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掲載日:2019年9月2日

世界初のHTLV-1関連脊髄症(HAM)診療ガイドライン2019が刊行

HTLV-1(ヒト成人T細胞白血病ウイルス1型)が原因で発症する神経難病HAM(HTLV-1関連脊髄症)に関する診療ガイドライン(HAM診療ガイドライン2019作成委員会編:委員長・山野嘉久 聖マリアンナ医科大学大学院 先端医療開発学教授)が、2019年5月に刊行されました。HAMは全国の患者数約3,000人とされる希少疾患であるが故、エビデンスに乏しく、診療の質にも差があるため、HAM診療の質の向上にはガイドラインの作成が喫緊の課題でした。

本ガイドラインは、HTLV-1陽性患者の診療における基本情報、HAM診療のクリニカル・クエスチョンと推奨、HAMならびにHTLV-1陽性患者の診療におけるQ&Aで構成されています。特筆すべきは、HAMの疾患活動性に応じた治療アルゴリズムを世界で初めて提唱したことで、HAM治療の均一化、質の向上が期待されます。治療アルゴリズムを策定する上で必要な疾患活動性の分類、それに必要なバイオマーカーやカットオフ値の決定には、当大学難病治療研究センター・佐藤知雄准教授らの研究が採用されています。一方で、HTLV-1陽性ドナーから陰性レシピエントへの腎移植において、移植後のレシピエントに高率にHTLV-1が感染し、さらにはその約40%にHAMを発症することから、移植医療におけるHTLV-1感染の危険性も明記されました。これは当大学難病治療研究センター・山内淳司助教らが明らかにしたもので、2019年1月には米国医学雑誌New England Journal of Medicineに掲載され世界に向けて発信されており、このエビデンスはアメリカ移植学会のガイドラインにも引用されました。
HTLV-1感染者は世界で数千万人存在するとされますが、先進国の中で感染者や患者が多いのは日本のみで、研究や治療薬開発に日本が果たす役割は大きく、世界で初めて作成された本ガイドラインは、今後世界のHAM治療のスタンダードになる可能性を秘めています。さらに、当センターではHAMの新規治療薬の治験、またHTLV-1感染者の病気の発症予防法の研究も進めており、難病HAMの克服に向け日々邁進しております。

 

聖マリアンナ医科大学 大学院先端医療開発学