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掲載日:2019年11月8日

食道がんに対する内視鏡下手術

当院では2010年より食道がんに対し内視鏡下手術(胸腔鏡下食道切除および腹腔鏡下胃管作成)を積極的に導入しています。従来から行われてきた開胸開腹による食道がん手術では、胸部、腹部に大きな創が必要となるため、身体的な負担も大きなものとなります。 当院で行っている手術方法は、胸部に5-10mmの穴を5-6個あけて、カメラと手術器具を胸腔内に挿入して胸部のリンパ節郭清と食道を剥離した後に食道の切除を行います。その後、腹部に5-10mmの穴を5個あけて腹腔鏡下に腹部のリンパ節郭清と胃の遊離を行い、約5cmの小開腹で胃管作成します。最後に胃管を頚部まで持ち上げて残った食道と胃管を吻合しています。

消化器・一般外科01
消化器・一般外科02

内視鏡下の食道がん手術では、手術の傷を小さくすることで開胸および開腹手術と比べて整容性が高く、胸壁や腹壁への破壊が少ない(低侵襲)ため痛みが少なく、術後の回復を早めることが可能となります。さらにハイビジョン画像(3Dカメラ画像)による拡大視効果により細い血管や神経も見えるようになるため、繊細かつ緻密な手術手技が行うことができ、これにより手術出血量の減少など合併症の低減やリンパ節郭清の精度の向上などにも繋っています。また、胸部操作の手術体位は腹臥位(うつぶせの状態)で行っており、これにより食道切除の際に視野を妨げる肺や心臓などの臓器が重力によって下側に移動するため、従来の左側臥位と比較して広く安定した視野を確保できるなどの利点があります。
食道がんに対する内視鏡下食道切除は高度の技術を要するため、限られた施設でしか行われていないのが現状ですが、当院では現在までにこの手術手技の定型化もすすみ、進行癌を含む多くの食道がんに対してこの手技を行っています。

消化器・一般外科03
消化器・一般外科04

 

聖マリアンナ医科大学 消化器・一般外科