MENU

Academic Achievements

  1. TOP
  2. Academic Achievements
  3. スポーツへの早期復帰の挑戦 -微弱電流- ~スポーツ医学講座より~

掲載日:2019年9月30日

スポーツへの早期復帰の挑戦 -微弱電流-
~スポーツ医学講座より~

スポーツ医学講座では約10年前より、「微弱電流による組織損傷の修復促進効果」について基礎研究を積み重ねてきました。2019年3月、それらの成果の一部はNHKの「クローズアップ現代」でもテレビ放映されました。
微弱電流(Microcurrent electrical neuro- muscular stimulation)とは、人体が感じることのないマイクロアンペアレベルの非常に微細な電流で、よくある筋肉を強制的に収縮させるような電気刺激とは全く異なるものです(図1)。
近年トップスポーツの世界では、微弱電流が軟部組織損傷の治癒を早めることが多く経験されており、早期復帰を渇望する選手達にとっては必要不可欠な手法となっています(図2)。過去には基礎研究もあり、腱、靭帯、創傷、皮膚潰瘍等にその有効性が報告されています。
本講座ではこれまで検証されていなかった骨格筋損傷に着目し、一連の動物実験(下記)にてその修復促進効果を世界で初めて分子生物学的に確認しました(#2、#3は学位論文)。

#1、「Microcurrent electrical neuromuscular stimulation facilitates regeneration of injured skeletal muscle in mice.」
(Hiroto Fujiya et al., 2015)
#2、「Regeneration of injured tibialis anterior muscle in mice in response to microcurrent electrical neuromuscular stimulation with or without icing.」
(Atsuhiro Yoshida et al., 2015)
#3、「Effect of combination microcurrent electrical neuromuscular stimulation and hyperbaric oxygen therapy on regeneration of injured skeletal muscle in mice.」
(Takaaki Kudo et al., 2017)
上記#1において、微弱電流刺激によって筋再生時に活性化する筋衛星細胞(図3)が増加し、筋タンパク量の増加、また筋線維断面積の増大等も有意に認められ、損傷骨格筋の再生を促進させることが明らかとなりました。
これまで微弱電流は、一般医療機関にはその効用があまり知られていなかった感がありますが、今後は積極的に使用すべき有用な治療手法と考えます。今後も多角的な研究を展開する予定です。

スポーツ医学01

図1 「様々な微弱電流機器」

スポーツ医学02

図2 「スポーツ現場における軟部組織損傷に対する微弱電流刺激」

スポーツ医学03

図3 「筋衛星細胞」(矢印:Pax7陽性部分)

 

聖マリアンナ医科大学 スポーツ医学