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掲載日:2020年10月16日

家兎・外耳道閉鎖モデルを用いた、自己由来口腔粘膜上皮細胞シート移植による治療効果の検討

慢性的な刺激や慢性炎症性疾患、外傷などによって外耳道が閉鎖してしまう、外耳道閉鎖症という疾患があります。難聴や慢性的な耳漏が生じる本疾患に対しては未だ、確立された治療法がありません。外科的治療が第一選択として選択されることが今現在多いですが、外科的治療後の再発率は非常に高く、患者さんの生活の質(QOL)向上のためにも、新たなアプローチによる治療法の開発が、長らく期待されていました。
本研究では、温度応答性培養皿と呼ばれる特殊な培養皿を用いて、口腔粘膜をシート状に培養しました(口腔粘膜細胞シート)。この口腔粘膜細胞シートを、外耳道閉鎖症術後の創部に移植することで、再閉鎖を防げるのではないかと考えて研究を行いました。実験には家兎を用いました。外耳道皮膚を、全周性に剥離することによる、外耳道閉鎖モデルを作成しました。外耳道皮膚を剥離すると、数日以内に外耳道閉鎖を認め、その閉鎖は、少なくとも4週間は自然治癒することがありませんでした(コントロール群、n=15)また、外耳道皮膚剥離直後に、臨床現場で創部処置に使用されるPGAシートを創部に留置しても、外耳道閉鎖を防ぐことはできませんでした(PGA群、n=5)。一方、外耳道皮膚の剥離直後に、自家由来の口腔粘膜細胞シートを移植した群では、移植後数日で創部の治癒を認め、移植後4週間では全例で、閉鎖を有意に予防することができました(シート群、n=5)。この結果より自家由来の口腔粘膜細胞シートを外耳道閉鎖症の術後早期に移植する治療方法は今後、臨床において外耳道閉鎖症の再発を防ぐ新しい治療法になりうることが示唆されました。本研究の成果は、Acta Biomaterialia 2020, 110: 141-152.に掲載されました。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1742706120302282?via%3Dihub

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聖マリアンナ医科大学 耳鼻咽喉科学