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掲載日:2020年9月1日

難治てんかんに合法的大麻由来サプリメントが著効

2020年6月8日にオンライン先行で出版された『Epilepsy & Behavior Reports』誌に、正高佑志医師(一般社団法人 Green Zone Japan)、太組一朗准教授(聖マリアンナ医科大学脳外科)らによる、本邦初のCBDが著効した難治てんかん症例報告が掲載されました。
患者は生後6ヶ月の男児で、出生直後からてんかん発作を繰り返し、病院から処方された抗てんかん薬を計12種類使用するも、発作の抑制は得られませんでした。本症例に対し、市販のCBD製品(Hemptouch ティンクチャー 1500 mg/10 ml)の投与を開始したところ、強直発作の完全な消失を認めました。
本邦において、一部の CBD 製品はその製法により合法的サプリメントとして市販されています。しかし、海外で医薬品として承認を得ている製品はこれらとは違う製法のため、大麻取締法抵触により国内使用が禁止されており、医師が処方することもできません。本報告は、これらが国内でも医薬品として必要とされていることを学術的に示すものです。

論文名: Report of a 6 month old Asian infant with early-infantile epileptic encephalpathy whose seizures were eliminated by cannabidiol
著者名: 正高佑志、太組一朗、Edward Maa、山本仁
掲載雑誌: Epilepsy and Behavior Reports
doi: 10.1016/j.ebr.2020.100373
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2589986420300216?via%3Dihub

産婦人科学01
図1:両親による患者の発作記録(2018年6月)
白線1より CBD の服薬を開始、白線2から増量したところ、明らかな発作の減少を得た。


難治性てんかんにおけるカンナビノイド(大麻抽出成分)由来医薬品の治験に向けた研究班が発足


医薬品としてのCBD製剤が国内で使用できないという問題点は、秋野公造参議院議員により2019年3月および5月に国会質問が行われ、「ひとたび治験計画が提出されたら、国は厳正に審査する」という答弁が引き出されました。これを受けて、2020年6月、聖マリアンナ医科大学の研究者をはじめ、日本医科大学、京都大学、福岡大学、国立精神・神経医療研究センター、沖縄赤十字病院、埼玉県立小児医療センター、一般社団法人Green Zone Japan所属の専門家から成る 厚労省研究班が発足いたしました(難治性てんかんにおけるカンナビノイド(大麻由来成分)由来医薬品の治験に向けた課題把握および今後の方策に向けた研究 班長:太組一朗)。難治てんかんに対するCBD製剤治験は準備段階に来ています。患者団体のみなさまからご協力をいただきながら、治験実施に向けた課題把握および今後の方策に向けた研究を進めてまいります。