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掲載日:2019年11月1日

オートファジーと緑内障

緑内障は視神経乳頭陥凹が特徴的であり、視野が徐々に狭窄していく神経変性疾患です。 視神経は中枢神経であり一度変性すると再生が困難なことから、変性を抑制する治療が重要な位置づけとなり、現在では眼圧下降により進行を抑制もしくは遅らせる治療が行われています。 しかしながら十分な眼圧下降によっても進行する症例も多く、もともと正常眼圧で眼圧が高くない症例も多く存在します。 治療開始時には正常眼圧でもさらに眼圧下降を目指すのが一般的ですが、その上で進行する症例には眼圧下降に関係なく直接視神経軸索を保護する治療が望まれています。 何故視神経軸索の保護なのか?網膜内層に位置する網膜神経節細胞の死が緑内障性視神経症の本態ですが、網膜神経節細胞死のパターンは神経線維に沿って生じるため、視神経軸索の変性の結果、細胞体の死が起きていることは明らかです。 つまり細胞体死の前段階の視神経軸索変性を止めることが重要です。
一方、オートファジーは二重膜構造のオートファゴソームからオートリソソームになりアミノ酸となるサイクルの中で、不要な蛋白質などをクリアランスする細胞内システムです。 オートファジーフラックスの増加はクリアランスが亢進している状態です。 私たちは緑内障モデルの視神経でオートファジーフラックスの低下を見出し、フラックス亢進により視神経軸索保護に向かうことを報告しました。 オートファジーは飢餓で亢進するため、食事を制限することでオートファジーを活性化することができると考えられます。 また運動によっても中枢神経でオートファジーを活性化するとの報告もあり、これらにより視神経にもいい影響をもたらすことが期待できます。

分子精神科学01

 

聖マリアンナ医科大学 大学院分子神経科学