年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
平成27年度の全退院患者数は20,806人で、1日に平均57人の患者さんが退院されています。幅広い年齢層の患者さんが入院されておりますが、最も多い年齢層は70~79歳で4,943人(23.8%)でした。少子高齢化の時代といわれておりますが、60歳以上の患者さんの割合は56%と、この数年、変わりはありません。総合周産期母子医療センターを有する当院は小児医療も充実しており、0~9歳の患者さんは8.3%を占めます。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード
呼吸器内科
1位、2位はこれまでと変化なく、高齢化社会における肺がんと肺炎の患者数の増加を反映したものと考えます。3位の間質性肺炎の増加は新薬(ニンテダニブ)導入に伴う有害事象の有無の観察のための入院が行われるようになったためと考えます。
循環器内科
日本人の死因の第2位が循環器疾患であり、中でも虚血性心疾患は生活習慣病から進展することが多く、当科では早期診断を心がけております。冠動脈疾患に対しては、複雑な病変でなければカテーテルによる冠動脈治療を行います。冠動脈造影と治療はいずれも3日程度の入院で行っています。また、高齢化に伴い心房細動という不整脈疾患が増加し、これが脳塞栓の原因となり得るため、当科では発作性心房細動を中心にカテーテル心筋焼灼術を積極的に行っています。術後は近隣の医療機関とパスによる連携に取り組んでおります。
消化器・肝臓内科
当科に入院する患者さんのうち頻度の高い疾患は、胆管結石・胆管炎、肝がん(肝・肝内胆管の悪性腫瘍)、大腸ポリープや消化管出血です。当科では消化管班、肝臓班、胆膵班の3つの診療グループが、これら代表疾患をはじめ、各疾患に対して高い専門性をもった医療を提供しております。
腎臓・高血圧内科
日本人の高齢化により、高血圧・動脈硬化性疾患の最終像としての腎不全は年々増加しています。実際、最新の日本透析医学会の統計調査では、日本の透析患者は31万人を超えたことが報告されました。当科のDPC病名として最も多いのが腎不全および透析関連であることもそれを示唆するものです。当科では腎不全の進行を抑制することを目的として、慢性腎臓病教育入院を実施しております。又、透析を行うために必須である透析アクセスの造設や維持(それぞれ内シャント設置術、内シャント血栓除去術)は内科でありながら、積極的に行い、透析患者さんのかかりつけ医としての役割を果たし、患者さんの利便性を高めるようにしております。
代謝・内分泌内科
糖尿病センターは健診で初めて指摘された糖尿病予備群から急激に糖代謝が悪化する劇症1型糖尿病に至るまですべての糖尿病患者さんを診療する体制が整っております。とりわけ糖尿病患者さんの教育に積極的に取り組んでおり、医師、看護師、薬剤師、栄養士で構成されたチーム医療で生活習慣の改善指導、合併症の治療を行っております。また近年8人に1人の妊婦さんが妊娠糖尿病になる時代背景を見据え、病院内外の産婦人科と連携のもと安心した周産期、出産が行えるように食事療法の指導やインスリン療法による血糖管理を行っています。内分泌疾患についてもホルモン負荷試験、画像検査、副腎静脈・海綿静脈洞サンプリング等を実施して的確な診断をおこないます。他病棟における糖尿病患者さんに対しても周術期における血糖管理を行うように他科と連携医療を積極的に行い、入院加療における医療の質の向上に努めております。
神経内科
当科において最も多い疾患は発症3日以内の急性期脳梗塞です。血栓溶解療法や血栓をカテーテルで取り除く超急性期治療を行えば、後遺症を少なくすることができます。行った治療と転帰のデータを常に明らかにし、PDCAサイクルの実行を継続的に実施し質の向上に努めております。
次に多い疾患はパーキンソン病です。脳梗塞と同様に要介護となる可能性の高い疾患です。人口の高齢化とともにこれらの疾患は増加しつつありますが、様々な治療法が開発されており、病状にあった治療の選択が可能となっております。 血液内科
当科では悪性リンパ腫を、診断時の病理組織標本に加えフローサイトメトリー法・染色体検査・FISH・遺伝子検査を用い総合的に診断しております。病理医と密に連携し、各々の患者さんに最適な治療法を選択しております。
急性白血病の患者さんには、バイオクリーンルームにて、日本成人白血病治療共同研究グループ(JALSG)プロトコールに沿った化学療法を施行しております。 リウマチ・膠原病・アレルギー内科
膠原病などの全身性臓器障害を伴う自己免疫性疾患は、病態診断・障害臓器の範囲と重症度の把握、これに続く寛解導入療法のために入院を要することが多くみられております。当科では、迅速な診断、ステロイド減量を視野においた積極的な免疫抑制薬併用の使用、並びに合併症予防策を行うことにより、入院期間を短縮するようにしております。関節リウマチは、生物製剤導入目的や、感染症(肺炎など)、皮膚潰瘍などの合併症による入院が多くみられております。また、膠原病における代表的合併症の一つである間質性肺炎に対するシクロホスファミド点滴療法も積極的に行っております。
腫瘍内科
当科では消化器がんを中心に、化学(放射線)療法、緩和治療を行っていますが、昨今ほとんどの治療が外来で施行可能となっております。従って、シスプラチンなどの長時間補液を必要とする治療のみが入院の対象となり、食道がん、胃がんの入院が多くなっております。平成27年度は、胃がんに対して、シスプラチンと同系統で外来投与可能なオキサリプラチンの使用が増えたため、入院での治療を受けた胃がんの患者さんは減っています。当科では、患者さんの生活の質(QOL)をなるべく下げることなく、がんの治療を継続することを目標とし、入院期間は患者さんの要望になるべく沿う形で短期間の場合が多くなっております。
小児科
小児科、新生児科において出生体重2,500g以上では呼吸障害、染色体異常症などが増加傾向にあります。出生体重1,500g以上2,500g未満では呼吸障害、低血糖などが多く、対応に苦慮する症例も多くみられました。肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎に関しては、季節性もありますが、RSウィルス感染によるものが増加傾向にあり、乳幼児ではより重症化する症例がみられました。
消化器・一般外科
消化器・一般外科が対象となる疾患は、消化器系(食道、胃、小腸、大腸、肝臓胆道、膵臓)の良性および悪性疾患、成人の各種ヘルニア、内・外痔核、痔瘻などの肛門疾患です。消化器がんの手術は、開腹手術はもちろん腹腔鏡下手術にも積極的に取り組み、5名の内視鏡技術認定医が常勤しております。肝胆膵外科手術についても、高度技能専門施設Aの基準を満たしており、2名の高度技能認定医が常勤しております。検査終了後、患者さんが納得のいくまで十分に御説明させて頂き、その上で同意の得られた治療を行います。また診断、治療法については他の医療機関にセカンドオピニオンとしての意見を聞くことももちろん可能です。また救命救急センターと連携し、鼠径ヘルニア嵌頓例や急性胆嚢炎、急性虫垂炎、腹部外傷の緊急手術についても24時間、365日対応しております。
心臓血管外科
当科が対象とする疾患は、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞など)、心臓弁膜症、大動脈疾患(大動脈瘤、大動脈解離など)、末梢血管疾患(閉塞性動脈硬化症、静脈瘤など)です。冠動脈バイパス術は9割以上、心臓を止めないオフポンプバイパス術を行っております。傷んだ心臓の弁に対しては、弁形成術や弁置換術を行っておりますが、条件が合う患者さんには術後の早い回復が望める低侵襲心臓弁膜症手術を行っております。また新たに建設したハイブリット手術室において、高齢者やハイリスクな患者さんにカテーテル的大動脈弁置換術を積極的に行っております。大動脈疾患に対しては、カテーテルで人工血管を留置するステントグラフト挿入術を積極的に行い、良好な結果を得ています。
呼吸器外科
当科の治療対象疾患は原発性肺がんが最も多く、手術適応と診断される場合は根治を目指した外科手術をおこなっております。進行例に対しては適切な治療を選択し、まず、術前化学療法、放射線療法などの導入療法を行い、腫瘍を退縮させてから切除を行うこともあります。転移性肺腫瘍にはさまざまな種類があり、多くは他科からの依頼によって手術適応を判断することになります。肺がんは他のがんと比較して手術成績が不良で、術後の再発が多いという特徴があります。術後は外来で定期的検査を行い、再発症例に対しては保存的治療を行います。最近は、分子標的治療の成績が優れていることがわかっており、切除例では必ず肺がんの遺伝子異常を検索し、再発の際に適切な薬剤選択が迅速にできるようにしております。気胸は10代、20代の若年男性に突然発症することの多い疾患です。肺の虚脱によって呼吸困難となることがあり、早急な対応が必要です。
当科では近隣の診療所からの紹介を常時受け付けており、緊急手術にも対応しています。 小児外科
当科で最も症例数が多いのは、鼠径ヘルニアの手術患者さんです。これは平成26年度からDPCの対象から除外されたために表には表れていませんが、106人の患者さんに2泊3日の入院で鼠径ヘルニア手術を行っています(平成27年度診療科別主要手術別患者トップ3参照)。
次いで多い入院患者さんは「その他の消化管の障害 手術なし」で、これは消化吸収を担っている小腸が極端に短いために、口からの食事では十分な栄養が摂取できず入院して点滴治療を受けています。 次に多い入院患者さんは、「虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 定義副傷病なし」で、腹腔鏡下虫垂切除術を行っています。平均在院日数は5.5日間です。 「停留精巣 手術あり」も、30人入院しており、2泊3日の入院で精巣固定術を行っています。 乳腺・内分泌外科
乳がんは現在本邦女性が最も罹りやすいがんで、壮年期(30 代後半から60 代)の女性がん死亡1位の重大な疾患です。当科では診断・治療・ターミナルケアまで一貫した乳がん診療を実践しております。最新の乳がん診療のキーワードは個別化医療とチーム医療です。ステージ(病期)、サブタイプ(乳がんの種類)、患者さんの背景によって治療方法は異なります。それらの評価を正確に行い、手術、化学療法(抗がん剤、分子標的薬)、放射線療法、ホルモン療法、などの集学的治療をチームで実践することによって乳がん克服を目指しております。
脳神経外科
未破裂脳動脈瘤の治療はくも膜下出血の予防として必須の手術です。世界で最も多く使われる脳動脈瘤クリップは杉田クリップですが、当科の部長は故杉田教授の直弟子で完璧な治療の体制が整っています。
頭蓋・頭蓋内損傷は交通事故が減少しているものの、高齢人口の増加で高齢者の家庭内事故が急増しており、当科は24時間体制で緊急治療に対応しております。 整形外科
当科は脊椎、手、肘、股、膝、足関節といった幅広い専門性を有し、変性疾患、スポーツ障害など地域外からの紹介も多数いただいております。年々増加する大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折や骨粗鬆性脊椎骨折などの高齢者の救急外傷、その他交通外傷・労災外傷の受け入れを、地域の基幹病院として常日頃努力しております。また、手、肘、膝、足関節の関節鏡視下手術(軟骨移植を含む)による最小侵襲手術を積極的に行い、早期の機能回復、スポーツ・職場・社会復帰に努めております。外傷の緊急手術や手術目的でご紹介いただいた患者さんに迅速に対応し、エビデンスに基づく治療方針のもと、早期機能回復に努め、また個々の症例に応じて病診、病病連携を通じ術後リハビリの役割分担を図りながらADL(人間の基本的な日常生活動作)の獲得、QOL(生活の質)の向上を目指しております。
形成外科
当科では顔面をはじめとして体表面のあらゆる変形を扱っており、先天奇形から外傷や手術後の後天性変形まで広く治療しています。特に乳癌切除後の乳房再建では、自家組織と人工乳房の両方で高い手術技術を持っています。 その他、培養表皮移植や多血小板血漿(PRP)治療などの先進医療に積極的に取り組んでいます。
皮膚科
1位の急性膿皮症は具体的には蜂窩織炎や丹毒であり、外来治療では不十分な重症患者さんを入院治療しております。通常、1週間から2週間の入院を要します。2位の帯状疱疹は、どこの皮膚科でも入院患者さんの多くを占めている疾患です。抗ウィルス薬を連日点滴し1週間程度の入院治療を行います。3位の自己免疫性疾患は血管炎や膠原病であり、当科ではこれらの治療に力を入れているため、患者数が多くなっております。
腎泌尿器外科
当科で最も患者数が多いのは、尿路の閉塞により腎臓に対して圧力が加わることで発生する水腎症です。水腎症に対しては尿管ステント挿入を施行いたしますが、これらの多くは緊急手術として行われます。
それに続くのが、2位・3位の膀胱の内腔にがん細胞が発育し、膀胱壁(筋層)へは浸潤していない、表在性膀胱がんです。こちらに対しては、内視鏡による経尿道的切除術を選択する症例が多く、経過や手術所見から術後に抗がん剤の膀胱内注入を行うものが件数としては2位、行わないものが3位となっております。膀胱がん患者にとって、膀胱を温存できるかどうかは大変重要な問題ですので、可能な限り内視鏡による経尿道的手術でがんをコントロールすべく、努力しております。 産婦人科
当科は産婦人科の診療4本柱である「周産期」「生殖」「婦人科腫瘍」「女性医学(更年期、思春期)」全てに対応することが可能なスタッフを有しています。特に川崎市の周産期医療における最後の砦の施設であることから、診療科別症例数ならびにDPC14 分類のトップ3 に周産期関連の疾患がランクインしています。しかしながら生殖医療においては日本トップ3 に入る体外受精周期数を扱い、がん、生殖医療や早発閉経に対する先進的な治療も多く行っている特色があります。さらに婦人科悪性腫瘍に関しても県内トップクラスの症例数を有しておりますが、これらデータはバックグランドの数が大きい周産期症例の影に隠れてしまっています。
眼科
白内障手術の患者は、平成26年度からDPCの対象から除外されたために上記のDPCのトップ3には入っておりませんが、当科では、年間 1,100 件以上の白内障手術を施行しております。全身に合併症がある方でも対応できるように1~2 泊の入院で行っており、高度先進医療である多焦点眼内レンズを用いた白内障手術にも対応しております。また、眼科的に高度な技術を要する網膜硝子体手術は年間600 件以上、最新のチューブシャント手術を含む緑内障に対する手術も年間150件以上施行しております。また、これらの疾患がいくつか併発しているような難しい症例に対する併用手術なども積極的に行っております。また、近年増加傾向にある加齢黄斑変性に対しては最新型の光干渉網膜断層撮影装置、フルオレセイン蛍光眼底造影による正確な診断のもと、抗VEGF 治療薬を中心とした治療を行っております。
耳鼻咽喉科
平成27年度は慢性副鼻腔炎の手術件数が急増したためトップとなりました。扁桃腺周囲膿瘍、急性扁桃炎、喉頭浮腫などの急性炎症疾患、突発性難聴はいずれもここ数年において常にトップ3に入る頻度の高い疾患です。急性炎症疾患は外来治療で不十分な場合は入院での治療を行っております。原因菌を考慮した適切な抗菌薬治療を心掛け、早期の改善に努めております。突発性難聴は軽症例を除き基本的に9日間のスケジュールで入院点滴治療を行っております。治療で改善が認められない場合は、追加で点滴治療や鼓室内にステロイド注入を行う場合があります。
放射線科
対象疾患は肺動静脈奇形(瘻)です。肺動静脈奇形は、毛細血管を介さず肺動脈から肺静脈へ直接交通をもつ先天的な血管形成異常です。自覚症状に乏しく、健診で偶然発見される場合も多いですが、脳膿瘍、脳梗塞や低酸素血症による労作時息切れ、チアノーゼが問題となります。血管壁は脆弱で破裂による喀血・血胸をきたすこともあります。現在、治療法としては外科的手術よりも低侵襲な経カテーテル塞栓術が選択されることが多くなっています。
※上記一覧表には放射線科に入院した患者数を記載することになっていますが、すべて10名未満であり、人数の記載をしておりません(10名未満は上記一覧表に人数を書かない決まりになっております。患者さんが特定される可能性があるため)。 麻酔科
神経異栄養症は、骨やその周囲の組織の外傷(骨折,捻挫など)を契機に、慢性痛だけではなく,むくみ,皮膚温の異常,発汗異常,骨の構造の変化などを伴う状態です。痛みの治療の目標は、日常の生活が可能なレベルに痛みを抑えることで、基本は外来での内服治療です。しかし、鎮痛が非常に難しい場合、入院して神経ブロックや薬剤の調整を行うことがあります。
心臓への血流の障害によって生じる狭心症や慢性虚血性心疾患では、心臓への血流が低下すると胸部痛が起こります。痛みへの対処の基本は心臓に血液を供給する冠状動脈の血流量を薬剤やカテーテル治療で確保することです。しかし、極めて稀に、これらの治療に加えて鎮痛薬を内服しても痛みの制限が難しいことがあります。その際には入院して神経ブロックや薬剤の調整を行うことがあります。 直腸の悪性腫瘍では、下腹部や肛門部に内服治療では制御が難しい痛みが生じることがあります。その場合、十分に相談した上で、痛みを伝える神経の機能を長期間停止させる薬剤を用いた神経ブロックを行うことがあります。この処置には一時的な入院が必要となります。 ※上記一覧表には麻酔科に入院した患者数を記載することになっていますが、すべて10名未満であり、人数の記載をしておりません(10名未満は上記一覧表に人数を書かない決まりになっております。患者さんが特定される可能性があるため)。 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
【胃がん、大腸・直腸がん、肝がん】
消化器・一般外科では5大がんのうち、胃がん、大腸・直腸がん、肝がんに対応しております。腹腔鏡手術をはじめとする低侵襲治療から術前抗がん剤治療を併用した拡大手術までをチーム医療で行っています。胃がん、大腸・直腸がんにおきましては、開腹手術はもちろん腹腔鏡下手術も積極的に取り組んでいます。また、腹腔鏡手術だけではなく、開腹手術においても他院で手術が難しい、あるいは全身状態が悪いために手術が厳しいと判断された患者さんをご紹介頂いております。当院では、消化器がん治療の方針を、外科、腫瘍内科(抗がん剤治療医)、消化器肝臓内科(内視鏡治療医)、放射線科(放射線治療医)、病理部、薬剤部など各専門家が集まり議論し決定しており(キャンサーボードといいます)、内視鏡治療後の手術治療や外科治療後の抗がん剤治療への連携も迅速に対応しており、最新の集学的治療をチーム医療で行っております。近隣の医療機関と密接な連携を保ちつつ地域のがん診療拠点病院として社会へ貢献することを通して、患者さんが安心して治療を受けられるよう、スタッフ一丸となって診療に当たっております。 【乳がん】 乳房は体表面に位置するため乳房腫瘤の自覚によって乳がんを発見されることが最も多くなっております。また、検診マンモグラフィの普及により、早期発見される症例も増えてきております。その結果、Stage I, IIが大半を占める状況となっています。当院では、他施設で治療(手術など)を受けられた後に再発した症例も受け入れ、積極的に診療しております。 【肺がん】 原発性肺がんは5大がんの一角を占め、本邦における全がん死亡患者数の第1位を占めています。このために肝臓がんやすい臓がんなどと共に治りにくいがんのひとつに数えられています。病期別にみると最も治療成績がよいのは完全切除が期待できる stage ⅠAであります。病期の進行とともに術後再発率が高まります。診断時の病期がstageⅢA以上になると手術適応から外れることが多くなります。当院の症例では遠隔転移を認めるstageⅣが多いことからもわかるように、診断時にはすでに進行例が多いことが治療成績を悪くする大きな原因になっています。症状がなくても健康診断を受け、胸部エックス線写真や、胸部CTで早期の肺がんを発見し、迅速に診断、治療を行うことが治療成績向上の鍵となります。 ※がん診療連携拠点病院としてのがん登録データとは異なります。 ※上記一覧表には10名未満の場合には、人数の記載をせず「-」でお示ししています。(10名未満は上記一覧表に人数を書かない決まりになっております。患者さんが特定される可能性があるため) 成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
高齢者の重症・超重症肺炎患者は肺炎の治療のみならず、併存症の治療を必要とすることが多く、また退院後の適切な療養環境の調整や選定も重要です。そのような背景から入院期間が長期に及ぶこともあります。
※上記一覧表には10名未満の場合には、人数の記載をせず「-」でお示ししています。(10名未満は上記一覧表に人数を書かない決まりになっております。患者さんが特定される可能性があるため) A-DROPの指標 Age(年齢) : 男性70歳以上、女性75歳以上 Dehydration:(脱水) BUN21mg/dL以上または脱水あり Respiration : SpO 2≦90%(PaO2 60Torr以下) Orientation :(意識障害) 意識障害あり Pressure :(収縮期血圧) 収縮期血圧90mmHg以下 ※5点満点で、1項目該当すれば1点、2項目該当すれば2点。 脳梗塞のICD10別患者数等ファイルをダウンロード
医療資源を最も投入した傷病名が脳の虚血性疾患の患者さんを対象として、その発症から入院までの日数別に患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率を示しております。一過性脳虚血発作は、脳梗塞が切迫していることを示す発作です。これを見過ごすと、高率に脳梗塞に移行しますので、当科が作成したトリアージ基準に基づいて直ちに診断・治療を行っています。当院は、脳卒中集中治療室(SCU)を設置し、超急性期血栓溶解療法には24時間365日対応し、高度の合併症を有する脳卒中にも対応可能です。先進の診断技術により迅速に脳卒中診断を行い、他職種によるチーム医療により、治療効果を挙げています。
※上記一覧表には10名未満の場合には、人数の記載をせず「-」でお示ししています。(10名未満は上記一覧表に人数を書かない決まりになっております。患者さんが特定される可能性があるため) 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード
呼吸器・感染症内科
中枢気道狭窄病変に対する気管支鏡的治療は当科の特長であり、多くの医療機関より症例の御紹介を頂いております。
平成27年度から気管支喘息に対する気管支鏡的治療、気管支熱形成術が保険適応となり、当院でも平成27年6月より開始しております。腫瘍等による中枢気道狭窄症に対する気管支鏡的治療とともにこれからも症例を積み重ねていきたいと考えております。 ※上記一覧表には呼吸器内科に入院して行われた手術患者数を記載することになっていますが、10名未満の場合は、人数の記載をせず「-」でお示ししています。(10名未満は上記一覧表に人数を書かない決まりになっております。患者さんが特定される可能性があるため) 循環器内科
虚血性心疾患には狭心症と心筋梗塞がありますが、どちらも詰まっているもしくは詰まりかけた冠動脈を広げることが必要です。当院では外来の検査で必要と判断された方のみにカテーテル検査を行い、狭い血管がどこにあるのかを診断し、狭い部分を風船で広げた後にステントという薄い金網を内張りします。予定された狭心症に対する冠動脈治療時には狭くなりにくい薬剤溶出性ステントを使用することが多く、3 日程度で退院出来ます。
不整脈の中で最も多い心房細動に対しては、心房細動が起きている肺静脈と心房の間に心臓の中から焼灼を行い、根本的な治療を目指しています。どちらの治療も体に目立った傷が残りません。 消化器・肝臓内科
当科で高頻度に行っている手術は、大腸腺腫症に対する内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術や、胆管結石や悪性胆道狭窄に対する内視鏡的胆道ステント留置術、肝がんに対する肝動脈化学塞栓術です。内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術は、原則拡大内視鏡を用いて治療適応を正確に判断した後に切除を行っております。内視鏡的胆道ステント留置術は、悪性胆道狭窄や胆管結石、胆管に対する内視鏡的治療です。これら内視鏡的治療は消化管班、胆膵班によって専門性の高い治療が行われます。肝動脈化学塞栓術は肝がんに対する治療の一つです。消化器一般外科、放射線科といった複数の診療科と連携を取り各患者さんの病状にあった適切な治療を合議し各診療科と協力し肝動脈化学塞栓術をはじめとする肝がん治療を行っております。
腎臓・高血圧内科
当科は上述のように、内科でありながら、患者さんの利便性向上のため、又、透析患者さんのかかりつけ医としての役割を果たすため、透析アクセス関連手術(内シャント設置術、連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術、経皮的シャント拡張術・血栓除去術など)を積極的に行うようにしています。特に、高齢化により良好な透析アクセスが得られない患者さんが多く、近隣の透析施設が大学病院に期待する治療として、これらの手術が重要な意味を持っています。
代謝・内分泌内科
糖尿病は血管合併症の病態であり、長期にわたり糖尿病を患うことで細小血管障害(網膜症、腎症、神経障害)、大血管障害(心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症)などを起こします。糖尿病センターでは、入院された患者さんの細小血管障害や大血管障害の進展の状況を把握するようにしております。糖尿病網膜症につきましては、入院時に眼科との連携のもと網膜症の評価を行います。網膜症がみられた場合には、当科で血糖値の改善を図るとともに、網膜光凝固術などの眼科的処置による治療を行うことで網膜症の進展を予防いたします。また、糖尿病、高血圧、脂質異常症を基点とした動脈硬化性の進行により生じた血管病変については循環器内科と連携のもと、カテーテルを用いて経皮的に血管拡張術を行うことで血流の改善を図る治療を行っております。
※上記一覧表には代謝・内分泌内科に入院して行われた手術患者数を記載することになっていますが、すべて10名未満であり、人数の記載をしておりません。(10名未満は上記一覧表に人数を書かない決まりになっております。患者さんが特定される可能性があるため) 神経内科
進行期のパーキンソン病では高率に嚥下障害を伴うようになり、服用していたパーキンソン病の薬を飲むことができなくなる場合があります。パーキンソン病では薬さえのめれば自立できる方も多く、このような方の中には胃瘻造設によって服薬が可能となります。
※上記一覧表には神経内科に入院して行われた手術患者数を記載することになっていますが、10名未満の場合は、人数の記載をしておりません。(10名未満は上記一覧表に人数を書かない決まりになっております。患者さんが特定される可能性があるため) 血液内科
当科の観血的手技・処置では、化学療法と高カロリー輸液のための中心静脈カテーテル挿入・留置が最多です。易感染性宿主の感染源とならぬ様、抗菌性皮膚貼付用テープを採用し、固定法を工夫しております。
悪性リンパ腫・骨髄腫の患者には100例以上の自家末梢血幹細胞移植を施行しております。 リウマチ・膠原病・アレルギー内科
当科で最も多い手術は、長期のステロイド服用、血流改善薬の使用による消化管出血に対する、内視鏡的消化管止血術です。次いで、強皮症や全身性エリテマトーデスに合併する偽性腸閉塞および、吸収不良症候群に対する栄養補給を目的とした、中心静脈注射用埋込型カテーテル設置です。3位は難治性病態に対する加療も積極的に行っておりますので、四肢の末梢動静脈に血栓塞栓除去術となっております。
※上記一覧表にはリウマチ・膠原病・アレルギー内科に入院して行われた手術患者数を記載することになっていますが、すべて10名未満であり、人数の記載をしておりません。(10名未満は上記一覧表に人数を書かない決まりになっております。患者さんが特定される可能性があるため) 腫瘍内科
当科では腫瘍による胆道閉塞に対するステント留置術や、食事摂取不良に対する中心静脈栄養用植込型カテーテル設置が多く行われております。ステント留置術は緊急で行うことが多いので術前の入院日数は短いですが、中心静脈注射用植込型カテーテル設置は緩和治療として行う場合が多いので、全身状態をしっかり評価してその必要性を見極めるために、術前の入院日数が長めになっています。また、在宅療養をスムーズに行えるよう、在宅での緩和治療の体制を整えてから退院するようにしています。
小児科
小児の先天奇形の中では、先天性心疾患が多く心臓カテーテル検査は診断にとって重要であり、近隣からの紹介も増え、それに伴って手術症例も増加しております。また、川崎病の入院が多くみられ、冠動脈瘤症例においては心臓カテーテル検査を行うこともあります。乳幼児では、より重症例が多く、人工心肺を使用する症例がみられました。動脈管開存症手術(動脈管開存閉鎖術)は他施設での施行例が減少しているため、症例数が増加傾向にあります。
※上記一覧表には小児科に入院して行われた手術患者数を記載することになっていますが、10名未満の場合は、人数の記載をしておりません。(10名未満は上記一覧表に人数を書かない決まりになっております。患者さんが特定される可能性があるため) 消化器・一般外科
平成27年度の当科の実績より、【胆嚢結石(術前1.4日、術後5.5日、患者数122例)】術前日入院、手術後7日に退院という患者パスを導入しております。
【鼠径ヘルニア(術前1.9日、術後3.2日、患者数111例)】術前日入院、手術後2日に退院という患者パスを導入しております。既往症にて抗凝固薬の継続が必要とされている患者さんは通常術前1週間前より入院が必要です。 【結腸がん(術前5.4日、術後12.9日、患者数94例)】術前2日前入院、手術後7-10日に退院という患者パスを導入しております。既往症にて抗凝固薬の継続が必要とされている患者さんは通常術前1週間前より入院が必要です。閉塞性大腸癌など疾患の状態によっては術前の入院期間が長くなります。 心臓血管外科
当科の手術件数1位は下肢静脈瘤に対する、ラジオ波を用いたカテーテル治療の下肢静脈瘤血管内焼灼術です。従来の下肢静脈瘤抜去術と入院日数は変わりませんが、術後の回復が早いのが特徴です。2位は弁置換術です。傷んだ心臓の弁を生体弁や人工弁へ取り換える手術となります。2弁以上の弁を同時に取り換える手術や、傷んだ弁を直す弁形成術も多数行っております。また、昨年新たに建設しましたハイブリット手術室において、開胸手術のリスクが高い患者さんへの経カテーテル大動脈弁置換術も積極的に行っております。3位はステントグラフト内挿術です。大動脈瘤に対して、小さな皮膚切開からカテーテルを使って血管内に人工血管を置く手術で、体への負担が少なく、高齢者など体力のない患者さんに適しています。
呼吸器外科
当科で最も多い手術は原発性肺がんに対するもので、これに転移性肺腫瘍を加えた肺の悪性腫瘍に対し、腫瘍進行度と悪性度及び患者さんの耐術能を吟味した最適な術式選択を心掛けています。すなわち、原発性肺がんで、肺機能に問題がない患者さんに対しては、標準手術としての肺葉切除とリンパ節郭清術が行われます。一方、高齢者や肺機能の悪い患者さんに対しては、次善の策として肺の切除範囲を縮小した肺区域切除や肺楔状(部分)切除を行っています。これら手術は胸腔鏡を使用して皮膚切開創を小さくして行うことが多くなりましたが、手術の安全性を第一に考えて術式を選択しています。また、若年男性に突発的に生じることが多い自然気胸に対する根治手術として、原因となる嚢胞の胸腔鏡下切除を行っています。入院期間の短縮を心掛けていますが、肺がんは高齢者に発症することが多く、術後の回復が遅れやすかったり、ひとり暮らしの方も少なくないため、やや術後の在院日数が長くなる傾向にあります。
小児外科
当科では、鼠径ヘルニア、陰のう水腫、停留睾丸、臍ヘルニア(でべそ)など小児外科の一般的な手術だけでなく、急性虫垂炎や腸重積症などの救急疾患、新生児外科疾患、小児呼吸器外科疾患、小児悪性腫瘍に対しても、積極的に手術を行っています。また手術の傷が目立たないように腹腔鏡下手術や小切開手術に積極的に取り組んでいます。
最も多い手術は鼠径ヘルニアで平成27年度は106人です。次いで腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの)49例、停留精巣固定術29例と続きます。 乳腺・内分泌外科
乳がん(乳腺悪性腫瘍)に対する手術の入院日は通常合併症等がなければ、前日入院で行っています。乳房部分切除術は術後入院期間も2.7 日と短く、低侵襲な手術といえます。乳房切除術の場合は、皮下に排液用のドレナージ・チューブが入り抜去後退院ということで、1週間程度の入院が必要です。また、同時に乳房再建術を行うことで4日間程度入院期間が長くなります。
脳神経外科
脳腫瘍や脳動脈瘤などの頭蓋内病変は高度な医療技術が要求されます。当科は高度医療機関病院として各種の先端医療機器の使用だけでなく、複数の診療部門から構成される包括的チーム医療を提供しています。術中の脳神経機能保護に重点を置いた術前検査を重視しており、高度な術前準備を行うことで良好な治療成績が得られております。また機能障害を有する症例では術後の療養を要することも多く、周術期からのリハビリテーションを実施して中長期的な病状回復に努めております。
慢性硬膜下血腫は低侵襲かつ簡易的な治療が可能な疾患です。当科は地域の中核病院として多くの紹介患者さんを受け入れています。術後早期からの症状回復が期待できるため短期間の入院で治療が完了します。 整形外科
当科では変形性関節症、関節リウマチに対する人口関節置換術や、上位3位以外でも脊椎手術を中心とした、選択的計画手術を積極的に行っています。脊椎手術では外傷や転移性脊椎腫瘍の緊急の麻痺症例にも対応しています。大腿近位部の骨折手術や外傷後骨折の手術では、大学病院という特性上、近隣病院では対応困難な重篤な合併症をもった症例を受け入れることも少なくありませんので、術前・術後日数が長くなっています。そのため、地域医療連携と治療計画を共有することで、転院を可能とし、患者さんのニーズに応えられる様に努力しています。
形成外科
当科では顔面の先天性、後天性変形に対する手術や、皮膚腫瘍、皮膚欠損に対する手術を多く行っています。特に乳癌切除後の乳房再建は、乳癌術後と分からない「世界一美しい乳房再建」を目指し、人工乳房(インプラント)と自家組織移植の両方の再建術を行っており、再建数とその仕上がりの美しさは、日本でトップクラスの成績を誇ります。
皮膚科
手術患者さんの多くは悪性黒色腫、基底細胞癌、有棘細胞癌などの皮膚がんであり、原則として手術前日に入院となります。単純切除可能なものは平均術後日数も10日と短いですが、植皮を要するような大きな腫瘍では平均で14日とやや長くなります。良性腫瘍の切除は原則として、外来で行いますが、大きいものや足底の腫瘍などは入院で行うこともあります。
※上記一覧表には皮膚科に入院して行われた手術患者数を記載することになっていますが、10名未満の場合は、人数の記載をしておりません。(10名未満は上記一覧表に人数を書かない決まりになっております。患者さんが特定される可能性があるため) 腎泌尿器外科
当科の手術で最も患者数が多いのは、表在性膀胱がんに対する内視鏡による経尿道的切除術です。膀胱がん患者にとって、膀胱を温存できるかどうかは大変重要な問題ですので、可能な限り内視鏡による経尿道的手術でがんをコントロールすべく、努力しております。その次に患者数が多いのは結石や腫瘍による尿管の通過障害を解除するための尿管ステント挿入術です。これらの多くは緊急手術として行われます。
当科では腎移植の症例数が比較的多いのが特徴で、年間15症例前後の腎移植術を行っています。年間の腎移植症例数としては、神川県内トップクラスであります 産婦人科
当科は、川崎市のみならず神奈川県の周産期母子医療を担う総合周産期母子医療センターとしての役割を有しています。その様な状況から、帝王切開術(選択ならびに緊急)がK コードの上位にランクインしています。一方当院は、特に婦人科診療として悪性疾患に対する治療を専門とする施設でありますが、良性疾患に対する手術の中でも特に腹腔鏡手術(卵巣腫瘍)がK コードの上位にランクインしました。なお、良性子宮疾患や子宮体がん初期疾患に対する腹腔鏡手術も積極的に行っております。
眼科
当科で行われる網膜硝子体手術は糖尿病網膜症、黄斑円孔、黄斑前膜、黄斑変性、網膜剥離、硝子体出血などを始めとして、網膜硝子体疾患全般に渡っております。特に、視力にとって最も大切な黄斑部網膜の疾患に対する硝子体手術では小切開手術により、低侵襲、短時間手術により早期視力回復、社会復帰が可能となっております。
耳鼻咽喉科
平成27年度は慢性副鼻腔炎の手術件数が急増したためトップになりました。術前画像にて、指導医を中心に複数の医師で危険部位の確認を行い合併症予防に努めております。また難しい症例ではナビゲーションシステムを用いて手術を行っております。
鼻・副鼻腔手術および口蓋扁桃摘出術、鼻中隔矯正術の平均術後日数は4.5~7.4日となっております。 耳手術においては、内視鏡を用いて経外耳道経由で手術を行い、より低侵襲かつ入院期間の短縮にもつながっております。 頭頸部がんでは、喉頭全摘術や再建を必要とする手術では1カ月以上の入院が必要となることもあります。咽頭の表在癌に対しては、消化器内科と協力して経口腔手術を行っております。 放射線科
塞栓物質を挿入し、血管を詰める治療を塞栓術といいます。肺動静脈奇形の塞栓術では鼠径部の静脈から2mm径程度のカテーテルを挿入し、肺動脈と肺静脈との交通の部分にコイルやプラグなどを留置し、交通を閉鎖します。治療の1日前、あるいは当日に入院し、術後1~2日程度の入院で治療を施行します。体の表面に傷はほぼ残らず、合併症も少なく、体に優しい治療です。当院では「血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔血管等)」を、平成27年度は70件行っています。ほとんどは放射線科以外の診療科に入院し、放射線科医がおこなっています。
※上記一覧表には放射線科に入院して行われた手術患者数を記載することになっていますが、10名未満の場合は、人数の記載をしておりません。(10名未満は上記一覧表に人数を書かない決まりになっております。患者さんが特定される可能性があるため) 麻酔科
痛みの信号は身体の隅々から末梢神経、脊髄を経て脳に伝わり、私たちは痛みを認識します。痛みを感じる部分からの末梢神経が集まっている脊髄の部分に弱い電流を流すと、痛みが脳に伝わりにくくなり、痛みが緩和されることが知られ、この理論を応用して、脊髄神経療法が開発されました。
この治療の対象となるのは薬物、手術・神経ブロックが無効な難治性の痛みで、末梢神経損傷や脊髄損傷による頑固な痛みが対象になることがあります。 治療は通常、2段階的で行います。まず、脊髄に刺激を与えるために、脊椎骨の中で、神経が集まっている部分である脊髄を取り囲んでいる、硬膜という膜の外側に注射を進め、神経刺激用の導線を挿入・留置します。そして、この導線を神経刺激装置に接続し、硬膜の外から脊髄を電気刺激します。これで痛みが緩和されることが確認できたら、次の段階に進み、神経刺激装置を体内に埋め込む手術を行います。この神経刺激装置は、医師が設定した範囲の中で、患者さん自身が体外からリモコン装置を使って刺激を調整します。 体内に異物を留置する処置ですから、痛みの原因と思われることや、それまでの治療経過をよく吟味し、十分に相談した上で行うかを判断していくものになります。 ※上記一覧表には麻酔科に入院して行われた手術患者数を記載することになっていますが、10名未満の場合は、人数の記載をしておりません。(10名未満は上記一覧表に人数を書かない決まりになっております。患者さんが特定される可能性があるため) その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
肝損傷などの重篤な外傷や、肝臓がんや膵がん、肺がんあるいは心臓血管外科疾患などの大手術後に血液の凝固に異常をきたす播種性血管内凝固症候群がおこることがあります。また、色々な感染症などから血液中に病原菌が入り敗血症になり、これが原因で播種性血管内凝固症候群がおこることもあります。
当院は数多くの併存症を持った患者さんの手術を行っています。このためこれら手術後に播種性血管内凝固症候群を合併することもあります。また当院は重篤な患者さんを主に受け入れる救命救急センター(3次救急)があり、ほかの病院で播種性血管内凝固症候群を合併した患者さんの治療目的で紹介され入院する場合も多くあります。 ここに示している患者数で「入院契機と同一」とは、入院した時に播種性血管内凝固症候群と診断されている患者さんであり、「入院契機と異なる」とは、入院した時には別の病気で入院したが、その後に播種性血管内凝固症候群をおこし、もともとの病気の治療よりも播種性血管内凝固症候群の治療に時間・医療費を要する場合を示しております。 播種性血管内凝固症候群の入院患者数は平成26年度以降減少し、平成27年度は10名未満です。(10名未満は上記一覧表に人数を書かない決まりになっております。患者さんが特定される可能性があるため)これは当院での手術後などに播種性血管内凝固症候群が発生した場合には、元々の病気の方を傷病名にするようにしたためです。 敗血症の入院患者数も播種性血管内凝固症候群と同様に、当院での手術後などに敗血症が発生した場合には、元々の病気の方を傷病名にするようにしたため、平成26年度以降減少し、平成27年度は入院した時から敗血症と診断された患者は34名、入院した時には別の病気で入院したが、その後に敗血症をおこした患者は24名でした。 主病名が「その他の真菌感染症」も平成27年度は10名未満でしたので、上記一覧表には人数の記載がありません。 手術・処置等の合併症では351名が入院していますが、これは腎臓・高血圧内科の入院治療で、透析を行うために必要なシャントが血栓などで閉塞し使用できなくなり、その治療(経皮的シャント拡張術・血栓除去術)を行う患者さんが多いためです。 ※上記一覧表には10名未満の場合には、人数の記載をせず「-」でお示ししています。(10名未満は上記一覧表に人数を書かない決まりになっております。患者さんが特定される可能性があるため) 更新履歴
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