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ロールモデル紹介
女性医師

川崎市立多摩病院 呼吸器内科 J先生(卒後16年)

(H27/12現在)

女性として仕事を続けるという事

学生時代から、生涯医師として現場で働きたいと確固たる信念を持つ反面、高齢の両親の一人っ子として比較的早めに子供を授かりたいとも思っていました。入局前に医局長に相談し、「女性として当然の権利です。」と応援いただき心強かったのを鮮明に覚えています。入局後初の指導医は卒後10年目の女性医師で、仕事、女性としての生き方ともに心から尊敬できる方でした。「今しかできない事は必ず今」と、全てにおいて前向きに生きる事を教わりました。4年目で改めて医局長に相談し子供を授かりました。御報告直後から当直を免除頂いたにもかかわらず切迫早産で24週から入院。第二、三子の時は入院を免れましたが産休前に自宅安静。出産後は託児可能であった5か月目で復帰しましたが、結果的に長期不在となり多大なご迷惑をおかけしました。第三子出産前までは本院で多くの先生方に支えられ、常に上級医の下で病棟医をさせていただきました。
ご迷惑をかけ続けながら仕事をすることに常に悩んでいました。そんな中で、明石理事長に、「おう、頑張っているな。続けろよ。」とお声掛け頂いた事、第二子出産後に宮澤教授から「モデルケースとして続けてほしい。」と仰っていただいた事、仕事を続けるか迷っていた頃、消化器内科奥瀬先生から「お前は、カノン(明石会館にあった喫茶店)で後輩に、どうやって生きているか話してくれるだけで良いんだよ。」と仰っていただいた事。多くの先生方、他職種の皆様の温かいお言葉を紡いでここまで続けられてきたのだと思います。

育児について

現在12、10、6歳の女の子3人の子育て中です。第一子の時は不安も多く、大学院生であった主人や双方の両親の力をかなり借りました。朝まで起座呼吸の長女と不安な夜を過ごし、心身症で朝のみ嘔吐する娘を学校に送り、発熱や嘔吐と戦い夜間持続点滴、病児保育も常連でした。仕事中は保育園や学校から、家では病院からのオンコールだと常に緊張していました。震災時は学童保育閉鎖のため子連れで出勤し、医局や病棟ラウンジで過ごさせていただきました。子供たちも私もすっかり逞しくなり、また強靭な体力を持つ第三子にも助けられ、今は心身ともにかなり楽になりました。
子供の習い事や研究会の際はシッターさん、泊まりの学会や研究会は主人や両親にお願いしています。日曜出勤時は休日保育を利用していましたが、いつもと違う保育園に通うストレスが大きかったため、現在は主人も仕事の休日は高学年になった姉と過ごす事も多々あります。

仕事について

時短も検討しましたが、当時の呼吸器内科は今と違い早く帰れるムードはなく、そもそも昼食抜きでも16時までに仕事は終わらず断念しました。保育園近隣に転居し、通園時間2分、通勤時間15分程度に短縮することで就労時間の確保、体力の温存をはかりました。現在の保育園は、保育時間の制限が11時間であることから、朝のカンファレンスは欠席とさせていただき、8時半から20時まで保育園にお預けし、夕方以降は病棟が安定していれば、会議、事務仕事、データ整理などにあてています。
6年前に多摩病院に赴任し、第三子が3歳になってからは、休日日勤を月2-3回程度行い、夜勤は免除いただいています。現在呼吸器内科は2人体制で厳しいですが、病棟では総合診療科の先生とチームを組ませていただき、内科全体としての当直の先生方の御配慮もあり、夜間の呼び出しはかなり少なくなりました。呼び出しを要する急変の際は登校時間に合わせて朝一度帰宅させていただくなど、先生や病棟看護師の皆様にも配慮いただいています。
研究について、卒後8年目、長女が4歳の頃から2年かけて呼吸器外科栗本教授、森田先生の御指導のもと論文を作成し、宮澤教授の御指導により学位取得をさせていただいたことが、大きな転換期であったと思います。現在は本院を離れ研究からは遠のきがちではありますが、宮澤前教授、峯下教授の御配慮により発表の機会を頂くことができ、現在の環境を生かした臨床研究を続けられることは大変幸せに思います。人事を生かすも殺すも自分次第。多摩病院でも常に聖マリアンナ医科大学の教員である事を意識し心を戒めています。限られた時間内でも、臨床だけではなく研究や教育もバランスよく行うことが仕事を続けるエネルギーになっています。

最後に

多くの医師、看護師、コメディカル、掃除や警備など多くの方々にまで温かく支えていただき、御縁あり母校で長く務めさせていただいております。お忙しい中、決してお互い様ではない関係のまま支援し続けてくださった上司、同僚の先生方に心から感謝申し上げます。
少子高齢化を迎える日本において、子育て、介護など様々な状況に柔軟に対応できるよう、年齢、経験年数、職種、所属、ご本人やご家族のお考えも考慮し、それぞれがより良く職務を全うできるようになると良いと思います。

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