臨床検査技術部
臨床検査センターは輸血・細胞治療センターおよび病理診断科と共に国際規格ISO 15189:2022「臨床検査室-品質と能力に関する要求事項」の基準に基づく臨床検査室認定を検体検査、生理機能検査共に取得しています。
ISO 15189の臨床検査室認定とは、臨床検査室の品質と技術能力を決定する手段の一つで、国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)が作成した国際規格に基づき、「品質マネジメントシステムの要求事項」と「臨床検査室が請け負う臨床検査の種類に応じた技術能力に関する要求事項」の2つの側面から、第三者による審査が行われ、臨床検査を実施する能力を有していることが国際的に認められたことを意味します。
私たちは、全ての患者さんにとって必要な情報が適切に提供されるよう、迅速かつ精度の高い臨床検査情報の提供と継続的な教育訓練による知識・技術の向上を目標に掲げ、検査体制の維持・向上を図っています。
病院の理念である「愛ある医療の提供」の達成に向け品質方針を定め、以下の品質目標を掲げて取り組んでいます。
これらを達成するため、検査受付から報告までの時間(TAT)や外部精度管理による評価、学会参加や発表、インシデントとアクシデントの発生状況などを監視して定期的に評価しています。
血液、尿などを材料とする検体検査と心電図などの生理機能検査を担当しており、病気の診断や病態の把握・重症度や治療効果判定と診療に不可欠な検査情報を提供する役割を担っています。また、救命救急センター内に24時間体制の緊急検査室を配置し、休日夜間を問わず検体検査/心電図検査を行っています。さらに、輸血関連検査や血液製剤管理を行う輸血・細胞治療センターにも臨床検査技師を派遣し、運営に携わっています。全体で90名ほどの臨床検査技師が在籍し、採血室、医化学検査室、血液検査室、細菌検査室、緊急検査室、生理機能検査室(内視鏡センター、健康診断センター含)及び輸血・細胞治療センターにスタッフを配置しています。私たちは担当検査項目だけでなく、他の検査との関連を意識し、情報や正確な結果を遅滞なく報告することに努めています。
病院内全スタッフからの検査に関わる問い合わせに対し、正確なアドバイスをすることも臨床検査技師の大切な業務のひとつと考えています。
患者様と接する採血業務や生理機能検査では、不安を持った気持ちを汲み取って対応するように努めています。
患者様から頂いた温かい言葉や安堵の表情、笑顔を見られたときなどはとても励みになります。
患者様と接する機会が少ない検体検査室では、患者様の血液や尿、その他の体液から得られる検査結果が病気の早期発見に繋がったときや、迅速な結果報告や医師への追加検査などのアドバイスが診断や治療介入へと繋がったときなどにやりがいと達成感を覚えます。特に、24時間体制で検査を行っている緊急検査室では、より迅速な結果報告が治療に直結し、命を救う一助になるという実感はとても大きなやりがいです。
臨床検査技師もチーム医療の一翼を担っています。例えば輸血検査では、常に緊張感を持って患者様に投与する輸血製剤を準備する、生命維持のために迅速かつ的確な判断力や行動力が求められるなど臨床現場にも大きく関わっています。他の検体検査や生理機能検査においてもチーム医療の一員であることを常に意識しながら業務を行っています。
臨床検査技術部では、迅速かつ精度の高い検査結果を報告することを目指しています。業務経験を積むことで専門的な知識や高い技術を培うことができ、検査値を色々な角度から幅広く捉える力も自ずと身についてきます。また、院内だけではなく、学会や研修会等の院外でも活躍する各分野の認定資格保有者や指導経験者が多数在籍しています。
循環器、神経生理、呼吸機能、内視鏡検査、健診業務に関する知識・技術
尿定性・沈渣、体腔液、糞便、薬物血中濃度、寄生虫学の知識・技術
血算、血球形態、凝固・線溶検査、細胞表面マーカーの知識・技術
測定データや血球形態(血液/骨髄)から血液疾患を鑑別する判断力
検出頻度が低い、もしくは当院で検出されたことがない菌種の可能性を考慮して検査を行う幅広い知識・技術、増加傾向にある遺伝子検査の知識
生化学/血液/医化学検査全般、細菌検査、心電図検査と幅広い知識・技術
正確な検査結果を得るための適切な採血手技を習得し、経験を重ねる探究心
輸血関連検査から輸血用製剤の管理・供給など輸血全般に関する知識・技術、造血幹細胞移植等の細胞治療の知識
職員・パート総勢90名ほどのスタッフが在籍し、圧倒的に女性が多い職場です。
スタッフ気質は比較的大人しく控えめですがとても真面目で、各自が向上心・探究心を持ち、強い責任感と高いチームワークで各検査室の役割をスタッフ一丸となって果たしています。
延べ119名が34の学会認定資格や国家資格を保有し(重複保有者あり)、専門性の高い技術を発揮しています。スタッフは認定資格の取得を目標に日々研鑽を積んでいます。
臨床検査技術部では次のような人財を求めています。
当院は特定機能病院であることから多くの患者様が来院されます。迅速かつ精度の高い臨床検査情報を提供するという目標のもと日々業務を行っています。
私の所属する生理機能検査室では心電図や呼吸検査のほかにも内視鏡検査や終夜睡眠ポリグラフ検査も行っています。これらの業務は医師や看護師だけでなく様々な医療スタッフとの連携が必要で、チーム医療の一員としてとてもやりがいを感じています。
直接患者様と関わることが多いので病院の理念でもある「愛ある医療の提供」の達成にむけて臨床検査技師として日々成長できる環境にあると思います。
当院は受診患者数・病床数ともに非常に多く、緊急性の高い患者さんが多く来院されます。私の所属する緊急検査室では24時間体制で生化学、血算、凝固、尿沈渣、血液培養、心電図、コロナ関連などの検査結果を、迅速かつ正確に報告する業務を行っています。多岐にわたる分野の検査を行っているため、幅広い知識や瞬時の判断が求められますが、入職後の教育研修で検査の原理や解釈などを一から教えてもらえるので理解が深まり、安心して習得することが出来ます。もし不安な事や分からない事があっても先輩技師のサポートにより、アドバイスをもらいながら解決することが出来ます。
症例数も多く、たくさんの経験を積むことができるやりがいのある業務なので、ぜひ当院で一緒に働きませんか。
女性が多い職場のため産前産後休業、育児休業の取得率が高く、また復職後には他のスタッフの理解のもと時短勤務を行いながら仕事と育児を両立させているスタッフが多く在籍しています。スタッフ全員が協調性を大切にして日々の業務を行っています。
国際規格ISO15189(臨床検査室ー品質と能力関する要求事項)を取得している検査室です。ISO15189の要求事項に基づく品質マネジメントシステムを構築し、業務を行っています。
例として以下のような取り組みを行っています。
当院では単に検査機器の操作を習得するだけでなく、多くの知識・経験を持った先輩技師による指導で幅広くかつ深く知識を習得できる環境を整えています。当院は多くの診療科や医療スタッフ・職員が一丸となるチーム医療の現場であり、また多くの学びが目の前にある教育の場でもあります。新入職者の教育のみならず、臨床検査技師を目指す大学・短大・専門学校生の臨地実習や、BSLでは医学生への指導も担っています。臨床検査技師としての専門性だけではなく、周囲の模範となる医療人や社会人を育てることができる心技体のバランスを大切にした人財育成を目指しています。
臨床検査技術部では新入職者オリエンテーションを実施後、各検査室の場所と業務を知る、また顔を覚えてもらうことを目的に、1日ずつではありますが各検査室オリエンテーションを行っています。その後いずれかの検査室へ配属になり、On-the-Job Training (以下OJT)が始まります。各検査室で用意された教育チェックリストを用いて検査室業務を習得していきます。配属後数年で他の検査室に異動となることがありますが、この場合も新入職者と同様にOJTを実施します。
また検査室業務とは別に、採血業務に導入するためのトレーニングも実施しています。
4月~5月 | 6月~8月 | 9月~12月 | 1月~3月 | |
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全体 |
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勉強会他 | 臨床検査技術部勉強会(ISO関連教育)各検査室勉強会、外部研修会 |
病院全体のオリエンテーション終了後、1日半かけて各担当スタッフが臨床検査技術部の概要、医療情報システム、ISO15189品質マネジメントシステム、災害時対応、セーフティマネジメント、精度管理、感染管理、毒物劇物化学物質の取り扱い、学術活動・職員研修等のオリエンテーションを実施します。
各検査室では検査項目ごとに標準作業手順書(SOP)を作成しています。新たな検査に従事する際には必ずSOPを確認します。検査の原理や検体受付から結果報告までの一連の流れ、試薬管理や精度管理などが記載されており、スタッフ間の統一が図られています。それぞれの検査室で検査している項目は非常に多く、そのすべてにSOPが作成されています。同様に検査機器のSOPも作成しており、装置の原理、操作方法、メンテナンス、トラブル時の対応等が記載されています。新入職者や異動者に対し新たに業務を開始してから3ヶ月を目安に、また全スタッフに対し年1回、力量および業務遂行能力を評価し、フィードバックします。
年4回開催される部内勉強会では、どの検査室のスタッフも従事している採血に関する講演や、研修会参加報告、学会発表報告、精度管理に関する講演などを実施しています。またISO15189の理解を深めるためにテーマを決めて勉強会の場で共有しています。
医学検査学会や各分野の専門学会において、口演やポスター発表などを行っています。若手スタッフが発表する際には、安心して発表に臨めるよう上級者がサポートします。
2025年5月1日現在