本教室について

後期研修のご案内

リウマチ・膠原病・アレルギー内科

 リウマチ・膠原病・アレルギー内科では、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、多発性筋炎、血管炎症候群を代表とする膠原病とその類縁疾患を含めた自己免疫疾患の診療を行っています。これらの疾患は、時に急性増悪をきたす慢性的な全身臓器障害が特徴です。さらに当科では不明熱や診断が困難な全身性炎症疾患にも対応しています。したがって、研修の場では、まれな疾患を日常的に扱うだけではなく、内科医としての診断、治療の道筋を学ぶのに適しており、プライマリケアも同時に研修できることが特徴であります。

 当科では、年間約470名のリウマチ・膠原病の患者さんが入院します。また外来にはのべ30,000人以上の患者さんの受診があり、疾患は多岐に渡り、上記の膠原病以外にも、抗リン脂質抗体症候群、ベーチェット病、成人スチル病、強直性脊椎炎などの膠原病類縁疾患などが含まれます。本領域での症例数は、全国的にみても有数であります。また慢性疾患は外来での治療が重要になりますが、東京都内、神奈川県内の8病院と連携してリウマチ・膠原病疾患の専門外来ネットワークを構築しています。これら豊富な疾患を経験することで、日本内科学会認定内科医、総合内科専門医や日本リウマチ学会リウマチ専門医を取得するのみならず、患者さんと一緒に病気と向き合える医師の養成を目標としています。

 

A. 将来リウマチ・膠原病・アレルギー内科以外の専門医を目指す内科専修医のための研修

 

一般目標(GIO

リウマチ、膠原病患者の診断・治療を通じて、臨床医に求められる基本的診察技能、知識、態度を修得する。

 

行動目標(SBOs

 

1)                 チーム医療を理解、実践し、コメディカルを含む他の医療従事者と良好なコミュ   

    ニケーションを図ることができる。

2)                 必要な解剖(骨、関節、神経、血管など)を理解できる。

3)                  診断に必要な、関節、筋の評価ができる。

4)                  不明熱の診断、評価ができる。

5)                  必要な関節X線検査を理解し、適切な指示ができる。

6)                   関節リウマチの診断、治療のための検査計画を立てることができる。

7)                   全身性エリテマトーデスの診断、治療のための検査計画を立てることができる。

8)                   血管炎の診断、治療のための検査計画を立てることができる。

9)                   膠原病肺患者の適切な在宅酸素療法の適応を理解できる。

10)              リウマチ・膠原病疾患の診断、治療に必要な検査を的確に選択し、検査、処置な

                  どの手技に習熟し、適切に遂行できる。

11) 関節リウマチの薬物療法、手術療法、その他の治療法を理解し、遂行できる。

12) ステロイド薬の適応、投与方法、副作用を理解し、治療に用いることができる。

13) 各種免疫抑制薬の適応、投与方法、副作用を理解し、治療に用いることができ

        る。

14) 生物学的製剤の適応、投与方法、副作用を理解し、治療に用いることができる。

15) 基本的な全身管理に習熟し、実施できる。

16) 患者や患者家族の社会的背景を理解し、適切な説明を行うことができる。

17)    医療保険、福祉制度、介護保険などの医療システムを理解できる。

 

B.将来リウマチ専門医を目指す内科専修医のための研修

 日本リウマチ学会の専門研修カリキュラムに沿って研修が行われます。リウマチ専門医を取得する最低年限は卒後6年です。この間に可能な限り多くの臓器別疾患を受け持つことが重要です。内科専修生2年間におけるローテーシンについては、入局確定次第、教授、診療部長、医局長などと打ち合わせて最適のプログラムを作ります。

 

1)  病棟業務

   リウマチ・膠原病・アレルギー内科病棟では、病棟医長、助教および

  外来 主治医の指導の下、入院患者を担当します。指導医は基本的に日本

  内科学会の認定医、総合専門医もしくは指導医と、日本リウマチ学会の

  リウマチ専門医もしくは指導医の資格を有しています。担当医として、

  受け持ち患者の診断および治療に主体的に関わる事になりますが、より

  多くの症例から学ぶために、受け持ち症例以外にもついてもカンファレ

  ンスなどで学習します。臓器障害の部位によっては、他の内科、皮膚科、

  整形外科や精神科など他科との連携が重要となり、これを通して学習し

  ます。また臓器障害の高度な入院患者の受け持ちを通して、全身管理の

  技術を取得します。

 

2)  カンファレンス

   病棟カンファレンスや部長回診では入院患者の診断・治療方針決定の

  ための討議を行います。さらに、臨床カンファレンスでは症例報告の技術

  を学ぶとともに、文献的な考察を行い、日常の診療にフィードバックさせ

  ます。まとめた報告は、論文にして発表することを奨励しています。また

  自由参加型のカンファレンスとして、アメリカリウマチ学会のリウマチ専

  門医やプライマリケア医を対象としたコアカリキュラムを下に勉強会を開

  催しています。さらに、海外から講師を招き院内でセミナーなどを行って

  います。

 

3)  特殊治療、検査の研修

   当科は日本におけるリウマチ・膠原病治療の中心地の一つです。リウマ

  チ・膠原病疾患を通じて、病態に応じたステロイド、免疫抑制薬や生物学

  的製剤の適正投与について学ぶことができます。また、感染症対策はこれ

  らの免疫抑制療法で重要になりますが、予防、治療ともにその方法を体得

  できます。

   関節疾患に対しては、関節穿刺の適応や方法および画像診断方法の修得

  ができます。

   また、自己抗体を含め血清学的診断の方法や、合併症の多い肺疾患の画

  像診断についてもトレーニングを受けることができます。

 

4)  先進医療への参加

   医師主導の臨床試験(現在治験審査委員会に承認されたものが10件、

  申請予定が8件)を含めて、新たな治療への取り組みを積極的に行ってい

  ます。これらの臨床試験を通じて、新規治療への参加のみならず、その方

  法を学ぶことができ、難病の患者さんにフィードバックすることができま

  す。

 

5)  厚生労働省の班研究への参加

   尾崎教授が主任研究者である厚生労働省の「難治性血管炎調査研究班」

 (平成14~19年度)、および「ANCA関連血管炎の臨床研究班」(平成20~

    22年度)において、MPO-ANCA関連血管炎の標準的治療プロトコールの

  前向き臨床試験をはじめとする先進的治療の確立をめざしています。当科

  はこの研究活動の中心的な役割を担っており、今後これらの結果が、診断

  や治療のガイドラインになると見込まれています。

 

6)  国内外の学会への参加

   リウマチ・膠原病領域では、日本リウマチ学会、日本免疫学会、アメリカ

  リウマチ学会、欧州リウマチ会議などの学会や研究会へ参加することができ

  ます。発表については指導医の下、適切な指導を受けることができます。

 

7)当科医局員の過去の留学先

米国;National Institutes of Health(NIH), University of Florida , Medical University of South Carolina,

英国;Imperial College London, Royal Brompton Hospital, Royal Free and University College Medical School

 

*専門医の取得について

  日本内科学会内科認定医の受験資格は卒後3年目に得られるので、可能

 な限り早い機会に取得することが望まれます。また日本リウマチ学会に規定

 されたリウマチ内科専門医の受験資格は、初期研修を含めた臨床研修歴およ

 び学会員5年以上であり、内科認定医を取得している者となっています。

 これらの受験のために、専門領域を含めた幅広い内科疾患の経験ができる

 ように考慮されます。

 

*リウマチ・膠原病・アレルギー内科研修の場

  リウマチ・膠原病・アレルギー内科研修を希望する内科専修生は、大学

  病院、西部病院、町田市民病院のいずれかで研修を行います。いずれの

  施設も、リウマチ専門医を取得するための指定研修施設です。研修施設

  については、内科専修生の将来像を考慮して、教授、診療部長、医局長

  で決定されます。

 


    試験スケジュール等 研修プログラム概要
    研修施設・指導医