MENU

Academic Achievements

  1. TOP
  2. Academic Achievements
  3. 肺AVMのカテーテル治療、オスラー病の診断

掲載日:2019年9月27日

肺AVMのカテーテル治療、オスラー病の診断

肺動静脈瘻/奇形(pulmonary arteriovenous fistula(AVF)/malformation(AVM):以後肺AVMと記載)とは、異常な肺動脈と肺静脈の交通を意味します。肺AVMは酸素化されない血液が左心系に到達する右左短絡の原因となり、多くの患者は無症状ですが、重症例ではチアノーゼ、シャント量増加による心不全、脳卒中や脳膿瘍などの合併症で発見されることがあります。肺AVMの患者のなかには、その他の臓器にも血管奇形を合併するオスラー病(遺伝性出血性毛細血管拡張症)の患者がおり、当科では肺AVMのカテーテル治療、オスラー病の(指定難病)診断を行なっています。

放射線医学01

肺AVMはCTで診断されることが多いです。拡張した流入血管および流出血管と、これらが短絡する部分が腫瘤を形成します。流入動脈径が3mm以上の場合は治療適応があり、血管内治療が第一選択となりますので、専門機関への紹介が望まれます。また、栄養動脈径が3mmに満たない場合にも、脳梗塞や脳膿瘍の予防のために治療を行なう場合があります。
オスラー病は常染色体優性遺伝により発症する遺伝性疾患であり、(1) 鼻出血、(2) 舌・口腔粘膜・指・鼻の末梢血管拡張、(3) 内臓病変(胃腸末梢血管拡張、肺、肝、脳、脊髄動静脈奇形)、(4) 家族歴(1親等の血縁者や兄弟姉妹に同様の症状を呈する)を特徴とする疾患です。鼻出血の頻度が最も高く、発見の契機となることも多いですが、症状は血管病変の出現部位によりさまざまで、複数の診療科によるアプローチが必要となることがあります。指定難病オスラー病重症度分類は、息切れなどの自覚症状、動脈血ガス分圧(酸素飽和度)、肺内シャント率、脳脊髄動静脈奇形の程度、肝動静脈奇形の程度、消化管出血の程度、鼻出血の程度を用いて評価し、そのなかで、最も重いグレードを選択して全体の重症度とします。特に、治療を必要とする肺AVMが存在する場合と奇異性塞栓症の既往がある場合には重症度3として、重症度3以上を指定難病の対象となります。
肺AVMが疑われた場合、ご家族にオスラー病の既往がある方は、当科IVR外来をご予約・ご受診ください。

 

聖マリアンナ医科大学 放射線医学