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感染症センター

最終確認日:2017/4/13
ご挨拶

 今や感染症の問題は医療関連施設にとどまらず、広く地域社会全体の危機:クライシスと認識されるようになってきており、感染症に対する危機管理体制の構築が必要不可欠な状況となっています。このため、聖マリアンナ医科大学病院に感染症センターを設置し、聖マリアンナ医科大学病院本院および分院・関連病院における感染症診療を迅速かつ効果的に実践するとともに、地域医療施設、社会福祉施設、行政機関、一般市民への支援などのネットワーク活動の拠点としての役割を果たすことを目的として、2017年4月に感染症センターが設置されました。
 感染症は細菌、真菌、ウイルスなどの微生物や寄生虫などの多種多様な原因による疾患であり、21世紀となった今日、多くの疾病のコントロールが可能となってきているのに対し、感染症の分野では、いまださまざまな課題が山積している状況となっています。事実、高齢者の増加や臓器移植の進展やそれに伴う免疫抑制剤の開発・使用、医療の進歩によるコンプロマイズドホストの増加、あるいはエイズ患者の増加などにより、従来は問題となることが少なかった比較的病原性の弱い微生物による日和見感染症が増加してきています。一方、従来は見られなかった新しい感染症、すなわち新興感染症が次々と問題となり、2003年の急性重症呼吸器症候群 (SARS)、2009年のインフルエンザパンデミック、中東呼吸器症候群(MERS)や鳥インフルエンザなどの新興ウイルス感染症のほか、さまざまな薬剤耐性菌による感染症が国際的な問題となっており、海外旅行者の増加や輸入食材の流通などにより、海外で発生した感染症が容易に国内に持ち込まれる状況になっています。
 これらの感染症の共通の問題点としては、感染症の“原因微生物の多様化”、そして感染症の“グローバル化”が挙げられます。すなわち、感染症の原因微生物の関与を考える際に、ヒトだけの要因・ファクターではなく、動物由来や環境由来の微生物が原因となるといった地球環境全体の要因を考えていく必要があること、さらに、感染症は他の疾患と異なり、伝播・拡散する特殊性を有しており、単なる医療施設だけでなく、人々の交流や交通の発達もあいまって世界全体にまで感染が伝播拡大し、世界のどこでもアウトブレイクが起こりえる可能性を有しているなど、極めて大きな問題をはらんでいることを常に考慮に入れていく必要があります。
 すなわち、今や感染症に関する問題は、社会全体における危機と認識され、その対応は最重要課題となっており、医学教育、医学研究、地域医療の拠点である聖マリアンナ医科大学病院において感染症センターを設置し、感染症診療・感染症対策・地域支援活動を実践するとともに、感染危機管理に対応できうる人材の育成に取り組むことは、大学の本来の使命である教育機能の更なる充実を図っていくためにも、大学の果たすべき社会的使命として、その人的ならびに知的財産を広く地域社会へ還元し、社会貢献を行っていくという意味からも、その意義は極めて大きいものとなっています。


業務の案内

■ 感染症診療センターとしての業務
感染症を専門とする医師、または抗菌薬の適正使用について特別に研修を受けた薬剤師や検査技師、看護師等などからなる感染症診療チーム(Antimicrobial Stewardship Team)が、感染症学講座、感染制御部その他の関係部署との協力のもと、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、原虫・寄生虫感染症と多岐にわたる感染症全般にわたり、各科横断的に、感染症診断へのサポート、抗菌薬・抗真菌薬・抗ウイルス薬の選択や投与に関するアドバイス、コンサルテーション業務を実践します。
 

■ 感染症地域ネットワークセンターとしての業務
地域医療施設、行政機関、メディア、一般市民とのネットワークを構築し、さまざまな相談・質問を受け、専門家としてのコメントなどの付加的サービスをおこなっています。また、地域医療施設からの依頼によるアドバイス業務や、直接出向いてのラウンド、地域共同マニュアルやポスターなどの作成などを実践し、地域全体の感染症診療、感染症対策のボトムアップをはかるとともに、感染症に関するさまざまな知的情報(インテリジェンス)を発信し、感染症地域ネットワークの拠点としての役割を担っています。
 

■ 感染症教育センターとしての業務
医学部学生、研修医、各部署の医師、看護師、薬剤師、職員に対して、教育やセミナーなどを開催して、感染症に関するより高度かつ専門的な教育をおこなっています。
また、地域の医療従事者、保健行政担当者、一般市民向けの感染症フォーラムを企画開催し、地域における教育の拠点として中心的役割を果たし、リスクコミュニケーション、情報リテラシーの観点からの感染制御ソシアルネットワークを構築しています。
 

■ 感染症研究センターとしての機能
感染症の原因微生物の検出同定、迅速診断ならびに薬剤耐性・病原性・伝播性などに関する解析や、感染症の病態(発症機序、重症化機序)などに関する解析、環境要因などに関する解析などをおこなっています。感染症分野に関する幅広い領域(微生物の病原性や薬剤耐性、抗菌薬、消毒薬、感染症診断、感染症治療、感染予防、疫学、公衆衛生など)に関する基礎的・臨床的研究を実践するととともに、さまざまな企業とコンソーシアムを組み、共同研究を実践し、感染症診断、感染症治療、感染制御に関する最新のエビデンスを構築するような研究を通じて創薬や新たな製品化にも寄与しております。

 

■ 臨床研究に関する公開情報
下記の臨床研究を実施しておりますので、この研究の計画、研究の方法についてお知りになりたい場合、この研究に検体を利用することをご了解できない場合など、お問い合わせがありましたら、以下の「問い合わせ先」へご照会ください。

課題名 糞便検体に対する毒素産生Clostridium difficile検出試薬の臨床性能試験
目的 Clostridium difficile(以下C.difficile)は、抗菌薬関連下痢症に関与し、C. difficile感染症を引き起こします。日常臨床では、C. difficileの特異抗原であるグルタミン酸脱水素酵素(GDH)及び、toxin Aおよびtoxin Bをイムノクロマト法などで検出する迅速検査キットが、体外診断用医薬品として市販されています。今回、上市されている糞便中のGDH及びtoxin A/toxin Bを検出する2試薬の性能について、前向き比較研究を実施致します。
研究対象 C. difficile感染症が疑われ検査のため提出された便検体
対象期間 倫理委員会承認後~2017年10月31日まで
方法 日常診療でC. difficile感染症が疑われ検査(C.DIFF QUIK CHEK コンプリート)のため提出された便の残余検体を対象として、GEテスト イムノクロマト-CD GDH/TOX「ニッスイ」及びC. difficile培養検査を実施致します。結果の不一致があった際には、-20℃以下で便検体を凍結保管し、後日、筑波メディカルセンター病院において遺伝子検査で評価を行い、培養法及び遺伝子検査法を基準検査法として2つの迅速検査キットの性能を評価致します。検体については、個人が特定されないよう匿名化の上、実施いたします。
問い合わせ等の連絡先

研究責任者:聖マリアンナ医科大学 感染症学講座 教授 國島広之

電話番号:044-977-8111(代表)

共同研究機関:筑波メディカルセンター病院 臨床検査医学科・感染症内科 鈴木広道

電話番号:029-851-3511(代表)