研修・大学院

教授からのメッセージ

大学院の説明会などを開きますと、そもそも大学院とはどういうところであるか知らない方が多いことに驚かされます。大変古典的な、基礎研究のイメージを持つ方がきわめて多い。当科ホームページを読まれる方には、是非、現在の大学院というものを理解していただきたいと思います。

 

最近の大学院に求められていることの一つに、高度な専門職を身につけた医療人の育成が上げられています。わかりやすくいえば、専門医資格を持つ大学院卒業生です。ここで、おわかりいただきたいのは、学位と専門医は対立するものではなく、両立するものです。初期研修で学位と専門医のどちらがというアンケートがありますが、全く無意味です。両方をとるのが大学院のシステムなのですから。

 

では、学位をとるとはどういうことか。研修医をはじめ初級医師の情報ソースは、ほとんど指導医師からのものでしょう。現在のところはそれでも充分こなすのは大変でしょう。しかし、これだけですと指導医という他者の意見を無批判に受けて入れているのに過ぎないことになります。自分で行う医療について、体系的な知識がつきませんので、このまま、成長してくのはとても無理です。では、どうすればいいのでしょう。

 

中堅から上級医師になった時には、情報の正確さ、意義を充分理解しなければなりません。このためには英文の医学論文を読みこなすことが不可欠になります。医学論文を読みこなすには、医学論文の詳細な成り立ちをよくよく理解しなくてはなりません。

 

医学論文の詳細な成り立ちをよくよく理解するために最も効果的な方法は自分で一度、医学論文を作ってみることなのです。そうすることによって、どういうところにいい加減なものが入りうるか、どうやったら信用度の高い情報になるか、十分知ることができます。

 

大学院で学ばなければいけないことは、医学論文の詳細な成り立ちを理解することです。このために4年間という月日をかけ、中堅から上級医師になった時に、多くの情報の中から、自分で展開する医療のために、必要不可欠な知識を取捨選択できるようになるのです。

 

高度に専門化された医療人を目指す道、大学院に進学を考えましょう。

 


消化器・肝臓内科 教授

伊東文生