症状
月経時の腹痛が以前よりも強くなることが特徴で、ダグラス窩などに病変があると月経時に排便すると後ろに響くような痛みや性交時の痛みが生じます。子宮腺筋症では子宮が拡大し、月経出血が多くなったりします。また、病変の周囲の臓器に癒着が起きるため、卵管や卵巣の動きが妨げられて不妊の原因になるほか、骨盤内子宮内膜症病変の影響でも不妊の原因になります。
診断
1.症状、内診所見
まずは特徴的な症状から疑われます。内診すると癒着で動きが悪くなる、押されて痛みがある、硬結(硬くなってごりごり触れること)などがで分かります。
2.画像診断
卵巣や子宮の拡大や嚢胞病変、腹腔内癒着による膜状の構造など
・超音波断層法
内診台で膣内にプローブと呼ばれる器械を挿入し行い、簡便で繰り返し調べられるメリットがあります。
・CT
水平方向の断層写真で、子宮や卵巣などの形態変化をみます。
・MRI
磁力を用いて様々な方向の断層写真をとり、成分に関する情報が得られるので、卵巣の腫瘍や子宮筋腫と区別できるメリットがあります。
3.確定診断
開腹手術や腹腔鏡検査を行い、病変の存在を確認の上、摘出した組織検査で内膜症が確定されます。
治療
1. 手術療法
不妊があるとき、症状が強く生活に支障があるとき、急激な拡大があるとき
などは手術療法が選択されます。病変部の切除や電気焼灼、癒着剥離術
など状況に応じて行います。子宮腺筋症については、その後の妊娠を希望
しないときは一般に子宮摘出術が選択されます。
*不妊の場合、術後の癒着が回避しやすい腹腔鏡手術が適応となること
が多いので、詳しくは産婦人科に相談してください。→腹腔鏡のページへ
2. 薬物療法
i)ホルモン抑制療法
内膜症病変はホルモン依存性のため、女性ホルモンを抑制する治療(偽
閉経療法)の適応になります。
・GnRH誘導体
ゴナドトロピン(脳下垂体から分泌され、卵巣を刺激するホルモン)を放出
させるホルモンと類似の構造をもち、ゴナドトロピンを抑制した結果に卵巣
から出るホルモンを抑えます。点鼻薬、注射薬などがあります。女性ホルモ
ン抑制は、更年期のような症状が出るだけでなく、将来骨粗鬆症のリスク
を高めるので、半年くらいまでの使用に留め、必要に応じ少量のホルモン
補充をします。
・ダナゾール
内服薬。卵巣の働きを抑えるほか、局所病変にも直接作用があると考え
られます。副作用は体重増加、にきび、肝機能障害など。
ii)対症療法
症状に対し、鎮痛薬など。月経痛にはピルも効果的なことがあります。ホルモン抑制療法中は妊娠することができませんが、不妊のかたは妊娠によって内膜症の改善も期待できるので、不妊の治療を優先させる選択もあります。