医師を志す学生の皆さんに向けて、人間尊重の立場に立った医学教育を実践する聖マリアンナ医科大学の教育精神をご紹介します。
本学では、キリスト教的な愛の精神に基づき、プロフェッショナルとして、確かな専門知識を持っていることはもちろん、ひとの心の痛みがわかる、豊かな人間性を備えた医師の育成に力を注いでいます。
聖マリアンナ医科大学は6年間一貫教育による「グッドドクター養成カリキュラム」を採用しています。1年次から始まる専門教育、コース別講義、小グループ問題解決型教育、臨床実習において医療チームの一員となるクリニカル・クラークシップなど、教わるよりも自ら学ぶ力の養成に重点を置いた教育です。
最新の学習設備を備え、医学教育に必要なすべての機能を集結した「教育棟」をはじめとする聖マリアンナ医科大学の教育環境や、学生、教師の密度の高いコミュニケーションを生む理想的な医学教育環境をご紹介します。
実習や研究室配属で利用する施設をはじめ、大学院や付属研究所等をご紹介します。
在学生・卒業生のお手続きなど。

建学の精神・本学の使命

 昭和46(1971)年、故・明石嘉聞博士によって東洋医科大学の名で創立・開学して以来、附属病院、看護専門学校、大学院などが次々と併設され、医学教育における理想的な環境を築いてきた聖マリアンナ医科大学。本学のめざす教育は、あくまでも生命の尊厳を守り、医師としての使命感を自覚し、人類の福祉に貢献できる医師の育成です。
 そのため、本学では6年一貫教育体制のもと、一般教育から専門教育にいたるまでキメ細かなカリキュラムを設計。医師としての自覚と、将来必要となる基本的医学知識、技能、態度の修得をはかり、プロフェッショナルとしての誇りと、豊かな人間性、そして幅広い教養を持つ医師の輩出に力を注いでいます。
 人間関係がますます複雑化すると予想される21世紀、医の倫理が、その重要性を一層増してきています。そうした時代には、さまざまな最新の科学技術を駆使したハイテク医療にも増して、いのちある者を思いやる豊かな人間性を培うことが重要な課題となります。これからの医師は、あたたかい人類愛に根ざした「医のこころ」を備えていなければなりません。「医のこころ」とは人類の健康と幸福に奉仕するこころ、医学に携わるものが持っていなければならない人としての倫理です。そして、この使命感こそ医学生を支える精神的バックボーンと言えるでしょう。
 医を志す者に終着点はありません。どんなベテラン医師であっても、生涯が学習の場となる以上、その精神的拠り所となるのは、生命の尊厳であり、生命への畏敬の念でしょう。私たち聖マリアンナ医科大学は、こうした人間尊重の立場にたった医学教育を実践する気鋭の医科大学なのです。

-建学の精神-

キリスト教的人類愛に根ざした
「生命の尊厳」を基調とする
医師としての使命感を自覚し、
人類社会に奉仕し得る人間の育成、
ならびに専門的研究の成果を
人類の福祉に活かしていく医師の養成

-建学の理念-

医学は人体を対象とする学問であるが、同時に、人格体としての人間全体を対象とするものである。人体は治療し得ても、人間そのものを治すことができないとするならば、それは真の意味において医学とはいえない。医師たるものが人間性を忘却し、また自ら人間性を喪失するなら、医師はむしろこの世に不幸をもたらすものになってしまう。
医師は、人間そのものに対し、重大な責任を負わなければならない。

-本学の使命-

生命の尊厳に基づき
人類愛にあふれた医療人の養成

【標語】
Love for Others, Dignity of Life

 建学の精神において掲げられているとおり、本学を語るうえで、「生命の尊厳」ならびに「人類愛」は欠かすことの出来ない重要なキーワードである。本学の医学教育には、生命への畏敬の念と命ある者を思いやる豊かな人間性が礎にあることを常に心に留めておくため、本学の使命として明文化した。また、今後さらなる国際的な発展を遂げるにあたり、英文による標語を作成した。
 今後、これを標語とともに本学の使命として掲げ、ミッションカードを作成のうえ、広く学内に周知し、医学部学生ならびに教職員全体の医学教育に対する意識向上に繋げる。

生命の尊厳

 教皇聖下は、貴教区に、キリスト教の精神に基づく医学生の教育と、東南アジアの発展途上国に働く医師の養成とを目的とした医科大学が設立されたことをきかれて、心から満足され、大きな期待を寄せておられます。
 教皇ご自身この企画に深い関心を抱かれており、東洋医科大学(現聖マリアンナ医科大学)が、その希望を充分にみたし、その崇高な使命を達成する有効な手段となることをお祈りになっておられることを、貴下にお伝えするようにのぞまれました。
 この新しい大学の学生が、すぐれた医学の知識を身につけるだけではなく、かれらとかれらの知識は病者に奉仕するためのものであり、患者はかれらの利益のために、また学問の発展のためにあるのではない、ということを心に銘記して世に出るならば、この大学は、万人の称讃を受けるでありましょう。こうした心構えがあれば、かれらが患者を病人としてよりは、単に病気として見るとか、或いは生活の資源として、また科学の進歩の名の下に行われる実験の材料として考えるような危険に陥ることはなくなるでしょう。かれらは、患者のひとりひとりが人間であり、永遠につくられたものであること、生命と尊厳とをもち、神聖にして犯すべからざるもの、決して他の目的のための手段とせられてはならないことを忘却しないでしょう。
 何千年もの間、医師たちは、人間の生命を尊重することが、自分たちに課せられた特別の義務であると考えてきました。生命の尊厳こそ、医療の基本的原則であり、この原則によれば、堕胎によって胎児をかんたんに闇に葬るような現代の手術のあり方は、決して許されなかったはずです。
 教皇は、東洋医科大学が、多くの学生にとって、単に医学的知識と技術を学ぶのみに止まらず、さらに倫理的義務を体得する場となるように、お祈りになっております。
 この義務は、つねに医師の崇高な使命と結合しており、年と共に、また科学の進歩によって弱まるどころか、ますます重要、切実なものとなっております。
 教皇は、この新大学を末永く見守りたいとのお心から、彫刻家エンリコ・マンフリーニが制作したカリスを、記念として大学の聖堂に寄贈したいとのご厚意を示されました。茲にこの書簡を添えてお届けします。
 東洋医科大学が、その理想を実現できるよう、お祈りいたします。
 兄弟愛と尊敬の念をこめて。


教皇庁国務長官 ジャン・ヴィヨ枢機卿

※キリスト教的人類愛を基本精神とする本学の創設に際し、ローマ教皇パウロ六世より特別な関心と期待が寄せられ、カリスとパテナを拝受するとともに、異例の祝福を賜りました。ここにご紹介いたします。