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第11回前田賞授賞式

平成30年11月1日(木)午後6時からホテルモリノ新百合丘において、明石理事長、常勤理事、前田賞選考委員ほか学内関係者が出席し、前田賞授賞式が行われました。
今回は10名の応募の中から選考委員会において受賞候補者5名を選考し、9月25日(火)開催の常任役員会に最終選考の結果を報告し、理事長の承認を得て決定したものです。

左より 小波本直也氏、高江正道氏、出雲昌樹氏、明石勝也理事長、尾崎承一学長、佐藤知雄氏、水上拓郎氏(新井裕之氏代理)
左より 小波本直也氏、高江正道氏、出雲昌樹氏、明石勝也理事長、尾崎承一学長、佐藤知雄氏、水上拓郎氏(新井裕之氏代理)

出雲 昌樹(いずも まさき) 内科学(循環器内科)講師

Interventional Echocardiography:新たな臨床・研究分野の確立

この度、第11回前田賞を頂き誠に有難うございます。これまでご指導していただいた先生方、またサポートいただいている多くの方々にこの場をお借りして深く御礼申し上げます。
超高齢化社会を迎え、弁膜症は爆発的に増加しています。75歳以上の10人に1人は左心系弁膜症を患っており、専門家だけではなく幅広い領域の先生方の認識も重要な疾患です。近年、弁膜症領域におけるカテーテル治療の進歩は目覚ましく、超高齢化社会に適した画期的な治療法です。その治療を支えるのは心エコー図です。聖マリアンナ医科大学において、この心エコー図学が更に発展できますよう、これからも臨床・研究・教育に精進していきたいと思います。今後ともご指導のほど宜しくお願いいたします。

新井 裕之(あらい ひろゆき) 臨床腫瘍学 診療助手

レゴラフェニブ投与後の切除不能進行・再発大腸癌患者における予後予測のための早期形態学的変化の検討

この度は栄誉ある前田賞を頂き深謝申し上げます。私の研究は、切除不能進行・再発大腸癌の治療薬であるレゴラフェニブの効果予測における早期画像変化の有用性を検討したもので、千葉県がんセンターとの共同臨床研究として行いました。治療後の初回評価CTにおいて、肺転移巣の空洞化あるいは肝転移巣の形態学的変化(腫瘍内CT値の均一化・腫瘍-肝境界の明瞭化)を認めた症例は良好な生存期間が得られることが示されました。この結果は、多彩な副作用をもつレゴラフェニブを真に継続すべき患者を早期に判断する上で、これらの画像変化が有用な指標となる可能性を示唆します。近年進歩の著しい固形癌の薬物療法の中で、効果予測や適切な薬剤選択につながるような分子生物学的あるいは画像マーカーを今後も探索したいと思います。ありがとうございました。

佐藤 知雄(さとう ともお) 難病治療研究センター 病因・病態解析部門 准教授

HTLV-1関連脊髄症における抗CCR4抗体療法

この度は、第11回前田賞を賜り、誠にありがとうございます。今回、HTLV-1関連脊髄症(HAM)患者を対象として、聖マリアンナ医科大学病院で実施した抗CCR4抗体療法の治験の成果が評価されたものと思います。抗CCR4抗体がHAMの病態の根本にあるHTLV-1感染細胞を減少させることで、脊髄の炎症を抑え、8割の症例で下肢の痙性が改善し、3割の症例で歩行障害にかなりの改善を認めたこと、また抗CCR4抗体は繰り返し投与しても安全であったことを報告しました(N Engl J Med 2018)。現在、検証的治験が進行中で、近い将来、患者さんの手に届くことが望まれます。最後に、治験責任医師として研究を引っ張ってくださった山野嘉久先生をはじめ、治験を支えてくださった多くの方々に深く感謝申し上げます。

高江 正道(たかえ せいどう) 産婦人科学(婦人科)講師

効率的な卵巣組織移植を志向した光干渉断層計による非侵襲的原始卵胞可視化の試み

この度は栄誉ある前田賞を賜り、深く感謝申し上げます。今回私たちは、光干渉断層計を用いた画像技術により、これまで成し得なかった原始卵胞の非侵襲的画像化に成功し、生殖細胞における安全性と有効性を実証いたしました。本知見は、私たちが臨床で取り組んでいる卵巣組織移植に応用可能であり、その成績向上に寄与すると考えられます。また、本知見は以前から熱望されていた技術であったことから、国内外にて学会賞をいただくことができました。
今回、このような研究成果と身に余る前田賞をいただくことができた背景には、鈴木直教授のご指導、医局員の協力、本学のご支援が不可欠であったと思います。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。今後、一人でも多くの患者さんの悩みや苦しみを取り除くことができるよう、さらに邁進したいと思います。

小波本 直也(こはもと なおや) 大学病院 看護部 診療看護師:NP

離島の急性期病院で働く看護師の特定行為に対するニーズに関する研究−都市部の急性期病院との比較−

この度は名誉ある前田賞を賜り深く感謝申し上げます。私は「離島の急性期病院で働く看護師の特定行為に対するニーズに関する研究」を行い、第45回日本集中治療医学会学術集会で発表し優秀演題をいただきました。
私の研究は看護師の特定行為という新たな役割に対するニーズ調査を医師充足度の低い離島と医師充足度の高い都市部の急性期病院に対して多施設へ調査を行い、都市部の急性期病院にニーズが高いこと、一般病棟とICU・ERの急性期領域で比較しICU・ERでニーズが有意に高いことが明らかとなりました。
今後、診療看護師(NP;nurse practitioner)として、特定行為等を通しタイムリーな医療を提供する新たな医療や看護の在り方を今後も探求して行きたいと思います。
ご指導いただきました救命医学教授の藤谷茂樹先生、看護部の皆さまに深く感謝を申し上げます。