肺高血圧症は、肺の血管や心臓(右心系)に負担がかかり、息切れ・動悸・むくみなどを引き起こす病気です。比較的稀な病気のため初期は診断に至りにくい一方、この20年で治療は大きく進歩し、適切な診断と治療により見通しの改善が期待できます。
当院では、早期診断・早期介入と個別最適化された治療を軸に、症状の軽減と長期的な健康維持をめざします。大学病院・総合病院の強みを活かし、膠原病・呼吸器疾患・肝疾患など関連領域と密に連携します。
「肺高血圧症かもしれない」段階からのご相談も歓迎しています。また、現在肺高血圧症治療中の患者さんについても、「肺高血圧症を専門とする担当医が不在となった」など、何らかの理由で専門施設でのフォローアップ検査や評価をご希望される方は遠慮なくご相談を頂ければと思います。
① 外来初診(スクリーニング)
② 精密評価(必要時)
③ 治療方針の決定とフォロー
入院日数や検査スケジュールは、症状やご都合に合わせて柔軟に調整します。
日本のガイドラインに準拠し、状態に応じて薬剤を1剤から複数併用まで個別に調整します。
膠原病・呼吸器疾患・肝疾患などが背景にある場合は、各専門科と速やかに連携し、適切な治療介入を行います。心肺疾患合併の方も、病状に合わせて個別に最適な薬物治療を検討します。
急性肺血栓塞栓症にかかったことのある患者さんのうち約5%は、慢性期に固くなった血栓が肺の血流を阻害するため、肺高血圧症を来します。この病態を慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)と言います。明らかな急性肺血栓塞栓症にかかったことのない患者さんでもCTEPHを発症することがあります。当院ではCTEPHに対して薬物療法に加えてバルーン肺動脈形成術(BPA)を行っています。
当院は日本循環器学会のBPA実施施設として登録されており、既に80件以上の治療を行っています。日本循環器学会に認定された実施医により安全な手技を心掛けています。
原則4泊5日で、治療前検査→BPA→治療後フォローまでを一連で行います。必要に応じて段階的に複数回のBPAを計画します。
対象の診療科