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掲載日:2020年6月4日

新型コロナウイルス感染症(covid-19)重症患者に対するリハビリテーションについて

当院では、ダイヤモンドプリンセス号におけるCOVID患者の対応以降、早期から多くの重症COVID患者を受け入れ、治療を行ってきました。COVIDの治療や感染管理に注目が集まるなか、人工呼吸器やECMO(体外式膜型人工肺)に生命をゆだねた重症COVID患者の治療の一部として、早期からCOVIDチームの一員としてリハビリテーションスタッフが参加し、積極的なリハビリテーションを取り入れています。はじめは患者数が少なく1名体制でしたが、重症患者の急増にともない、現在では4名2チーム体制で、重症15床に加え、中等症や疑似症例の対応を連日行い、回復をサポートしています。
一般的にリハビリテーションは、骨折や脳卒中の後遺症の改善、弱った筋力や関節機能、そして立つ、歩くなどの日常生活に必要な動作の回復が着目されやすいと思います。重症COVID患者のリハビリテーションに限ったことではありませんが、集中治療室にいるような人工呼吸器やECMOなどの生命維持装置をつけた患者や重症な肺炎患者などに対して、痰の排出、肺を大きく広げる手助けなどをして肺機能の改善を促進したり、人工呼吸器などに頼っている状態から自分の呼吸を取り戻すサポートもリハビリテーションでは提供します。また、重症患者では、治療に伴って寝たきりになりやすく、筋力や日常生活動作も極端に低下します。患者の状態をみつつ、人工呼吸器をつけながらベッドの上で筋力のトレーニングをしたり、驚くべきことかもしれませんが、人工呼吸器をつけて呼吸をサポートしたまま座ったり、立ったり、状況によっては歩いたりすることすらあります。このような重症患者のリハビリテーションは、全国の集中治療室などで徐々に普及されつつありますが、重症COVID患者のレッドゾーンにおいて、このような積極的なリハビリテーションの関わりは、全国的にあまり類をみません。
COVIDに対するリハビリテーションは、当然、患者の回復のために行うものです。しかしながら重症COVID患者では、非常に病状が不安定で治療方法が確立していないため、なかなか改善や回復がえられず、治療が長期化し難航しやすいです。このような状況は、治療に携わる医療スタッフの精神的、身体的に強いストレスや挫折感を与え続けます。自分たちは何のために治療をしているか、どこに向かって治療しているのかを見失いやすくなります。そのなかで、我々が患者とリハビリテーションを行っている姿や少しでも改善している様子が医療スタッフの目に触れることで、見失いかけた目標が再確認され、チームの活力や治療へのモチベーションに繋がることも非常に大きな効果だと思っています。

“リハビリテーションは、改善の証!”


我々リハビリテーションスタッフは、患者、患者のご家族や周囲の方々、そしてCOVIDチームの笑顔を取り戻すために、日々前向きに頑張っていきます。
COVID患者が回復するまで、今日も、明日も、明後日も!COVIDチーム一丸となって闘っていきます!!
「看護師特定行為研修センター」(Registered Action Nurse Center)
左から「ECMO装着下による腹臥位療法」「人工呼吸器装着下での座位練習」「歩行練習」「ベッド上での筋力トレーニング」
「看護師特定行為研修センター」(Registered Action Nurse Center)
患者さんとともに、COVIDチーム一丸となって、皆の“笑顔”を求めて闘います!
筆者:横山仁志(左から2番目)