MENU

Academic Achievements

  1. TOP
  2. Academic Achievements
  3. がんゲノム医療

掲載日:2019年8月30日

がんゲノム医療

「ゲノム」とは、gene(遺伝子)とchromosome(染色体)あるいは -ome(総体)を組み合わせた言葉で、個人の体質を決める遺伝子情報のことです。最近の研究によって、「がん」は、 (1) 体の細胞の中のさまざまな「遺伝子異常(変異)」が積み重なることによって発症すること、 (2) 同じがんでも、患者さんごとに、その「遺伝子異常(変異)」が異なることが分かってきました。例えば、同じように「胃がん」を発症しても、患者さんごとにその遺伝子異常(変異)が異なり、がん細胞の特徴や治療薬の効果に違いがある一方で、「胃がん」と「乳がん」のような異なる臓器のがんでも、同じ遺伝子異常(変異)が生じる場合があることが分かってきました。同じ遺伝子異常(変異)があれば、同じ治療薬を使用できる可能性が期待されます。
「がん」の治療法には、薬物療法(抗がん剤治療)、放射線治療、手術などの標準治療があり、がんの発生した臓器、組織型、転移の有無などにより選択されます。最近の研究では、標準治療がすべて耐性となった場合でも、もし他臓器で認めるような遺伝子異常が生じていて、それに対する治療薬があるときには、その治療薬を使用することで治療の効果が期待できることが分かってきました。「乳がん」に生じた遺伝子異常(変異)に効果的な治療薬は、同じ遺伝子異常(変異)が生じた別の臓器のがんの患者さんに対しても、その治療の効果が期待できることが分かってきています。まず遺伝子検査を行って、どの「遺伝子異常(変異)」が生じているのかを調べて、ゲノムをもとに「がん」を診断し、患者さん一人ひとりの体質や病状に合った薬や最適な治療法を提供することが「がんゲノム医療」です。

がんゲノム医療01

当院は4月にゲノム医療推進センターを設立し、院内に次世代シークエンサーという遺伝子解析装置を有する検査室を整えました。各診療科のゲノム医療担当医によるゲノム医療外来を設置し、標準治療がない、または標準治療が終了した方に対して、さらなる治療選択肢を提供するだけではなく、治療前など早い段階で遺伝子検査を行うことにより、治療前からがんの特徴をつかんでより効果的な治療戦略を立てることを提案しています。

がんゲノム医療02

 

聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学