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掲載日:2020年12月11日

医学研究に貢献する「ヒト組織バンク事業」

1.医学研究に貢献する「ヒト組織バンク事業」

薬理学が運営するヒト組織バンク(2001年設立)は外科学、病理学と共同で、患者さんから同意を頂いた上で、外科切除した組織で検査に用いない部位を研究目的で保存し、倫理審査に通った研究に提供しています。


2.ヒト組織を用いた研究の必要性

ヒトと動物ではたくさんの違いがあります

実験動物で効き目のあった薬でも、私たちヒトには効き目がなかったり、思わぬ副作用が現れたりすることがあります。そこで、新しい医療または新薬を、より安全に、より早く実現するためには、ヒトでの効き目や副作用が起きることを予測することが必要となり、そのためにヒト組織を用いた研究が行われています。たとえば、ヒトの肝臓のごく一部を用いて、薬の分解のしやすさ、飲み合わせの悪い薬があるかを予測したり、病気の組織を用いて、その病気の原因を調べるなど、ヒトの組織を用いた研究は医療の様々な手がかりを選るのに重要な役割を果たしています。

日本人と外国人にも違いがあります

最近、同じ人類でも日本人と白人では、目や皮膚の色が違うように、病気のかかりやすさや薬を分解する能力に違いがあることがわかってきました。つまり、私たち日本人にあった、より良い医療を作るには日本人の組織を用いた医学研究が必要なのです。

薬理学01



また、現在以下の研究課題が進められています。
・日本人小腸チトクローム P450(CYP)分子種 3A4, 2D6 の遺伝子多型と機能解析および蛋白質発現量と活性を測定
・肝細胞癌の病態における神経内分泌の役割、腫瘍免疫の役割
・肝臓組織より初代培養肝細胞を樹立し、薬物代謝酵素、輸送蛋白質の研究へ応用
・肝臓癌患者を対象とした癌関連因子の発現と生存率の関係性について
・日本人肝チトクロームP450の各分子種における遺伝多型とmRNA、蛋白質発現量および酵素活性との関連の評価

研究成果

薬理学講座ではヒト組織を用いて、以下に示すような研究成果を公表しています。
・M. Hara, et al., Cancer Sci. (2019) 110, 235.
・H. Wakasugi, Cancer Lett. (2018) 434, 91.
・S. Takenoshita et al., Jpn. J. Clin. Pharmacol. Ther. (2018). 49, 3.
・M. Kawakami et al., Biol. Pharm. Bull. (2017). 40, 1344.
・Y. Takeba, et al., Cancer Chemother Pharmacol (2012). 69, 154.
・M. Hayashi, et al., Biol. Pharm. Bull. (2011). 34, 71.
・Y. Takeba, et al., J. Pharmacol. Sci. (2011). 115, 516.

これまでに、以下の共同研究が行われてきました。
学内との共同研究:消化器内科学
学外との共同研究:昭和大学、九州大学、東京大学、ヒューマンサイエンス振興財団(現:医薬基盤研究機構)、アストラゼネカ社、第一三共株式会社

 

聖マリアンナ医科大学 薬理学