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掲載日:2022年7月26日

生命現象を可視化し、その謎に迫る

免疫細胞の遊走は体内へ侵入した病原体を駆除するための重要な生体防御機構であり、一般にケモカイン等のChemoattractant (CA)分子より厳密に制御されています (Miyabe et al, Nature Reviews Rheumatology 2019)。しかし、この制御機構が破綻し、免疫細胞が異常に活性化して組織へ遊走する事で自己免疫疾患等の慢性炎症が発症します。
我々はこれまで、この遊走制御機構を解明し、効果的な治療標的を同定することを目的に研究に従事してきました。従来の実験手法では複雑な細胞間相互作用や個々の細胞の動きを捉えるのは不可能でしたが、我々は生体イメージング技術を用いて、マウスの関節内in vivoイメージングシステムの開発に成功しました (動画1参照) (Miyabe et al, Methods in Enzymology 2016)。

生命現象を可視化し、生命現象の謎に迫る


この手法を用いて、Tissue resident cellsが免疫細胞の遊走を促進する従来のIII型アレルギーと異なる補体成分C5aが免疫細胞の遊走を直接誘導する新しいIII型アレルギーの発症機序を見出しました (図1参照) (Miyabe et al, Science Immunology 2017)。

生命現象を可視化し、生命現象の謎に迫る


また、我々は組織内のCA分子が血管内腔へ輸送される様子をリアルタイムで観察する技術を確立し、血管内皮細胞の補体受容体 C5aR2が補体成分C5aを輸送し、循環している好中球に発現している補体受容体 C5aR1に結合し炎症の起点となる血管内接着を促進し、炎症を惹起している事も明らかにしました (図2, 3参照) (Miyabe et al, Science Immunology 2019)。

生命現象を可視化し、生命現象の謎に迫る

生命現象を可視化し、生命現象の謎に迫る


 現在、我々の研究室では生体イメージング技術を様々な難治性疾患に適用し、その病態解明と治療薬の開発に努めています。

 

聖マリアンナ医科大学 免疫学・病害動物学