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掲載日:2020年3月11日

ALK阻害剤の再発・難治性ALK陽性未分化大細胞リンパ腫(ALCL)に対する世界で初めての薬事承認/医師主導治験の成果

小児科01

聖マリアンナ医科大学、国立病院機構名古屋医療センター、国立病院機構九州がんセンターの研究グループによる医師主導治験の成果に基づき、ALK阻害剤アレクチニブの再発・難治性ALK陽性ALCLの小児・成人患者に対する適応が薬事承認されました。ALK阻害剤のALK陽性ALCLに対する薬事承認は世界で初めてです。

本研究開発は、厚生労働科学研究委託費(革新的がん医療実用化研究事業)(平成26年度)、日本医療研究開発機構(AMED)革新的がん医療実用化研究事業(平成27年度~29年度)の支援を受けて行われました。 https://www.amed.go.jp/news/release_20200225-02.html

未治療ALK陽性未分化大細胞リンパ腫(ALK陽性ALCL)(1)に対する標準治療は多剤併用化学療法であり約70%に長期寛解が期待されます。一方、再発・難治性ALK陽性ALCLに対する治療は未整備であり、造血細胞移植などが選択されています。本研究開発の構想時において、再発・難治性ALK陽性ALCLに対するALK阻害剤(2)の効果は期待されていましたが、ALK阻害剤の薬事承認はALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんの一部に限られていました。
「再発又は難治性未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)陽性未分化大細胞リンパ腫患者を対象としたCH5424802の第II相試験(医師主導治験)」は、再発・難治性ALK陽性ALCLに対するアレクチニブ1回300mg 1日2回経口投与(ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する薬事承認用量・用法と同じ)(ただし、体重35 kg未満の場合の1回投与量は150mg)の有効性と安全性の評価を目的として行われました。治験には15歳以下の小児4例を含む10例の再発・難治性ALK陽性ALCLが登録されました。10例中8例に奏効を認め、6例に完全奏効を認めました。小児における初期安全性は第1サイクル(21日間)終了時に効果安全性評価委員会により評価されました。10例中3例以上に発症した副作用は、斑状丘疹状皮疹、上気道感染、気管支炎および血中アルカリホスファターゼ増加でした。

(1) ALK陽性未分化大細胞リンパ腫(ALK陽性ALCL)
リンパ腫をさらに分類したひとつの病型がALK陽性未分化大細胞リンパ腫です。ALK陽性ALCLの発症年齢のピークは小児を含む若年者であり、国内における発症数は年間90人程度と推測される稀な疾患です。ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)はALCL細胞の増殖に関与していると考えられている蛋白質です。
(2) ALK阻害剤
ALK蛋白質の活性を阻害して治療効果を発揮する薬剤です。ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんの一部に対する薬事承認により2012年に国内で販売が開始されました。