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掲載日:2021年6月23日

肺悪性腫瘍に対する完全胸腔鏡下手術、Video-Assisted Thoracic Surgery

肺悪性腫瘍に対する手術アプローチには約15~20㎝程度の創部で行う開胸術と小開胸に胸腔鏡を補助として使用する胸腔鏡補助下手術、そしてポートと呼ばれる小さな創部3~4か所で、すべての手術操作をモニター視のみで行う完全胸腔鏡下手術など様々あります。当科では肺癌を中心とした肺悪性腫瘍に対して胸腔鏡補助下に小開胸創から直視下に手術を行う胸腔鏡補助下手術(Hybrid Video-Assisted Thoracic Surgery; hVATS)を中心に行ってきました。さらに最近では、症例に応じて、より患者さんに対して優しいとされる完全胸腔鏡下(Complete VATS; cVATS)での肺悪性腫瘍の手術も行っています。完全胸腔鏡下手術では患者さんの側胸部に約3~4㎝程度のポート1個と2㎝程度のポート2~3個を作成し、カメラを胸腔内に挿入し、術者・助手の全員がモニター画面を見ながら特別な手術器具を用いて手術を行います。手術に携わる外科医全員が拡大された共通の画像を見るため、死角が少なく、さらに手術手技に関しても術者・助手共通の認識で手術を行うことが可能なため、より安全に手術が行えます。また、患者さん自身の直接のメリットとしては傷が小さいため術後の疼痛や美容面に関しても優れていると考えられます。特に手術の際に切離する筋肉も少ないため術後の呼吸機能の損失が抑えられ、疼痛の低減と相まって、入院期間の短縮やQOLの改善につながると考えられています。一方、デメリットとしては手術操作に特別な慣れが必要な点や、予想外の出血時への対応が開胸手術と比べどうしても遅くなる点が挙げられます。当科ではこのような点に留意しながら、より患者さんに〝優しい″完全胸腔鏡下手術症例を増やしていく所存であります。また近年、約4㎝程度のポート1個でのみ手術を行う最新の単孔式胸腔鏡手術(Uni-portal VATS)が注目を集めています。西洋諸国や中国で近年始められた術式ですが、ここ数年本邦でも少しずつ取り入れる施設が出てまいりました。しかし、特別な鉗子類や手技が必要であり、手術確立までのハードルがかなり高くなるのが問題点として挙げられます。当科でも将来に向け、単孔式胸腔鏡下手術に取り組み始めております。(写真1,2,3: 2021年5月、右肺癌に対する単孔式右上葉切除術)