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掲載日:2021年2月9日

医工連携により飛沫対策マスクを開発

本学は、横浜市医工連携事業により、ソルブ株式会社(横浜市港北区)、有限会社ロッキー化成(横浜市都筑区)と共同し、内視鏡検査(経口)専用の飛沫対策マスク「Pro M(プロエム)」を開発しました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大で世界が未曾有の危機に直面し、コロナ新時代と呼ばれる難局を迎えている中、医療従事者の感染対策も大きく変化しています。新型コロナウイルスは気道分泌物から分離され、飛沫やエアロゾルを介しての感染が考えられることから、上部消化管内視鏡では患者さんの咳き込みや嘔吐反射の際にウイルスを含む⾶沫やエアロゾルが拡散し、これらを介した医療従事者への感染が危惧されます。さらに、無症状の感染例が一定数存在していることからも飛沫予防策をはじめとした院内感染対策が医療の安定供給のため、地域医療の要となっています。
レーザー光散乱法を用いて内視鏡検査で生じる飛沫を可視化した結果、相当数のウイルスを含む飛沫が患者口腔内から発生しており、その後も広範囲の空中にある程度の時間を停滞することが分かりました。そのため、術者だけでなく、他の医療従事者や他の患者さんに対する感染リスクが高いことが判明しました。通常の感染対策はフェースシールド付きマスク(またはゴーグル+マスク)・手袋・キャップ・ガウン(長袖)の着用、そして各種防護具は患者毎に取り換え、検査・治療終了後に手指洗浄する方法で行っていますが、個人防護具だけでは感染対策が不十分な可能性があり、さらに世界的には終息の見込みは立っておらず、本邦でも感染拡大の再燃する可能性があることから、確実な感染対策が必要と考えました。
そこで、エアロゾルを含む飛沫の拡散を抑え、内視鏡検査における医師・患者の感染リスクを低減するために感染源となる患者口腔を『マスク』することでウイルスの飛散、室内でのエアロゾル充満を最小限に防ぐ内視鏡用マスクを開発しました。この新型マスクは横浜市の医工連携事業の支援により、短期間で細部の設計を見直し、より洗練されたモデルとなって本学、有限会社ロッキー化成、ソルブ株式会社の3者の医工連携による飛沫対策マスク「Pro M(プロエム)」として誕生しました。飛沫を可視化する実験では、新型マスクは大幅に飛沫の拡散を防止することが分かり、空中に飛沫が生じることはなく感染リスクを大幅に下げることができる可能性が高いと考えます。さらに、製造を担う有限会社ロッキー化成の提案により、同製品のフレーム部には焼却時の環境負担が少ないLIMEX(ライメックス)素材を使用し環境問題にも配慮しております。
現在、当院における上部消化管内視鏡検査は全例新型マスクを用いて検査および治療を行っております。今後も患者さんだけでなく医療従事者もウイルスから守りながら安心かつ安全な内視鏡診療を行ってまいります。

考案者 前畑忠輝病院教授[内科学(消化器・肝臓内科)]のコメント

「上部消化管内視鏡では患者の咳き込みや嘔吐反射の際にウイルスを含む飛沫やエアロゾルが拡散し、これらを介した医療従事者への感染が危惧されます。飛沫予防策をはじめとした院内感染対策が必要と考え、横浜市の医工連携事業の支援により、飛沫対策マスク「Pro M(プロエム)」を開発しました。現在、当院における上部消化管内視鏡検査は全例新型マスクを用いて検査および治療を行っており、患者さんだけでなく医療従事者もウイルスから守りながら安心かつ安全な内視鏡診療を行ってまいります。」




プレスリリースこちら


咳嗽による飛沫数の可視化実験の動画

 https://t-ikou.idec.or.jp/news/promdata.php

横浜市ホームページ

 https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/keizai/2020/20210204happyo.html