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掲載日:2020年10月20日

安全な膵頭十二指腸切除術

膵頭部癌、IPMN、遠位胆管癌、十二指腸乳頭部癌などの膵頭十二指腸領域の疾患に対して適応となる膵頭十二指腸切除 (以下、PD) は侵襲の大きな術式であり、一般的には術後入院期間は3-6週間、術後合併症の発生率は40-60%と言われています。当院では手術手技の工夫や周術期管理の徹底によって全国平均よりも良好な成績を長期間維持できています。

PDにおける術後合併症の中で、膵液瘻と胃内容排泄遅延は患者様と外科医を苦しめるメジャーな合併症です。膵液瘻は腹腔内出血の原因となり、致命的になり得る合併症ですが、一般的には10-20%と高い発生率です。当院では膵断端と空腸の吻合(膵消化管吻合)において、Blumgart吻合を改良したCOMpressed Pancreatic Stump (COMPAS)吻合を開発し、重篤な(GradeB以上)膵液瘻の発生を2.0%に抑えることができています(小林,大坪 膵消化管吻合; 新世代の膵癌診療・治療バイブル, メディカ出版)。

放射線科01

胃内容排泄遅延は致命的にはなりにくい合併症ですが、絶食期間が長くなり、場合によっては経鼻胃管の挿入が必要になることで患者様のQOLが低下し、入院が長期化します。一般的には10%前後の発生率と言われていますが、当院では消化管吻合を工夫したVertical Array Reconstruction (VAR)テクニックによって1.7%の発生率となっています(Kobayashi S, Otsubo T, et al. Digestive surgery, 2018;35(5):469-473.)。


放射線科01

また、ERASの概念を用いた周術期管理を徹底し、その結果を評価するために周術期管理における臨床研究も常に行っています。徹底した周術期管理と上記のような手術手技における工夫を行うことで術後の入院期間中央値は17日となっています(Kobayashi S, Otsubo T, et al. Journal of Hepato-Biliary-Pancreatic Sciences, 2018;25(4):231-239.)。


 

聖マリアンナ医科大学 消化器・一般外科