薬剤部
薬剤部は、薬剤課、臨床薬剤課、化学療法支援課、学生教育係の4つの部署で構成されており、薬物治療の適正化、医薬品の安全な使用、医療事故の防止を推進しています。
常に、患者のクオリティオブライフ(QOL:生活の質)の向上を目指し、患者や多職種と話し合いながら薬物治療を進めていくことを心がけています。
各病棟、腫瘍センター、手術室、外来の一部に薬剤師を配置し、患者さんの投薬前の確認、投薬を受けた後の治療効果・副作用をモニタリング・評価して、薬剤に関連する問題を解決するために、適切な対応案を多職種チームで議論しています。
さらに、病院全体の薬剤の安全性を担保するために、薬物治療の標準化やシステムによる処方の適正化にも寄与しています。
薬剤部は「薬剤師が薬物治療に責任を持つ」という理念をかかげ、世界標準のpharmaceutical careを実践することを目標に日々業務に取り組んでいます。
私は入職してから3年間で、外来化学療法、腫瘍内科・消化器内科病棟を担当してきました。様々な症例を経験することで、薬学的な視点で薬物治療を評価・提案・モニタリングする力が身についていると実感しています。
また、先生方や看護師さんなど他職種とも距離が近く、薬剤師の専門性を発揮できるのも当院の魅力です。
求められる専門性が高く、一人で悩んでしまうことも多いです。しかし当院薬剤部の特徴はアットホームな雰囲気!相談しやすい環境なので、困った時は経験豊富な先輩方にアドバイスを頂き、日々自己研鑽を重ねています。
当院には多くの診療科があり、幅広い薬剤の処方に触れられることが薬剤師としての学びにつながっています。調剤や抗がん剤の調製、手術室業務、病棟業務など、活躍の場は多岐にわたり、実践的な経験を積むことができる環境です。
私は現在、病棟薬剤師として患者さんの薬物療法に関わっており、より安全で効果的な治療の提供を目指して日々取り組んでいます。まだ経験は浅いものの、経験豊富な先輩方の丁寧な助言を受け、一歩ずつ学びを重ねています。協力し合える同期の存在も大きいです。知識や姿勢の面でも良い刺激を受けながら、日々の学びを自分の力に変えていくことで成長を実感しています。
「患者のクオリティオブライフを改善するという明確な成果を引き出す目的のために、責任ある薬物治療を提供する」ことを理念にかかげることで、各病棟、腫瘍センター、手術室、外来の一部に薬剤師を配置することに加えて、フォーミュラリー(医薬品の院内使用推奨基準)の導入など先進的な取り組みを実現してきました。薬剤師の問い合わせにより、患者の安全性が向上したことを報告するGood Job Reportや薬剤師の介入内容の定量化を行うQuality Indicator (QI)プロジェクトなどを通じて、薬剤師が薬物治療の適正化に貢献していることを見える化することにも注力しています。
内発的動機付けとして、個人の目標とキャリアデザインに対する1 on 1を実施しています。大きな部署では、リーダー・サブリーダー制度を導入することで、一人一人に寄り添うことができています。定期的な自己評価とフィードバックを行うことで、成長を感じることができる職場です。
環境改善は常に行っています。現場の業務改善案は、現場のリーダーである主任会議で常に議論し、自分たちで業務を改善していっています。産休・育休は男性も含めて取得しており、仕事に復帰する場合には、研修から開始する職場復帰支援制度を使うことも可能です。薬剤部として、有給休暇の取得や残業時間の低下にも取り組んでいます。
臨床薬剤師を育成するための研修システムを構築しています。
仕事をしながら研修を行うOn the Job Trainingと、業務時間外に研修を行うOff the Job Trainingを組み合わせて、業務を学んでいくことと、薬剤師としての知識・スキルアップを同時に行っていきます。
アウトプットする教育を心がけており、指導することも臨床薬剤師になるための必要スキルと考え、若手からベテランまですべての薬剤師が教育に関わるようにしています。
【目標】
各部署の基本的な業務を習得し、時間外業務を含めて独立して業務を行うことができる。
薬剤課・化学療法支援課・臨床薬剤課の各部署をローテーションし、基本的な業務を習得していきます。各部署で、到達度を確認するためのチェックリストを使用し、すべての研修者が基本的な業務を学んだことを確認しています。
【目標】
臨床業務の基盤となるCommon disease(頻度の高い一般的な疾患)に関して、病態生理や標準的な薬物治療の知識を獲得する3病院全体で行っており(一部各病院で実施)、コミュニケーションや小児の薬物治療など薬剤師としての基礎を固める【基礎編】と臨床薬剤師の基盤となるCommon diseaseを学ぶ【応用編】で構成しています。
新人勉強会を通じて、臨床薬剤師としての思考プロセスを学んでいきます。
2024年度実績
【基礎編】
【応用編】
【目標】
新人勉強会で習得した知識・技能を用いて、複合的な問題を持つ症例の薬物治療の評価・計画を立てる新人勉強会同様に3病院全体で行っています。
新人勉強会では新しい知識を学ぶことが主な目的ですが、臨床薬剤師は「知っている」だけでは十分ではなく、知識を使って薬物治療を適正化することや、薬剤のことを患者に伝えたり、医師に薬物治療を提案できたり必要があります。
そのため、2年目研修では、症例を使って、実際の患者さんに行うように、複合的な問題に対して薬物治療計画を立てる練習をしています。知識を得ることを目的とせずに、知識を使うことと、説明することを目的に年3回行っています。
2024年度実績
【目標】
科学的根拠を用いて、患者の薬物治療を評価し、科学的根拠が確立していない、あるいは意見が分かれるような問題に対しても、現時点で得られている根拠をもとにリスクとベネフィットを慎重に評価することで、最適な対応を検討し、臨床薬剤師としての結論を導く3病院をオンラインでつなぎ、合同で行っています。
指導薬剤師の指導の下、診療ガイドラインや原著論文を用いて、薬物治療の評価を行い、科学的根拠を用いて、臨床疑問への結論を出していきます。
発表後には、先輩薬剤師がフィードバックを行い、次へのステップアップを一緒に考えていきます。
2024年度実績
【目標】
科学的根拠を用いて薬物治療評価を行うために、原著論文の批評をすることができる3病院合同でオンラインで行っています。
診療ガイドラインや添付文書の基になる臨床試験の原著論文を隔月で読み、チェックリストを用いながら、原著論文の強みと弱みを挙げて、臨床的にどのような患者に適応するかを考えていきます。
2024年度実績
2025年4月現在