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掲載日:2021年7月21日

人工関節センターの設立と手術支援ロボットの導入


1. 人工関節センター 設立の背景


聖マリアンナ医科大学は2021年で創立50周年を迎えます。この節目の年に、整形外科も地域から「選ばれる整形外科」でありたいと考え、関節疾患でお困りの患者様のお役に立てるように、新たに「聖マリアンナ医科大学病院 人工関節センター」を2021年4月に開設いたしました。
当センターでは他施設にはない最新のハイテク技術を準備しております。本ページではその概要をご紹介いたします。






2. 聖マリアンナ医科大学病院 人工関節センターの機能性


当センターでは、すべての下肢関節(股関節、膝関節、足関節)の各エキスパートが治療を担当し、患者さんのニーズにあった「安全で正確な最高水準の医療」を迅速に提供することを使命としています。ご紹介いただいた患者さんは人工関節センター外来日に来院いただければ、すぐにセンター所属医の診察を受けていただけます。合併症がある場合でも当センターではリウマチ・膠原病・アレルギー内科とリハビリ科と協業しており、センター内で共通のフォーマットを使用することで大学病院の利点を活用して、万全に全身管理を行うことができます。またリハビリにも、全国に先駆けスマートフォン アプリを活用した、患者と病院間の双方向性の情報交換が可能な「新しいリハビリ診療ツール」を導入して、より快適なリハビリ環境を構築してまいります。(図1)。患者さんに個人に特化した、きめ細かいリハビリが可能となりますので患者さんの満足度が飛躍的に向上すると思われます。





3. 人工関節センターの最大の特徴 最先端技術 ロボット支援手術


そして、当センターを象徴する一番の特徴は、本邦でもかなり希少で実に関東では初上陸となる手術支援ロボット「ROSA®(Zimmer Biomet社)」(図2)を導入したことであります。「ROSA®」はすでにセンター開設と同時に人工膝関節置換術で使用しており、良好な手術成績を出しています。2021年下半期には人工股関節置換術でも使用可能となります。さらに、肩関節や足関節手術にも対応できるよう順次導入を予定しています。


図2


ロボット支援手術とは、手術を行う術者が、詳細な手術計画をもとにロボットアームの力を借りて正確な手術を実行する、いわば、ロボットの力を利用した手術になります。手術は経験と修練を積んだ術者が最後まで行います。コンピュータ内に設定した理想的なプランニングを手術時に患者さんの骨の位置データを登録することで、ロボットアームを使い確実に実行させる最先端技術です。(図3、図4、図5)


図3(手術前のプランニング)



図4(手術中のデータを加えてさらに詳細な変更をくわえる)



図5(難症例も理想的な設置が可能となる)


さらにROSA®の優れている点は、患者さんの手術中のデータを数値化して更新することで、手術中の所見も加味しつつ、さらに正確で理想的なインプラント設置角度や設置位置といったものを追求できるという点です。こうなると、もはや人間の匠でも再現することが不可能な領域まで手術は昇華されます。
結果として、低侵襲でより正確な手術が可能になり、リハビリの進捗も従来法より良いという報告もあります。

股関節外科でもROSA®導入に先行して本邦で開発されたAR(拡張現実)を利用したイメージレス ポータブルナビゲーションを国内最速で導入して人工股関節手術を行っております。AR(拡張現実)技術ではQRマーカーによる角度情報をリアルタイムに確認しながら手術できるので正確なインプラント設置ができます。(図6、図7)

図6(QRマーカーの読み込みでナビゲーションを使用)



図7(操作画面内にバーチャルな基準面を作成する低侵襲で再現性のよい手術ができる)


2021年度後期にはロボット支援とAR ナビゲーションを併用することになり、さらに最新の技術を追求していくことができます。

人工足関節手術は当センター長で主任教授の仁木久照の専門分野である足外科の手術となります。人工足関節手術は、手術そのものが希少で、行える施設が非常に少ないのが現状です。当センターでは全国でも屈指の人工足関節手術数を手掛けて、この分野のトップランナーとして、全国から患者さんに来ていただいており、術後成績も良好です。(図8、図9)

図8 人工距骨を併用した新しい人工足関節置換術(人工距骨はフルオーダーで作成)



図9


当センターにおける人工関節に御興味がある患者さんがいらしたら、どうぞ当人工関節センターまでご紹介ください。月曜日と木曜日にセンター専門外来を設けております。人工関節手術を通じて、患者さんの未来絵図を一緒に作るお手伝いができますのを、最先端の手術支援ロボットと充実した治療環境とを整えて、心よりお待ち申し上げております。




文責 人工関節センター副センター長 山本豪明