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生理不順でお悩みの方

生理(月経)不順について

 生理のことを医学用語では月経といいます。月経とは、通常は排卵が起きた後、妊娠にいたらなかった場合、卵巣から出ていた黄体ホルモンと卵胞ホルモンが減少し、子宮の内側を覆っている子宮内膜と呼ばれる壁の一部が壊死に陥って崩れ、血液、内膜組織、粘液などが子宮外に排出されるため起きます。
 月経の周期とは、月経の第一日目から次の月経の前日までの日数で、これが30日ならば30日型と言います。一般的に25~38日周期で3~7日続く周期が正常と言われています。排卵が起きている周期の場合、その長さの差は月経開始から排卵まで(卵胞期)の長さにより、排卵から次の月経まで(黄体期)は基礎体温から推定される長さは10~16日の間に入ることが多いようです。

月経が不順があるとき、

1.排卵があるけれど周期が長いか、あるいは卵胞期の長さにばらつきがある場合
2.無排卵の場合
3.排卵があったりなかったりの場合
4.月経のほかにも出血がある場合


の4通りの可能性があります。

 月経が始まって6~7年までは排卵周期が確立していないことも多いので、1~4のいずれのパターンも起こりえますが、病的ではないことが殆どで、長期にわたって止まらない不正出血以外は通常治療の対象になりません。但し、ティーンエイジャーでダイエットやスポーツなどで体重減少に伴って月経が止まったり不順になった場合は、脳から出るホルモンで、卵巣をコントロールするゴナドトロピンという物質が減ったため卵巣機能が落ちている可能性がありますので、産婦人科にご相談ください。

 成熟した女性では、1.の場合は、通常はホルモン不足の心配はありません。無排卵の場合、女性ホルモンが不足するような状態のときは長く続くと健康上の問題が生じることもあります。特に子供が欲しいのにできにくい場合で、産婦人科を受診して、超音波断層法で卵巣や子宮を観察し、血液中のホルモン検査をすることで原因を調べることをお勧めします。4.の場合、月経のはじまる2週間前くらいにある少量出血は、排卵に関わる出血のことが多く、これは基本的に心配は要りませんが、不規則な不正出血はポリープやがんなど色々な原因が考えられますので、婦人科の診察を受けた方がいいでしょう。

 1.~3.のパターンをしめす原因で、比較的よくある原因として、多嚢胞卵巣症候群があります。原因はまだ明確でないのですが、生まれつきの体質と考えられ、超音波やホルモン検査で診断されます。月経が順調な人から、何年も無月経な人まで多彩で、年齢とともに月経周期が延びたり、体重が急激に増加すると月経不順や無月経になることもあります。典型的な症状としては肥満、多毛やにきびなどで、糖尿病になりやすい傾向がみられます。多嚢胞卵巣症候群不妊で治療をうけている患者さんにはよくみられますが、女性ホルモンの不足はないことが多く、不妊症でない場合は排卵があれば、周期は長くても問題ないことがほとんどです。