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掲載日:2020年11月20日

Withコロナ時代の安心・安全な内視鏡検査〜飛沫感染予防マスクの開発〜

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大で世界が未曾有の危機に直面し、コロナ新時代と呼ばれる難局を迎えている中、我々医療従事者の感染対策も大きく変化しています。新型コロナウイルスは気道分泌物から分離され、飛沫やエアロゾルを介しての感染が考えられることから、上部消化管内視鏡では患者の咳き込みや嘔吐反射の際にウイルスを含む⾶沫やエアロゾルが拡散し、これらを介した医療従事者への感染が危惧されます。さらに、無症状の感染例が一定数存在していることからも飛沫予防策をはじめとした感染対策が全ての内視鏡診療で必須です。
レーザー光散乱法を用いて内視鏡検査で生じる飛沫を可視化した結果、相当数のウイルスを含む飛沫が患者口腔内から発生しており、その後も広範囲の空中にある程度の時間を停滞することが分かりました。そのため、術者だけでなく、他の医療従事者や他の患者さんに対する感染リスクが高いことが判明しました。通常の感染対策はフェースシールド付きマスク(またはゴーグル+マスク)・手袋・キャップ・ガウン(長袖)の着用、そして各種防護具は患者毎に取り換え、検査・治療終了後に手指洗浄する方法で行っていますが、個人防護具だけでは感染対策が不十分な可能性があり、さらに世界的には終息の見込みは立っておらず、本邦でも感染拡大の再燃する可能性があることから、確実な感染対策が必要と考えました。
そこで我々は、エアロゾルを含む飛沫の拡散を抑えるために、感染源となる患者口腔を『マスク』することでウイルスの飛散、室内でのエアロゾル充満を最小限に防ぐ内視鏡用マスクを開発しました。この新型マスクは、3Dプリンターで簡単に作成できるマスクの骨組みを作成し、市販されているビニール袋でその骨組みを覆うことにより『マスク』としての形状を作成し、その『マスク』を市販の不織布マスクまたはバンドで固定することで簡便かつ低コスト化に成功しました。
飛沫を可視化する実験では、新型マスクは大幅に飛沫の拡散を防止することが分かり、空中に飛沫が生じることはなく感染リスクが大幅に下げることができる可能性が高いと考えます。
当科では、患者さんだけでなく医療従事者もウイルスから守りながら安心かつ安全な内視鏡診療を行ってまいります。



消化器・肝臓内科01

消化器・肝臓内科01

 

聖マリアンナ医科大学 消化器・肝臓内科