Academic Achievements

これを読まれている方のなかに“水道の蛇口を捻ることで綺麗な水がでてきてありがたい！”と毎日感謝されている方はいらっしゃるでしょうか？夏の暑い日等、時々はあるかもしれませんが…水道局の方に毎日感謝されている方はまずいないと思います。ですが、“水が出ない”“泥水がでてくる”ようでは生活を営むうえで困りますよね。臨床検査の仕事は水道局の仕事と類似しており、オーダーいただいた検査を“常に高い精度でかつ迅速に”臨床医のもとに返さなくてはなりません。検査において“結果が出ない”、“精度が低い結果がでてくる”ようでは、日常診療に支障を来してしまうからです。

このような理由から、臨床検査の世界では“常に高い精度でかつ迅速に結果を返す”ことが非常に重要視されています。これは国内のみならず海外でも同様であり、それを証明する国際規格が存在しています。みなさんも聞いたことがあるかもしれませんが国家間に共通な標準規格を提供しているISO（International Organization for Standardization: 国際標準化機構）という組織があり、同機構が認定を行っているのが臨床検査室認定国際規格ISO15189です。つまり、これを取得できれば“臨床検査室の技術能力が国際レベルであること”の証明となるわけです。

ただし、このISO 15189 取得は容易なことではありません。というのは、この規格で規定されている管理面、技術面の要求事項を全ての検査室において満たすことが必要であり、かつその要求事項を満たした手順書作成ならびに運用改善が必要となるからです。このため、ISO 15189 取得を目指す多くの施設では、外部コンサルタントの助言を得つつ、1年以上かけて取得準備を行います。当院検査室も2016年末より準備、四苦八苦しながら2019年に取得することができました。

このように、臨床検査の仕事は決して派手ではありませんが“医療を行う上で必須のインフラ”であることがご理解いただけたかと思います。これからも当大学診療の礎となれるよう邁進して参りますので、御助力の程宜しくお願い申し上げます。

聖マリアンナ医科大学　臨床検査医学