患者の皆さまへ

子宮筋腫でお悩みの方

子宮筋腫について

 

  子宮筋腫は、子宮の筋肉に発生する良性の腫瘤で、全女性の20%に生じているといわれているポピュラーな病気です。
 
 
子宮筋腫の症状
 
 子宮筋腫は、発育する場所によって粘膜下、筋層内、漿膜下の3種類に分けられ、各々症状の出方には若干の違いがみられます。
 
1.粘膜下子宮筋腫
     子宮の内側に飛び出してくる子宮筋腫で、極小さな腫瘤であっても、生理の際の出血量が増えたり、出血が止まりにくくなるため、結果として慢性鉄欠乏貧血になり立ち眩みや、心臓に負担がかかり過ぎて、息切れ、動悸、疲れやすくなるなどの症状が出ることがあります。また生理痛が強くなったりします。また、赤ちゃんができにくくなったり、流早産しやすくなったりもします。
 
2.筋層内子宮筋腫
     子宮の筋肉の中にできる子宮筋腫で、生理の際の出血量が増えたり、出血が止まりにくくなるため貧血になったり、また生理痛が強くなったりします。粘膜下子宮筋腫と比べると筋層内子宮筋腫ではある程度大きくならないと症状としてわからない場合も多いですが、赤ちゃんができにくくなったり、流早産しやすくなったりする可能性や、またお産の際に赤ちゃんが下の方に上手くおりて来られなかったり、お産後の出血が多くなったりする可能性があります。
 
3.漿膜下子宮筋腫
     子宮の外側に飛び出てくる子宮筋腫で、最も自覚症状の少ない筋腫です。 
  大きくなってくることで、お腹の腫瘤感、頻尿、便秘が生じることがあります。
 また、筋腫がねじれることで、急な強い腹痛があったりする場合もあります。
 お産の際の出血が多くなる可能性もあります。
 
 
 
子宮筋腫の治療
 
     子宮筋腫の治療は、経過観察、薬物療法、手術療法があります。症状やご希望等に応じて、患者さんのニーズに合った最良の方法を選択します。詳しくは、受診時に担当医にご確認下さい。
 
1.定期的な外来経過観察                                               
  子宮筋腫の症状がない、もしくは弱い場合には、大きさや個数、位置、性状などを定期的にチェックしていきます。血液検査、画像検索(超音波、CTMRI)での評価を適宜行っていきます。
 
2.薬物療法                                                               子宮筋腫が原因となって生理の出血量が多い(過多月経)、生理の期間が長い(過長月経)、生理痛が強い(月経困難症)、貧血が続くなど症状がある場合には、鉄剤、止血剤、鎮痛剤、投与による対症療法を行います。さらに症状を緩和するためには、偽閉経療法などのホルモン治療も選択できます。偽閉経療法のGnRHaアゴニストは女性ホルモン(エストロゲン)の分泌を抑え、筋腫を小さくし、過多月経や月経困難症を少しでも楽にするために用いられる治療法です。ただしGnRHaアゴニストは女性ホルモンを抑える作用があることから、長期に渡って治療を続けることは難しく、また治療を中止することによって筋腫は治療前の大きさに戻り症状も再発する場合が多いです。また、筋腫が大きいため手術を前提として(手術前の貧血の改善や、大きさを小さくすることにより手術をしやすくする目的で)薬物療法を行う場合もあります。 
                                                                                                                                                                               3.手術
子宮筋腫の症状が強く薬物療法の治療効果が望めないには手術療法を選択します。手術の方法は年齢や今後の妊娠希望の有無によって分けられます。                                                     
妊娠希望がない場合には、原則的に開腹手術で子宮全摘術を行います。ただし、お腹を開かないで行う方法(膣式子宮単純全摘術)や腹腔鏡を併用して膣式に子宮を全摘する方法(LAVH)などが選択できる場合もあります。           
また、妊娠希望がある場合には、筋腫核出(子宮から筋腫をくり抜く)手術があります。筋腫核出術の術式は、粘膜下子宮筋腫の場合には子宮鏡下手術を、筋層内や漿膜下子宮筋腫の場合には原則開腹手術を選択しますが、症例によっては腹腔鏡下手術が可能な場合もありますのでご相談下さい。