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病院長のイチ押し!!

呼吸器外科トピックス

からだに優しい肺癌の縮小手術

 CT検査による早期肺癌発見の増加と高齢化社会の到来によりからだに優しい肺癌手術の重要性が増しています。癌の根治性と低侵襲性を兼ね備えた「区域切除」は肺を大きく切除しませんが、解剖の複雑さから難易度の高い術式です。我々は高画質3D画像を用いた術前シミュレーションと術中ナビゲーションを導入して安全で質の高い手術を開発しています(文部科学省科学研究助成事業基盤研究C)。

 写真は、手術前に撮影したCTから作成した右肺の3D画像です。この患者さんは右肺の上葉と下葉の2箇所に同時に肺癌ができていました。上葉と下葉を両方とも切除すると、残った肺の機能がとても少なくなってしまいます。そこで、病巣のある右上葉と左下葉の肺区域のみを切除する計画を立てます。この画像を見るとあらかじめ切除する血管や気管支の詳しい情報が得られるので安全、正確な手術を行うことができるのです。


肺癌の遺伝子異常に基づく個別化治療

 手術で切除した肺癌細胞からDNAを抽出し、腫瘍の遺伝子異常を分析しています。患者さんの顔がひとりひとり違うように、異常を示す遺伝子は肺癌ごとに異なっています。従来の抗がん剤治療はこうした解析に基づいて行われていないため、治療効果の予測が困難でした。副作用だけ出て、全く効果が得られないこともありました。こうした点を大きく改善したのが遺伝子異常の解析に基づく個別化治療です。

 日本人の肺癌で最も多い腺癌に多く見つかるのはEGFR遺伝子の異常です。示した顕微鏡写真では腺癌細胞の表面に存在する遺伝子産物のEGFRタンパクを茶色に染めています。この遺伝子異常が確認されていれば、術後にもし再発してもEGFR遺伝子の働きを抑える錠剤(分子標的薬)の内服が有効なことが保障され、病勢の進行を抑えることができます。その他、ALKという遺伝子異常にもよく効く分子標的薬の錠剤が開発され、効果をあげています。