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掲載日:2020年2月18日

パーキンソン病に対するデバイス治療(Device aided therapy)について

パーキンソン病患者に対するデバイス治療は本邦では2種類あり、当院はいずれの治療も施行可能な数少ない施設です。

長期に経過したパーキンソン病では、必ずしも薬効が一定せず、症状の日内変動(ウェアリングオフ)やドパ誘発性ジスキネジアといった運動合併症が出現します。これらの運動合併症を伴ったパーキンソン病に対しては機器を用いたデバイス治療(Device aided therapy)が選択肢となります。
本邦で承認されているデバイス治療として、レボドパ/カルビドパ配合経腸用液(levodopa continuous intestinal gel: LCIG)持続注入療法と脳神経刺激(deep brain stimulation: DBS)の2つがあります。こられのデバイス治療は、薬物療法で運動合併症のコントロールが難しくなった方に有効性が認められる他、抑うつや疲労といった非運動症状にも有効な場合があります。
LCIG持続注入療法(図1参照)は、まず経鼻腔チューブによる試験投与で有効性を確認し、有効性が確認された場合、消化器内科の医師と連携して内視鏡下で胃瘻空腸路を造設し持続療法を開始します。LCIG持続療法は、理論的にはレボドパ血中動態を限りなく安定化させることができるので、運動合併症の軽減が期待出来ます。

臨床検査医学01

図1 レボドパ/カルビドパ配合経腸用液(levoodopa continuous intestinal gel)

DBS(図2参照)は、脳深部に直径1.3mm程度の電極リードを挿入、留置し、持続的に電気刺激を送ることにより、神経機能を修正制御することにより運動合併症を改善させます。刺激部位として多くは視床下核脳深部刺激(subthalamic nucleus DBS: STN-DBS)が選択されます。DBS刺激発生装置の体内への埋め込みは脳神経外科医が行ない、術後の刺激調整や長期管理は脳神経内科医が行います。

臨床検査医学01

図2 脳深部刺激療法(Deep brain stimulation)

当院においてはいずれのデバイス治療の施行も可能ですので、2つの治療法の特徴を考慮して、患者さんの病態に応じた最適なデバイス治療を選択できるメリットがあります。2020年現在、いずれのデバイス治療も15症例を超え、本邦においても医療経験豊富な施設となっています。また、長期にわたる治療後の経過も良好で、患者さんの生活の質の改善が持続しています。これらのデバイス治療の遂行には、消化器・肝臓内科、脳神経外科、看護部、薬剤部など、多職種連携が不可欠ですが、当院では連携の整備に注力し安全で有効な治療を心掛けています。今後もパーキンソン病の高度医療、地域医療に貢献してまいります。