血(動悸、息切れ)、血小板の減少による出血傾向(血が止まりにくい、手足に点状出血や紫斑が生じる)、白血球の減少による抵抗力の低下(熱が出やすい)などの症状が起こります。 血液検査や骨髄検査により診断し、抗がん剤を用いた化学療法や造血幹細胞移植により治療します。 当科では最新の診療ガイドライン(日本血液学会編集 造血器腫瘍診療ガイドライン)に基づき、病型分類に基づいた化学療法や造血幹細胞移植を行なっております。 リウマチ・膠原病・アレルギー内科
膠原病などの全⾝性臓器障害を伴う⾃⼰免疫性疾患は、診断、病勢・重症度の把握、これに続く寛解導⼊療法、または外来治療経過中の再発のために⼊院を要することがあります。リウマチ・膠原病・アレルギー内科では、迅速な診断と確実な疾患制御、ステロイド減量を視野においた適切な免疫抑制薬や生物学的製剤の併用、並びに合併症予防策を⾏うことにより、⼊院期間が短縮できるようにしております。血漿交換療法などの処置も必要な方に適切に施行しています。高齢化にともない関節リウマチでは誤嚥性肺炎などの感染症の合併症による⼊院が増えています。また、膠原病の代表的合併症の⼀つである間質性肺炎に対しても、個々の病状に合わせて適切な治療を行っております。
腫瘍内科
腫瘍内科では消化器がんを中⼼に、化学(放射線)療法や緩和治療など多くの治療を外来で施⾏しています。しかし、シスプラチンなどの持続点滴や⻑時間補液を必要とする化学(放射線)療法は⼊院による治療が必要です。⾷道がんは患者数の増加に加えて、シスプラチンを⽤いた治療が標準治療であるため⼊院が多くなっています。
また、膵がんでは、病態から内視鏡的処置を必要とする場合や、緩和治療を⾏うケースが多く、全⾝状態が悪い⽅や⾼齢者等に対して⼊院で治療を⾏う場合があります。このようなケースでは⼊院期間が⻑くなることがあります。 胃がんでは、抗がん剤導入時に入院で行うケースが多くなっており、患者さんの⽣活の質(QOL)をなるべく下げることなく、治療を継続することを⽬標として、⼊院期間は患者さんの要望になるべく添えるよう⼼がけております。 小児科・新生児科
【小児科】
小児喘息の多くはハウスダストやダニなどのアレルギー反応が原因で引き起こされます。多くは成人になるとともに良くなりますが、症状が重い患者さんの場合などは成人になっても続くことがあります。 熱性けいれんは、一部で重積状態となり、急性脳炎脳症との鑑別のため慎重な経過観察が必要となる症例がしばしばみられます。 急性気管支炎、急性細気管支炎はRSウイルス感染症によるものが大半を占め2歳未満の乳幼児に多く見られます。未熟児・新生児症例の応需は下記(新生児科解説)の通りですが、退院前の移行期や、様々な合併症等の診療継続のため、小児科と新生児科の連携を強化しております。 【新生児科】 当院は総合周産期母子医療センターであり、合併症や胎児の発育不良で紹介される母体が多く、その結果として、早産児や低出生体重児といった入院管理を要する新生児が増加します。早産児や低出生体重児は呼吸障害など合併する問題を多く抱えるため新生児集中治療室での管理が必要なことが多くなります。低出生体重児が多い事については、近年全国的な傾向でもあり、当院での症例数が多い事もその反映であると考えます。 消化器・一般外科
消化器・⼀般外科では、消化器系(⾷道、胃、⼩腸、⼤腸、肝臓、膵臓、胆道、脾臓)の悪性および良性疾患、成⼈の鼠径部ヘルニア、痔核、痔瘻、直腸脱など肛⾨疾患の⼿術を⾏っており、⾼難度の腹腔鏡⼿術も積極的に⾏っています。また、当院救命救急センターと連携し、⾼度外傷⼿術から急性⾍垂炎や胆嚢炎に⾄るまで対応しております。
令和4年度の対象疾患は、1位 ⿏径ヘルニア(ヘルニア⼿術等)、2位 ⾍垂炎(⾍垂切除術)、3位 結腸の悪性腫瘍(結腸切除術等)、4位 腸閉塞、5位 小腸大腸の良性疾患(内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術)でした。消化器・⼀般外科では良性疾患や悪性腫瘍の⼿術だけでなく、緊急手術や内視鏡的治療など幅広く取り組んでいる結果を表しております。 心臓血管外科
⼼臓⾎管外科が対象とする疾患は、冠動脈疾患(狭⼼症、⼼筋梗塞等)、⼼臓弁膜症、⼤動脈疾患(⼤動脈瘤、⼤動脈解離等)、末梢⾎管疾患(閉塞性動脈硬化症、静脈瘤等)です。冠動脈バイパス術は9割以上の症例で⼼臓を⽌めない「オフポンプバイパス術」を⾏っております。機能不全に陥った⼼臓の弁膜に対しては弁形成術や弁置換術を⾏っていますが、条件が合う患者さんには術後の早い回復が望める低侵襲⼼臓弁膜症⼿術を施行しています。また、⾼齢者や手術リスクの高い患者さんには、ハイブリッド⼿術室においてカテーテル的⼤動脈弁置換術を積極的に⾏っております。胸部⼤動脈瘤や腹部⼤動脈瘤などの⼤動脈疾患に対しては、⼈⼯⾎管置換術やカテーテルで⼈⼯⾎管を留置するステントグラフト内挿⼊術を積極的に⾏い、良好な結果を得ています。末梢⾎管疾患に対しては、バイパス⼿術、内膜剥離術、カテーテル治療等を積極的に⾏なっております。
呼吸器外科
呼吸器外科の治療対象疾患は原発性肺がんが最も多く、呼吸器内科医・呼吸器外科医・放射線科医等が参加する多職種カンファランス(CancerBoard)での検討に基づき治療⽅針を決定しております。⼿術適応と診断される場合には根治を⽬指した外科⼿術を⾏っております。主に低侵襲機能温存を⽬的とした胸腔鏡⼿術を⾏っております。進⾏例に対しては適切な治療を選択し、術前に化学療法、放射線療法などの導⼊療法を⾏い、腫瘍を縮⼩させてから根治切除を⾏うこともあります。さらに症例によっては先端医療を導⼊した臨床治験にご参加いただき、最近では周術期に分⼦標的治療薬や免疫チェックポイント阻害剤を加え、⼿術を⾏う集学的治療も積極的に⾏っております。また転移性肺悪性腫瘍には様々な癌腫からの肺内転移があり、多くは他科からの依頼によって⼿術適応を判断することになります。原発性肺がん同様に低侵襲機能温存を⽬的とした胸腔鏡⼿術を⾏っております。
肺がんは他のがんと⽐較して予後不良であり、術後の再発リスクが⾼いという特徴があります。進⾏例では再発を予防する⽬的で術後に補助的抗がん剤治療や分⼦標的薬、免疫チェックポイント阻害剤を加えることもあります。また術後外来では定期的検査を⾏い、再発症例に対しては臨床治験も含めて積極的に薬物治療を⾏います。最近では、分⼦標的治療薬や免疫治療薬の開発が進み、その成績も向上しており、切除例では肺がんの各種遺伝⼦異常やタンパク質発現を検索し、再発の際に適切な薬剤選択が迅速にできるようにしております。 気胸は10代、20代の若年男性や肺気腫のある⼈に突然発症することの多い疾患です。肺の虚脱によって呼吸困難となることがあり、早急な対応が必要です。呼吸器外科では近隣の診療所からの紹介を常時受け付けており、緊急⼿術にも対応しています。 手術を必要とする縦隔悪性腫瘍には胸腺腫、胸腺癌、胚細胞性腫瘍などがあります。小型の腫瘍であれば胸腔鏡下にて、比較的大きくなると胸骨正中切開をして腫瘍とその周辺組織を含めて完全切除を行っております。またさらに大きくなり周囲組織への過度な浸潤が認められる場合には術前導入療法の後に切除を加えるといった集学的治療も積極的に行っております。 ※上記一覧表では10名未満の場合には患者さんが特定される可能性があるため、人数を記載せず「-」と表示しています。 小児外科
手術件数が⼀番多かった症例は、「⿏径ヘルニアの⼿術」の患者さんです。55⼈の患者さんに2泊3⽇もしくは1泊2⽇の⼊院で⿏径ヘルニア⼿術を⾏っています。従来の⿏径部切開⼿術と腹腔鏡⼿術の両⽅を⾏っています。
次いで、「⺟斑、⺟斑症 ⼿術なし」の患者さんです。いちご状⾎管腫の内服治療を⾏っています。内服薬治療は外来で行っていますが、内服リスクがある患者さんは副作⽤の確認のために1週間の⼊院期間を設けています。 3位の疾患は「停留精巣 ⼿術あり」です。24⼈が1泊2⽇の⼊院で精巣固定術を⾏っています。 4位の疾患は「⾍垂炎 ⾍垂切除術 ⾍垂周囲膿瘍を伴わないもの等」で、腹腔鏡下⾍垂切除術を⾏っています。平均在院⽇数5.59⽇間です。 5位の疾患は「男性生殖器疾患-精索捻転手術」で、移動性(遊走)精巣の手術、精巣捻転の手術を行っています。 乳腺・内分泌外科
「乳がん」は現在本邦女性が最も罹っている癌種で、壮年期(30 代後半から60 代)の女性がん死亡1位の重⼤な疾患です。乳腺内分泌外科では診断・治療・ターミナルケアまで⼀貫した乳がん診療を実践しております。院内の複数の診療科で協働し、時には院外の医療機関とも連携しながら、ステージ(病期)、サブタイプ(乳がんの種類)、患者さんの背景によって、個々に最良の治療⽅法を選択する、個別化医療を提供しています。手術、放射線療法、化学療法(抗がん剤、分子標的薬)、ホルモン療法、などの集学的治療を、院内外のチーム医療で実践することによって乳がん克服を⽬指しております。
甲状腺の手術は良性疾患と悪性疾患に分けられます。甲状腺疾患については、内分泌疾患センターで代謝・内分泌内科や、RI診断・RI治療、IVRなどを担う放射線科と連携し、集学的な診断、治療に当たっています。 脳神経外科
脳動脈瘤:脳動脈瘤は血管分岐部にできる瘤で、破裂するとくも膜下出血を来たします。当院では、動脈瘤の位置、形状、サイズに応じて血管内治療、直達術いずれも行える体制を整えています。脳卒中の外科認定医・指導医、血管内治療専門医・指導医が複数在籍しており、最新かつ最適な治療を提供できます。
てんかん:脳神経外科ではてんかんセンターと共同で幅広いてんかん診療を行っています。持続ビデオモニタリングで正確なてんかんの診断を行い、薬物治療が奏功しない難治性てんかんには必要に応じて外科的治療をお勧めしています。 頭蓋・頭蓋内損傷:交通事故は減少しているものの、人口の高齢化で高齢者の家庭内事故による頭蓋・頭蓋内損傷が増えており、24時間体制で緊急治療に対応しています。 脳腫瘍:新生児から高齢者まで、良性から悪性まで様々な脳腫瘍があります。顕微鏡をはじめ、内視鏡、外視鏡の最新技術を駆使した微細手術を行っています。また悪性腫瘍や小児腫瘍では、複数の診療部門から構成される包括的チームで先端医療を提供しています。 整形外科
整形外科では、整形外科各領域(足、膝、股関節、脊椎、手、外傷)に専門性を有し、変性疾患やスポーツ障害、外傷など近隣地域よりご紹介を多数いただいております。
特に令和4年度は、、”前腕の骨折” 、”股関節骨頭壊死、股関節症” 、“脊柱管狭窄症”、“膝関節症”、“股関節・大腿骨近位の骨折”が多い結果であります。整形外科では、前腕の骨折や股関節の骨折等の外傷疾患は緊急手術を含め、早期対応をおこない、変性疾患はエビデンスに基づく治療を心がけ、早期機能回復に努めます。 形成外科
形成外科では顔⾯をはじめとして体表⾯のあらゆる変形を扱っており、先天性の変形から病気や外傷の⼿術後の後天性変形まで広く再建、形成⼿術を⾏っています。特に乳がん切除後の乳房再建では、⾃家組織と⼈⼯乳房の両⽅の⼿術を⾏っており、乳頭乳輪形成に⾄るまで独⾃の⼿術で、再建したと分からない美しい乳房の再建を⽬指して治療を⾏っています。
近年、⾃動⾞の安全装置(エアバック等)の発達で減少傾向の顔⾯⾻⾻折ですが、当院には⼆輪⾞・⾃転⾞の事故やスポーツ中のけがで受傷した顔⾯⾻⾻折患者が多く訪れており、⼿術を中⼼にした治療を⾏っています。 また形成外科では⻑年、培養表⽪移植や多⾎⼩板⾎漿(PRP)治療などの先進医療に取り組んで来ており、⽪膚の良性・悪性腫瘍に対して単に腫瘍を切除するだけではなく、できるだけ⽬⽴たない傷痕になる治療を⾏っています。 皮膚科
1位の膿皮症は蜂窩織炎や丹毒などといった皮膚感染症で、外来治療では不十分な重症患者さんを入院治療しています。抗生剤の点滴が主な治療であり、1週間から2週間の入院を要します。
2位の皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外)に対する治療としては皮膚悪性腫瘍切除術や局所⽪弁術、植皮術が中心になります。 3位の悪性黒色腫はほくろのがんで、皮膚悪性腫瘍切除術やセンチネルリンパ節生検、所属リンパ節郭清術といった手術を行います。 4位の重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患は水疱症などの自己免疫疾患が該当し、高用量のステロイド内服を要する重症なものが入院の対象になります。 5位の皮膚の良性新生物は、脂肪腫などの良性の腫瘍で大型である場合、入院手術が必要な例が該当します。 ※上記一覧表では10名未満の場合には患者さんが特定される可能性があるため、人数を記載せず「-」と表示しています。 腎泌尿器外科
1位の経尿道的尿管ステント留置を必要とする⽔腎症とは何らかの原因で尿路の通過障害を起こし、尿が腎臓の腎盂という場所にたまった病態です。その⽔腎症の原因には、尿路結⽯、尿路のがんや他の悪性腫瘍の尿管周囲への転移・浸潤、⻑期間にわたる排尿障害などがあります。⽔腎症は放置すると腎機能悪化の原因となり得ますので、通過障害の部位を的確に診断し、それを解除することが重要です。
2位の膀胱腫瘍は膀胱粘膜に発⽣する腫瘍で、⾁眼的⾎尿で発⾒されることが多い病気です。最初の治療として尿道より内視鏡を挿⼊し、膀胱腫瘍を電気メスで切除します。 3位の腎盂・尿管がんは尿の通り道である腎盂・尿管に発生するがんで、半数以上が浸潤がんとして発見されます。転移を認めない場合は腎尿管全摘除術という手術治療が行われ、転移症例は抗癌剤を用いた全身治療が選択されます。 4位の前⽴腺の悪性腫瘍は前⽴腺がんが⼤半を占めます。前⽴腺がんは⾼齢者に認められ、近年は無症状で前⽴腺特異抗原という腫瘍マーカーが⾼値で健診等で発⾒されることが多い病気です。確定診断は前⽴腺針⽣検という前⽴腺に直接針を刺して、前⽴腺組織を採取してがんの有無を確認します。当院では⽣検前に撮影したMRI画像を特殊な機器を⽤いて⽣検時に使⽤する超⾳波画像に取り込みます。MRI画像ではがんの部位がある程度同定されているので、その情報は超⾳波画像に引き継がれます。がんの可能性が⾼い部位を超⾳波で狙いを定めて検査を⾏います。結果的にがんの検出率が⼤幅に改善します。 5位の腎臓または尿路の感染症は腎盂、膀胱、前立腺、精巣上体に生じる感染症で、それぞれ腎盂腎炎、膀胱炎、前立腺炎、精巣上体炎と呼ばれます。抗生剤の治療が高熱が生じる場合は入院で点滴治療を行います。 産婦人科
当院産婦⼈科は産婦⼈科診療の4本柱である「周産期」「⽣殖」「婦⼈科」「⼥性ヘルスケア」に加えて、「腹腔鏡⼿術」「遺伝⼦診療」の6領域全てに対応することが可能なスタッフを有しています。⼜、⽇本婦⼈科腫瘍学会が認定する、婦⼈科腫瘍指導医・専⾨医が複数在籍しており、婦⼈科悪性腫瘍を中⼼とした婦⼈科診療に関しても県内トップクラスの症例数を有しています。その為、令和4年度も婦⼈科悪性疾患が病名トップ5に4つランクインしています(12002xxx99x40x、12002xxx01x0xx、120010xx01x0xx、12002xxx02x0xx)。⼜、⽇本産科婦⼈科内視鏡学会認定腹腔鏡・⼦宮鏡技術認定医も複数在籍しており、積極的に低侵襲⼿術を取り⼊れていることから、婦⼈科疾患の中でも良性疾患に対する腹腔鏡⼿術による⼿術数が増加しています(120060xx02xxxx)。同様に悪性腫瘍⼿術に対しても適応を⾒極めた上で、婦⼈科腫瘍指導医・専⾨医並びに⽇本産科婦⼈科内視鏡学会認定腹腔鏡・⼦宮鏡技術認定医と共同で低侵襲⼿術に取り組んでいます。
眼科
⽩内障は⾼齢化社会の今、ほとんどすべての⾼齢者の⽅がお持ちの疾患といえます。その⽩内障を治療する⽩内障⼿術は、⽼化した⽔晶体を眼内レンズに置き換えることで、視⼒を改善させる画期的な⽅法です。当院は白内障の入院手術にも日帰り手術にも対応しています。⽩内障⼿術の術式は確⽴されているため、今は眼内レンズの種類で患者様のニーズにお応えするようにしています。具体的には希望のある患者様には多焦点眼内レンズ(選定療養)もお勧めしています。当院では患者様のニーズに対応できるよう多くの種類の眼内レンズから選択できるようになっています。
眼科的に⾼度な技術を要する網膜剥離や網膜硝⼦体疾患に対する⼿術は年間447件(その他の疾患を合わせると年間500件以上)⾏われています。特に緊急性の⾼い網膜剥離については、必要とあらば緊急⼿術という形で対応しております。 また近年増加傾向にある加齢⻩斑変性症に対しては最新型の光⼲渉網膜断層撮影装置(OCT)、造影剤を使⽤せずに脈絡膜の⾎流を評価できるOCT angiography(光⼲渉断層⾎管撮影)による正確な診断のもと、抗VEGF(抗⾎管内⽪増殖因⼦)薬治療、光線⼒学療法を⾏っております。 耳鼻咽喉・頭頸部外科
⿐汁や⿐閉、⿐ポリープを伴う慢性副⿐腔炎の⼿術は、術後の出⾎リスクを考慮し⼊院⽇数を5⽇間程度と設定しておりますが、出血のリスクが低い症例に関しては3〜4⽇程度の短期⼊院で⼿術を⾏う場合もあります。また、合併症のリスクが⾼い症例に関しては、ナビゲーションシステムを⽤いて安全第⼀で⼿術を⾏っております。
急性扁桃炎を繰り返し⽣じる慢性扁桃炎に対する⼿術は、術後出⾎の合併症を早期に発⾒し対応するため、⼊院⽇数を9⽇間と設定しております。また、⼩児に対して⼿術することも多いため、平均年齢も他と⽐べると低くなっています。またアデノイド切除のみの場合は3~5日程度の短期入院で手術を行うことがあります。 耳下腺等の唾液腺に生じる唾液腺腫瘍に対する手術は、術後創部にドレーンを留置することが多く、通常、術後2~4日程度で抜去します。抜去後に出血等がないことを確認し退院することが多いため、入院期間は5~7日程度で行っております。口腔・咽頭に生じる腫瘍に対する手術は、術後に出血がないことや食事摂取可能となることを確認した上で退院となるため、通常5~7日間程度の入院期間となるケースが多いです。 頭頚部悪性腫瘍手術に関して、喉頭癌や下咽頭癌に対する喉頭全摘術や咽喉頭頚部食道全摘術・遊離空腸再建術を施行した場合、食事摂取可能となるまで14日程度の期間を要する場合があります。入院期間も長く、退院となるまでリハビリを並行し行うことが多いため入院期間が長いケースが多いです。甲状腺癌や唾液腺癌に対する手術に関しては、比較的安静期間が短いため、通常であれば7日程度で退院となるケースが多いです。リンパ節転移を伴っており、頚部リンパ節郭清術を並行した場合は14日程度の入院となる場合もあります。 咽頭痛や嚥下時痛、発熱等を⽣じる急性扁桃炎や急性咽喉頭炎は、外来治療で改善が乏しい⽅や経⼝摂取が困難な⽅には⼊院での治療を⾏います。扁桃周囲膿瘍まで進⾏した場合は、基本的にはほぼ全ての⽅に対して⼊院をお勧めしています。 放射線診断・IVR科
放射線診断・IVR科での入院治療の対象となる疾患は大部分が血管奇形です。主に肺動静脈奇形(瘻)、四肢・軟部の血管奇形などがあります。肺動静脈奇形は、毛細血管を介さず肺動脈から肺静脈へ直接交通をもつ先天的な血管形成異常です。自覚症状に乏しく、健診で偶然発見される場合も多いですが、脳膿瘍、脳梗塞や低酸素血症による労作時息切れ、チアノーゼなどが問題となります。四肢・軟部の血管奇形には様々なタイプがありますが、血管の拡張・血栓形成・虚血などにより、疼痛・腫脹・出血・潰瘍などの症状をきたします。
※上記一覧表では10名未満の場合には患者さんが特定される可能性があるため、人数を記載せず「-」と表示しています。 救急科
比較的若年の薬物中毒、精神作用物質使用による精神及び行動の障害の多くは自傷行為であり、精神科疾患の併存と、摂取した薬剤によって多様な症状と重症度を呈するため、対応に難渋する病院も多く、3次救急である救命救急センターとして積極的に応需しています。
高齢化社会における誤嚥性肺炎は増加の一途であり、呼吸不全と感染症を想起する発熱を伴うことによる重症感から、3次救急である救命救急センターへ搬送となることが多い疾患です。廃用症候群の進行によってもとの生活に戻れない経過も多いため、在院期間も長く、高い転院率にも反映されています。 徐脈性不整脈の原因としては、洞不全症候群と房室ブロックが代表的ですが、心肺停止の前後でも頻出する病態であり、3次救急である救命救急センターでの対応が必要となります。 ※上記一覧表では10名未満の場合には患者さんが特定される可能性があるため、人数を記載せず「-」と表示しています。 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
【胃がん】
胃がんは前年に比べるとStageⅠ, Ⅱの症例は減少、StageⅢ,は増加、StageⅣは横ばいでありました。(StageⅠ 113例、StageⅡ 17例、StageⅢ 21例、StageⅣ 15例、不明 30例) StageⅠは消化器内科にて内視鏡治療を行ったものや、その後に外科的切除を行った症例も含まれており、内科と外科が連携して治療を行っています。StageⅣは、基本的には腫瘍内科での抗がん剤治療となりますが、症例によっては緩和手術としてバイパス術も積極的に行っております。再発症例67例に対しては、残胃癌として手術を行った症例や腫瘍内科とともに抗がん剤治療や緩和治療を行った症例が含まれます。 【大腸がん】 大腸がんは前年に比べ36例減少しました。(StageⅠ 80例、StageⅡ 45例、StageⅢ 49例、StageⅣ 21例、不明 35例)StageⅠは増加しましたが、それ以外のでは減少傾向です。StageⅠは内視鏡治療適応症例は主に消化器内科で切除を行っており、追加切除が必要な症例にはその後に外科的切除を行っています。大腸がんはStageⅣ症例に対しても、症状緩和や予後改善を期待して積極的に手術を行い、その前後で抗がん剤治療を導入しています。また、局所進行直腸がんにおいては、術前放射線化学療法の後に手術を行う症例もあります。 【乳がん】 乳がんは初発乳がんでStageⅠ 279例、StageⅡ 243例、StageⅢ 26例、StageⅣ 10例未満、不明は17例でした。 StageⅠ~Ⅲに対しては手術療法に加えて、放射線療法や薬物療法を行い、根治を目指します。再発症例であっても、手術局所やリンパ節にがんがとどまる場合には、再度の切除手術を行い根治を目指しています。StageⅣや(骨・肺・肝などへの)遠隔転移を伴う再発には薬物療法を中心に治療を行います。その際の薬剤選択は乳がんの種類(サブタイプ)に応じて、ホルモン剤、抗がん剤、分子標的薬の中からエビテンスに基づき選択します。 また乳腺内分泌外科では新規薬剤の治験にも数多く参加しております。患者さんにとっては治療の選択肢を増やすことにもなり、患者さんと共に未来の標準治療を作ることを積極的に取り組んでいます。 【肺がん】 肺がんはStageⅠ 126例、StageⅡ 21例、StageⅢ 77例、StageⅣ 131例、不明 74例、再発転移 171例でした。令和3年度に比べるとコロナ禍も明けて健診等の医療環境が回復傾向にあり受診症例が多くなったと予想されます。 StageⅠ~ⅡおよびⅢの一部に手術適応があり、主に胸腔鏡を用いた肺葉切除術およびリンパ節郭清を行います。それ以外の病期や再発転移症例には抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害などの薬物療法に放射線治療を追加したりする治療が行われます。さらに症例によっては新薬治験や術前導入療法を先行し腫瘍を小さくした後に外科治療を加える集学的治療も積極的に行っています。 【肝がん】 肝臓がんは近年C型肝炎ウイルスの治療の進歩により減少傾向ですが、依然再発症例は多く、治療を要しております。手術においては一括での切除不能症例も二期的手術や化学療法を併用した治療などの高難度手術を行っています。内科でも再発治療や切除不能例に対する焼灼治療を積極的に行っています。 ※上記一覧表では10名未満の場合には患者さんが特定される可能性があるため、人数を記載せず「-」と表示しています。 成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)流行に対する感染防御の取り組みの効果もあり、令和2年度、令和3年度と肺炎の症例数は減少傾向にありましたが、令和4年度はほぼ前年と同様の症例数となりました。コロナ感染症の5類への移行に伴い、コロナ感染の流行は今後拡大していくことが懸念され、高齢者を中心とした肺炎の増加が懸念されます。80歳を超えるような高齢の方には肺炎による入院中に筋力や意欲の低下を来し、なかなか元の生活に戻れない方も多くみられます。入院治療により肺炎症状が軽快したら、速やかにリハビリを進め、御自宅や施設にお返しし、日常生活に戻れるような病病連携、病診連携、在宅支援等のネットワークづくりが必要です。介護保険等の支援制度も適切に活用しながらできるだけ早く日常生活に戻るステップを開始できるよう、地域医療の皆様との連携を更に深めていきたいと思います。肺炎予防方法としての新型コロナワクチン、インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンの接種や口腔衛生の管理、嚥下訓練も普及が必要と思われます。
※上記一覧表では10名未満の場合には患者さんが特定される可能性があるため、人数を記載せず「-」と表示しています。 脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
当院は、超急性期血栓溶解療法およびカテーテルによる機械的血栓回収療法が24時間365日対応可能な、日本脳卒中学会により認定された一次脳卒中センター(Primary Stroke Center)コア施設です。脳卒中集中治療室(SCU:Stroke Care Units)を設置しており、常時、重度な合併症を有する脳卒中に対して治療可能です。先進の診断技術と多職種によるチーム医療により迅速に脳卒中診断を行い、病状が安定していれば急性期より病棟内に備えられたリハ訓練室でリハビリテーションを開始し効果をあげています。また、病態が複雑かつ緊急性の高い院内発症脳卒中に迅速に対応できるように、当院では2018年5月より「院内発症脳卒中対応チーム(iSAT:in-hospital stroke action team)」を脳の専門家である脳神経内科、脳神経外科、脳卒中リハビリ認定看護師、脳神経病棟看護師で編成し、良好な治療成績を上げています。さらに脳卒中の原因が潜在性心房細動や卵円孔開存症など心疾患の場合、脳神経内科医、循環器医からなるBrain Heart Teamで慎重に議論しデバイス治療を含む治療方針を決定しています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
呼吸器内科
1,3位について、悪性腫瘍(肺がんや食道がんなど)や結核などの良性疾患による中枢気道狭窄は、病状の進展速度によっては救命のための緊急的な処置を必要とすることもある病変です。当科は中枢気道狭窄に対するステント留置術やレーザーによる腫瘍焼灼など、気管支鏡的治療をこれまで数多く実施しており、また多くの医療機関より症例の御紹介を頂いております。気管支鏡を使用した治療的介入は今後も引き続き力を入れていきたいと思います。このところ症例数は増加しつつあります。背景としてコロナ感染後の受診控えによる腫瘍性病変の進行が懸念されます。
2,4位について、肺がんの治療は有効な薬剤、治療方法の革命的な進歩により、たとえ進行期でも生命の予後は改善しつつあります。一方、そのために長期の治療が必要となり、抗がん剤投与のための点滴ルート確保が難しくなる患者さんもいらっしゃいます。そのような場合に抗がん剤の漏出の危険性が低く安全に投与を継続するための点滴路として植え込みカテーテルを留置いたします。 5位について、気胸は胸膜の破綻により空気が肺から胸腔に漏れる疾患で、通常は安静やドレナージで内科的治療をいたしますが、気漏(空気漏れ)が改善しない症例の場合は、耐術能があれば呼吸器外科で嚢胞切除術を行います。呼吸機能が悪いなどの理由で手術ができないような症例に対しては、胸膜の破綻部位への空気の通り道の気管支を同定し、そこを塞栓子で閉塞するという気管支鏡的治療を行います。 ※上記一覧表では10名未満の場合には患者さんが特定される可能性があるため、人数を記載せず「-」と表示しています。 循環器内科
K5951 ⼼房細動が起きていると思われる4本の肺静脈と左⼼房の間に⼼臓の内側から⾼周波もしくは冷却焼灼を⾏い、伝導の絶縁部分を作り、肺静脈からの電流が心房に入れなくなります。どちらの治療も体に⽬⽴った傷が残らず、根本的な治療を⽬指しています。
K555-22 固くなった⼤動脈弁に対して、開⼼⼿術という⽅法ではなく、通常のカテーテル検査や治療と同じやり⽅で、動脈⾎の流れに逆⾏させながら⾵船の上にたたまれた⽣体弁を適切な場所へ持っていき、留置する治療法です。外科的⼿術ができない患者さまにも⾏うことができ、また外科的⼿術のような⼤きな傷が残りませんので、⼿術後1週間ほどで退院できます。 K5493 詰まっているもしくは詰まりかけた冠動脈を拡げる治療法です。当院では外来の検査で必要と判断された⽅にのみカテーテルを⽤いた冠動脈造影検査を⾏い、虚⾎が証明された病変に対して⾵船で広げた後にステントという薄い⾦網を内張りします。ステントは⾎管が狭くなりにくい薬剤が塗布されたステントを使⽤することが多く、⼿術後2〜3⽇で退院できます。 K5492 不安定狭⼼症の診断で、詰まりかけた冠動脈を拡げる治療法です。タイミングを逃すと急性⼼筋梗塞に移⾏するため、⼊院の上で治療が必要です。カテーテルを⽤いた冠動脈造影検査を⾏い、病変に対して⾵船で広げた後にステントで内張りします。ステントは⾎管が狭くなりにくい薬剤が塗布されたステントを使⽤し、治療後に⼼臓リハビリを⾏いますので、約1週間の⼊院が必要です。 K597-2 徐脈性不整脈で心拍を補助する必要がある場合、ペースメーカの電池を皮下に、電線を鎖骨下静脈を経由して右心室へ、場合に応じて右心房にも留置します。局所麻酔の上で皮膚に小切開を行います。約4日間の入院が必要です。 消化器内科
内視鏡的⼤腸ポリープ・粘膜切除術あるいは胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術とは、内視鏡を⽤いてスネア(投げ縄型の電気メス)という輪状の針⾦などでポリープを切除する⽅法です。
内視鏡的胆道ステント留置術とは、胆⽯や悪性腫瘍によって胆汁の通り道である胆管が狭窄・閉塞した場合に、プラスチックや⾦属でできた通り道であるステントを内視鏡で⼊れる治療法です。 早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術とは、早期の胃癌に対して、内視鏡で消化管の内腔から癌を切り剥がし、病変を⼀括切除するという治療法です。 ⼩腸結腸の内視鏡的⽌⾎術は、様々な原因で⼩腸や結腸から出⾎した場合に内視鏡でその出⾎源を探し出し⽌⾎処置を⾏う治療法です。 腎臓・高血圧内科
血液透析患者さんにとって透析のための血管アクセスは命綱のような大切なものです。特に、高齢化により良好な血管アクセスが作製できない、あるいは血管アクセスのトラブルを頻回に起こす患者さんも多く、近隣の透析施設が大学病院に期待する治療として、血管アクセス関連手術(経皮的シャント拡張術・血栓除去術、内シャント設置術、上腕動脈表在化法、内シャント血栓除去術など)が適切なタイミングで安全に実施されることが重要な意味を持っています。
令和2年度より新型コロナウイルス感染症の蔓延により、これまで短期入院で行ってきた経皮的シャント拡張術・血栓除去術の多くを外来治療に変更しました。また、入院が必要な症例においても入院期間を短縮させることで平均入院日数は明らかに短くなりました。さらに、これまでX線透視下で行われてきた経皮的シャント拡張術については豊富な経験を持つ医師の指導の下、高性能超音波装置を用いた経皮的シャント拡張術を導入しました。これにより患者さんへの放射線被爆を低減することが可能となっています。当院では血管アクセストラブルを頻回に生じた症例を紹介いただくことが多いため血管移植術、バイパス移植術にも積極的に取り組んでいます。 ※上記一覧表では10名未満の場合には患者さんが特定される可能性があるため、人数を記載せず「-」と表示しています。 腫瘍内科
腫瘍内科では消化器がんを中心に、化学(放射線)療法や緩和療法を行っています。手術手技として行われるものとしては、化学療法の投与目的や食事摂取不良に対する中心静脈栄養を目的とした植込型カテーテル設置が多く行われています。植込型カテーテル設置は緩和治療として行う場合が多いため、高齢者が多く、全身状態をしっかり評価してその必要性を見極めるために、術前の入院日数が長めになっています。また、腫瘍による胆道閉塞・上部消化管狭窄または閉塞に対してステント留置術を行っています。胆道閉塞に対するステント留置術は、緊急で行うことが多いため術前の入院日数は短く、一方上部消化管狭窄に対しては、状態を見極めて行うため術前の日数が長くなっています。
※上記一覧表では10名未満の場合には患者さんが特定される可能性があるため、人数を記載せず「-」と表示しています。 小児科・新生児科
【小児科】
小児先天性疾患・循環器疾患の中では、先天性心疾患が多くみられます。近隣からの紹介も増え、それに伴って手術件数も増加しています。先天性心疾患の開心術においては人工心肺を使用し、新生児・乳児重症例では、術後管理においても人工心肺・体外式膜型人工肺が使用される症例もみられます。その際、術中術後自己血回収術も積極的に行われ、輸血量を減らしたり自己血で完結する努力もされています。心臓カテーテルは検査法としても治療法としても重要であり、経皮的肺動脈形成術はその典型的な術式のひとつです。また、こうした重篤な先天性心疾患の周術期管理や集中治療管理においては、新生児蘇生術が実施される局面もしばしばみられます。 【新生児】 新生児仮死は、分娩前・中に状態が悪くなるために発生する病態です。当院は総合周産期母子医療センターでより重症な妊婦、新生児を管理していることを反映している結果と考えています。仮死第1度と仮死第2度は重症度の違いによる分類で、第2度はより重症な仮死である事を示します。 経皮的肺動脈形成術は、肺動脈のサイズが小さい場合又は肺動脈弁が狭くなっている場合に行う手術です。また、動脈管開存症手術(経皮的動脈管開存閉鎖術)は早産などの理由で動脈管が自然閉鎖しない場合に実施する手術です。小さな児に実施する治療であり、繊細な技術を要求される手術です。 網膜光凝固術は、未熟児網膜症に対して行う手術です。レーザーを網膜に照射して、網膜の無血管野を焼灼し、異常な血管の増殖を防ぎます。1000-1500g程度の時期に行う事が多く、患者に多大なストレスがかかる手術です。また、小さい眼球で実施する必要があるため、心臓手術同様に繊細な技術が要求されます。 当院では周産期総合医療センター、こどもセンターの経験豊富な医師、看護師が共同して術後管理にあたり、術後のお子様に細やかなTotal careが行われるよう心掛けております。 ※上記一覧表では10名未満の場合には患者さんが特定される可能性があるため、人数を記載せず「-」と表示しています。 消化器・一般外科
消化器・一般外科では、消化器系(食道、胃、小腸、大腸、肝臓、膵臓、胆道、脾臓)の悪性および良性疾患、成人の各種ヘルニア、痔核、痔瘻、直腸脱など肛門疾患の手術を行っており、高難度の腹腔鏡手術も積極的に行っています。また、当院救命救急センターと連携し、高度外傷手術から急性虫垂炎や胆嚢炎に至るまで対応しております。
令和4年度に行いました手術は、1位 腹腔鏡下胆嚢摘出術、2位 鼠径ヘルニア手術、3位 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの)、4位 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満)、5位 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術でした。消化器・一般外科におきまして、良性や悪性の定時手術から急性腹症の緊急手術まで幅広く取り組んでいる結果を表しております。 ※上記一覧表では10名未満の場合には患者さんが特定される可能性があるため、人数を記載せず「-」と表示しています。 心臓血管外科
傷んだ⼼臓の弁膜を⽣体弁や⼈⼯弁へ取り換える弁置換⼿術、傷んだ弁を主に自己組織を利用して修復する弁形成術、胸部⼤動脈瘤に対する⼈⼯⾎管置換術などは⼈⼯⼼肺を使⽤して施行しています。腹部⼤動脈瘤や胸部⼤動脈瘤に対するステントグラフト内挿術も積極的に⾏っています。⼤動脈瘤に対して、⼩さな⽪膚切開からカテーテルを使って⾎管内に⼈⼯⾎管を置く⼿術で、体への負担が少なく、⾼齢者等体⼒のない患者さんに適しています。冠動脈バイパス術は、9割以上で⼼臓を⽌めない「オフポンプバイパス術」を⾏っております。その他で⽐較的多く⾏われる⼿術は、下肢の閉塞性動脈硬化症に対するバイパス⼿術があります。下肢静脈瘤に対しては、ラジオ波を⽤いたカテーテル治療の下肢静脈瘤⾎管内焼灼術を⾏っています。従来の下肢静脈瘤抜去術と⼊院⽇数は変わりませんが、術後の回復が早いことが特徴です。⽇帰りでの⼿術にも対応しています。
※上記一覧表では10名未満の場合には患者さんが特定される可能性があるため、人数を記載せず「-」と表示しています。 呼吸器外科
呼吸器外科で最も多い手術は原発性肺がんに対するもので、これに他臓器からの転移性肺悪性腫瘍を加えた肺の悪性腫瘍に対し、腫瘍進行度と悪性度及び患者さんの耐術能を考慮した最適な手術術式の選択を心掛けています。すなわち、原発性肺がんで、肺機能をはじめとした全身状態に問題がない患者さんに対しては、標準手術としての肺葉切除およびリンパ節郭清術が行われます。一方、肺の末梢にある小型早期肺癌、高齢者や肺機能をはじめ全身状態に問題のある患者さんに対しては、より身体への負担の少ない低侵襲機能温存手術として、肺の切除範囲を縮小した肺区域切除術や肺楔状切除術(部分切除)を行っています。現在では殆どの手術は胸腔鏡を使用して皮膚の切開創を小さくして行うことが多くなり、かつ手術の安全性を担保した術式選択をしています。最近では完全鏡視下手術に加えて*Single port手術も導入しております。
また若年男性や肺気腫患者さんに突発的に生じることが多い気胸に対する根治手術として、原因となる肺のう胞を切除する胸腔鏡下肺切除術を行っています。 入院期間の短縮を心掛けていますが、肺がんは高齢者に発症することが多く、術後の回復に時間を要します。一人暮らしの方も少なくないため、それらを考慮した適切な術後在院日数を心掛けています。 * Single port手術…単一の小さい孔を開け、その孔だけで完了する手術です。 ※上記一覧表では10名未満の場合には患者さんが特定される可能性があるため、人数を記載せず「-」と表示しています。 小児外科
小児外科では、鼠径ヘルニア、陰嚢水腫、停留精巣、臍ヘルニア(でべそ)など小児外科の一般的な手術だけでなく、急性虫垂炎や腸重積症などの救急疾患、新生児外科疾患、小児呼吸器外科疾患、小児悪性腫瘍に対しても手術を行っています。また手術の傷が目立たないように腹腔鏡手術や小切開手術に積極的に取り組んでいます。
最も多い手術は鼠径ヘルニア手術で、K6335鼠径ヘルニア手術とK634腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側)を合わせたもので令和3年度は62人でした。コロナ禍以前と比べると約半分に減っていますが、鼠径ヘルニア手術は不急の手術のため、手術時期を見合わせているためです。女児は傷の目立たない腹腔鏡手術を行っています。男児は、従来の小切開で行っています。主に1泊2日で手術を行っています。 次いで腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの)は23症例でしたが、虫垂周囲膿瘍を伴う急性虫垂炎の患者さんも含めると50症例を上回ります。小児の虫垂炎手術を行っている施設は少ないので、一施設でのこの手術数は全国でもトップクラスです。 停留精巣固定術は停留精巣(睾丸)の患児に対して行われる手術で23症例に行いました。1泊2日で手術を行っております。 陰嚢水腫は1歳までに自然治癒することが大部分ですが、1歳を超えても治癒しないものに対して1泊2日で手術を行っております。 乳腺・内分泌外科
乳がん(乳腺悪性腫瘍)に対する手術は通常合併症等がなければ、前日入院で行っています。乳房部分切除術(乳房温存手術)は術後入院期間も約2日と短く、低侵襲な手術といえます。乳房切除術の場合や乳房部分切除術の場合でも腋窩リンパ節郭清術を行なった場合は、皮下や腋窩に排液用のドレナージ・チューブが入り抜去後退院となるため、術後6日から10日程度の入院が必要です。整容性に配慮し乳頭乳輪を温存し(乳輪温存乳房切除術)、同時にエキスパンダーを用いた乳房再建術を行う術式も積極的に行っています。同時に乳房再建術を行う場合には、エキスパンダーを挿入する部分と術後の創部の管理は形成外科医師が担当します。ドレナージ・チューブを抜去できるまで時間を要するため術後14日間程度の入院が必要になります。
甲状腺手術も通常合併症等がなければ、前日入院で行っています。手術翌日に採血を行い薬の調整が必要となるケース以外のほとんどの症例は術後2日で退院となります。 脳神経外科
慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術:慢性硬膜下血腫は穿頭術で血腫を排出することで速やかに症状回復が期待でき、多くは数日の入院で治療が完了します。
頭蓋内腫瘍摘出術:脳腫瘍の治療は高度な技術を必要とします。脳神経外科では高度医療機関として各種の先端医療機器を駆使した手術のみならず、悪性腫瘍や小児腫瘍などには複数の診療部門から構成される包括的チームで先端医療を提供しています。術中の脳神経機能保護に重点を置いた術中モニタリングを重視しており、良好な治療成績を収めています。また機能障害を有する症例では、周術期からのリハビリテーションを実施して早期の症状回復に努めています。 脳血管内手術:血管内治療は開頭せずに脳血管の病気(脳動脈瘤や脳血管狭窄、脳血管奇形など)を治療できる画期的な低侵襲な治療法です。常に複数の指導医や専門医が在籍しており、最先端の機器を使い治療を行います。複雑な形態の動脈瘤に対してはフローダイバーターをはじめステントアシストコイルなどの高度技術を用いた治療も行い、年々症例数と共に治療成績が向上しています。 内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術:術来の顕微鏡下での鼻鏡を用いた手術から内視鏡を用いた安全かつ微細な摘出術を行っています。更に高度な頭蓋底手術手技を駆使した正中頭蓋底腫瘍の摘出も行っています。また高度医療機関として内分泌疾患センターと協力し術前から術後長期に渡り内分泌機能を重視した治療を行っています。 整形外科
整形外科では、整形外科各領域(足、膝、股関節、脊椎、手、外傷)の疾患に対し、各専門班が手術を担当しております。
令和4年度は、人工関節置換術が最も多い手術となっておりますが、これは人工関節センターを開設して、より多くの患者様が受診してくれた影響もあると思います(特に、肩関節疾患が増えております)。骨折観血的手術(肩甲骨、上腕、大腿)(前腕・下腿・手舟状骨)の患者様も多い結果です。これは当院では救命救急センターがあり、外傷患者様への対応が多いことが影響していると考えます。骨内異物(挿入物を含む)除去術(前腕、下腿)の手術は、骨折の治療で骨に挿入した金属のプレートやスクリュー、鋼線等を抜去する手術であり、骨折の手術が多いとそれに比例する形で多くなります。 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方固定術)も多くなっております。これは脊椎センターを開設して、より多くの患者様が受診した影響と、救命救急センター経由の脊椎外傷患者様への手術増加の結果であります。 形成外科
形成外科では顔面の先天性、後天性変形に対する手術や、皮膚腫瘍、皮膚欠損に対する手術を多く行っています。特に乳がん切除後の乳房再建では、人工乳房(インプラント)と自家組織移植の両方の再建術を行っており、再建数とその仕上がりの美しさは日本でトップクラスの成績を誇ります。当院で行う乳房再建では、人工乳房と自家組織による再建のいずれでもパッチワーク状瘢痕を作らず、再建したことが分からない美しい乳房を再建することを目指しています。
この他、露出部の皮膚腫瘍切除術、顔面骨骨折の治療、外傷・熱傷の治療、傷跡の修整などでも多くの手術を行っており、いずれも良好な結果を得ています。 皮膚科
1位の皮膚悪性腫瘍切除術は悪性黒色腫、基底細胞癌、有棘細胞癌、乳房外パジェット病などの皮膚がんであり、原則として手術前日に入院となります。単純切除や小さい皮弁や植皮の場合は平均術後日数は約7日になっています。
2位の皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径4cm以上)は良性の腫瘍で大きさに応じて入院手術を行っています。 3位の四肢の血管拡張術・血栓除去術は、虚血による下肢皮膚潰瘍などに対して、循環器内科に依頼して下肢の血管を広げていただいたものになります。 4位、5位の皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)は大型の良性の腫瘍で外来での手術が困難な場合に入院手術を行っています。 ※上記一覧表では10名未満の場合には患者さんが特定される可能性があるため、人数を記載せず「-」と表示しています。 腎泌尿器外科
1位の経尿道的尿管ステント留置術とは、何らかの理由(結石・がん・その他)で腎臓と膀胱をつなぐ尿管の通過障害を起こしている場合に、緊急処置として尿管の通過障害を解除するため、ステントと呼ばれる管を腎臓と膀胱の間に挿入することを言います。通過障害を放置すると腎機能の悪化を招くので、通過障害の解除は重要な処置です。
2位の膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)は内視鏡を尿道より挿入し、内視鏡の先端についているループ状の電気メスで膀胱粘膜に発生した膀胱腫瘍を切除する手術です。治療の意味合いもありますが、同時に切除した組織を詳しく調べて腫瘍の深さ、悪性度、組織型などを確認します。筋肉に浸潤していない筋層非浸潤性膀胱がんは経尿道的膀胱腫瘍切除術のみでは再発する頻度が高く、再発予防目的に膀胱内に薬物注入療法を行うことがあります。その際も切除した組織の結果をもとに注入する薬物の種類や投与期間などを設定します。 3位の腹腔鏡下小切開前立腺悪性腫瘍手術は前立腺がんに対して行われる手術で、小さい切開創で行う手術です。この手術は従来の開放手術の安全性と、腹腔鏡手術の低侵襲性の両者の利点を取り入れた手術法です。手術関連器材や術式は常に改良・発展がつづいており、腎泌尿器外科ではこれらの進歩が患者さんの安全性の向上や侵襲性の低減につながっていくように考慮しつつ手術にあたっています。 4位の腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術は腎および腎尿管の悪性腫瘍に対して、腹腔鏡を用いて腎臓あるいは、腎臓および尿管を一塊として摘出する手術です。開放手術と比較すると、手術のキズが小さく、術後の痛みは少なく、入院期間が短いことが特長としてあげられます。 5位の経尿道的尿管狭窄拡張術は、尿路結⽯、尿路のがんや他の悪性腫瘍の尿管周囲への転移・浸潤などが原因で尿管の通過障害を起こした病態に対して、尿管を拡張し、尿の通過を修正する手術です。感染や腎機能改善を目的に行われます。 産婦人科
当院産婦人科は産婦人科診療の4本柱である「周産期」「生殖」「婦人科」「女性ヘルスケア」に加えて、「腹腔鏡手術」「遺伝子診療」の 6領域全てに対応することが可能なスタッフを有しています。当院は、日本産科婦人科内視鏡学会認定腹腔鏡・子宮鏡技術認定医を複数有しており、積極的に低侵襲手術を取り入れていることから、婦人科疾患の中でも良性疾患に対する腹腔鏡や子宮鏡手術による手術数が増加しています(K8882、K872-2、K877-31)。さらに、日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍指導医・専門医も複数在籍しており、婦人科悪性腫瘍等を中心とした婦人科診療に関しても県内トップクラスの症例数を有しております(K879、K867)。
眼科
水晶体再建術は、白内障に対する標準的な手術です。当院にご紹介いただいた患者様には責任をもって手術を行っております。多焦点眼内レンズを含め多種類の眼内レンズを選択可能であり、患者様のニーズに合わせた眼内レンズを選択できるようになっています。
当院で行っている硝子体茎顕微鏡下離断術などの網膜硝子体手術は、糖尿病網膜症、黄斑円孔、黄斑前膜、網膜剥離、硝子体出血などをはじめとして、網膜硝子体疾患全般に渡っております。網膜剥離などの緊急手術症例に対しては、紹介後速やかに手術を受けていただけるようなシステムになっております。 緑内障手術については低侵襲緑内障手術(Minimally Invasive Glaucoma Surgery:MIGS)が多く行われるようになりました。眼内法の流出路再建術はその一つであり、白内障手術と同時に施行することができます。また、点眼や低侵襲緑内障手術等の治療で眼圧コントロールが難しい緑内障の患者様には、眼圧下降作用の強い濾過手術も行っています。 耳鼻咽喉・頭頸部外科
内視鏡下鼻・副鼻腔手術(慢性副鼻腔炎の手術)や内視鏡下鼻中隔手術(鼻中隔弯曲症の手術)、内視鏡下鼻腔手術(肥厚性鼻炎等の手術)は入院日数を4~5日間と入院期間短縮を心がけております。また、合併症のリスクが高い症例などは、ナビゲーションシステムを用いて安全第一で手術を行っております。
口蓋扁桃摘出術(慢性扁桃炎の手術など)は、術後出血の合併症を早期に発見し対応するため、術後日数が7日間(合計9日間)としております。また、小児に対して手術することも多いため、平均年齢も他と比べると低くなっています。従来よりも手術時間の短縮に繋がるパワーデバイスを使用した術式、低年齢児でも安全に行える術式などを採用しています。 扁桃周囲に膿瘍を形成した扁桃周囲膿瘍に対しては、ほぼ全ての方に入院をお勧めしています。その上で、扁桃周囲を切開もしくは穿刺を行い、膿瘍を排出させます。基本的に入院期間は5~7日間です。 声帯ポリープや喉頭乳頭腫などの喉頭微細手術や喉頭腫瘍摘出術(直達鏡))は約3日間の入院としております。頭頸部がんで、喉頭全摘術や再建を必要とする手術では1か月以上の入院となることがあります。咽頭の表在がんに対し、消化器肝臓内科と協力して経口腔手術を行っております。 慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎に対する鼓室形成手術は、約5日間の入院を基本としておりますが、2泊3日の短期入院で手術を行う場合もあります。内視鏡で手術が可能な症例では低侵襲な経外耳道的内視鏡下鼓室形成術を積極的に行っております。またアブミ骨手術や人工内耳植込術や植込型骨導補聴器移植術なども積極的に行っております。 放射線診断・IVR科
血管塞栓術とは、皮膚から直接血管内に挿入したカテーテルを通じて塞栓物質を注入し、標的の血管を詰める治療のことです。肺動静脈奇形の塞栓術では鼠径部の静脈から2㎜径程度のカテーテルを挿入し、肺動脈と肺静脈との交通の部分にコイルやプラグなどを留置し、交通を閉鎖します。通常4日以内の入院で治療を施行します。体の表面に傷はほぼ残らず、合併症も少なく、体に優しい治療です。その他に四肢・軟部の動静脈奇形に対しても塞栓術を施行し、同様に動静脈の交通を塞栓物質で閉鎖します。
中心静脈注射用植込型カテーテル設置とは、中心静脈ポートとも呼び、抗がん剤治療や栄養目的の点滴ルートのためにカテーテルに小さなタンクを接続したものを前胸部や上腕の皮膚の下に埋め込む手術です。多くの場合は、日帰り手術で行いますが、他科での治療に合わせて入院で行うこともあります。 経皮的食道胃管挿入術(PTEG)とは、解剖学的に胃瘻造設が難しい方や腹水が貯留しており胃瘻造設に危険を伴う患者さんに、頸部の食道から超音波やX線画像を駆使して、チューブを胃まで挿入する手術です。通常4日以内の入院で治療を施行しますが、腸閉塞の治療が困難な場合やどうしても経腸栄養が必要な状態で他科に入院中に行うことが多いです。 ※上記一覧表では10名未満の場合には患者さんが特定される可能性があるため、人数を記載せず「-」と表示しています。 その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
肝損傷などの重篤な外傷や、肝臓がんや膵がん、肺がんあるいは心臓血管外科疾患などの大手術後に血液の凝固に異常をきたす播種性血管内凝固症候群がおこることがあります。また、様々な感染症などから血液中に病原菌が入り敗血症になりこれが原因で播種性血管内凝固が引き起こす場合もあります。
播種性血管内凝固症候群とは外傷や、がん、急性白血病、細菌による重度の感染症などの疾病をきっかけとして全身の細い血管に血栓が生じ過度の出血症状が見られたりする重篤な合併症です。当院は数多くの併存症を持った患者さんの手術を行っています。このためこれら手術後等に播種性血管内凝固症候群を合併することもあります。また当院は重篤な患者さんを主に受け入れる救命救急センター(3次救急)があり、他の病院で播種性血管内凝固症候群を合併した患者さんの治療目的で紹介され入院する場合も多くあります。 「入院契機と同一」とは、入院時すでに播種性血管内凝固症候群と診断された患者さんで、10名未満でした。一方、「入院契機と異なる」とは、入院した時には別の病気で入院しましたが、入院中に播種性血管内凝固症候群を起こし、この治療に多くの時間・医療費が必要であった場合で26名(発生率0.13%)の患者さんがいました。令和3年度と比べると0.03%の増加となっております。 敗血症の患者数は、入院した時から敗血症と診断された患者さんは42名であり、令和3年度比べると横ばいの状態です。一方で入院した時には別の病気で入院し、その後に敗血症を起こした患者さんは29名で、その発生率は0.15%でした。令和3年度と比べると0.04%減少となりました。 入院した時から真菌感染症と診断された患者さんは10名未満、入院した時には別の病気で入院したが、その後に真菌感染症を起こした患者さんも10名未満という結果となりました。 入院時から手術・処置等の合併症と診断された患者数は34名、発生率は昨年から0.04%減少しております。これは腎臓・高血圧内科の入院治療で、透析を行うために必要なシャントが血栓などで閉塞し使用できなくなる合併症が算定上、集計されないためです。 ※上記一覧表では10名未満の場合には患者さんが特定される可能性があるため、人数を記載せず「-」と表示しています。 更新履歴
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当院は幅広い年齢層の患者さんが入院されておりますが、最も多い年齢層は70~79歳で4,910名(25.36%)でした。少子高齢化の時代といわれておりますが、60歳以上の患者さんの割合は59.15%となっており半数以上の割合を占めます。地域がん診療連携拠点病院としてがん治療を積極的に行っていることや脳卒中(脳血管疾患)、急性心筋梗塞などの循環器疾患(3大疾患)が60歳以上の患者さんで多く見られることにより割合を占める結果と考えます。
また総合周産期母子医療センターを有する当院は小児医療も充実していますが、0~9歳の患者さんは1,722名(8.89%)と令和3年度に228名増加、令和4年も引き続き35名増加となりました。