内視鏡は、当初は検査・診断に用いられていましたが、現在では、優れた手術療法-内視鏡下手術として急速に普及しています。
産婦人科の内視鏡下手術には、腹腔鏡下手術と子宮鏡下手術があります。
腹腔鏡は、臍からお腹の中(腹腔)にド-ム状の空間を作るための炭酸ガスの注入(気腹法)と内視鏡の挿入を行い、腹腔内を観察して検査・診断(腹腔内出血の診断-子宮外妊娠・卵巣出血、腹痛の精密検査、不妊症の原因究明-卵管通過性など)する内視鏡です。
腹腔鏡下手術は、この内視鏡下に、お腹に2~4か所の小さな切開(3~30mm)をおいて、腹腔内の画像をテレビモニターで観察しながら、専用の手術器具を使って、さまざまな操作(切開、切除、吸引、焼灼、止血、縫合など)を行います。従来の開腹手術に比べて、創が小さく・手術後の痛みが少ないため身体への負担が少ない、入院期間が短く・腹腔内がくっつく(癒着する)可能性が低い、手術後の日常生活の質を向上できる、また、手術方法や周辺機器の進歩と共に患者さんにとって非常に優しい手術方法であることなどが広く理解され、急速に普及しました。
子宮鏡は不正出血、過多月経の症状がある場合や子宮腔内病変(粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮奇形、子宮体がんなど)の診断を行うための検査です。子宮腔内病変は不妊・不育(習慣流産)の原因としても関与している疾患です。予約が必要で、検査時間は10~20分程度、麻酔は使用しません。
子宮鏡下手術は子宮の中に内視鏡を入れて、子宮内にできている筋腫やポリ―プを切除する方法です。手術後多くの不妊症の方が、妊娠に至っています。
1.子宮鏡下手術を行う病気
1) 粘膜下筋腫
2) 子宮内膜ポリープ
3) 中隔子宮
4) 子宮腔内癒着症
2.手術についてのQ and A(質問ー回答形式)
2-1)入院は必要でしょうか?
入院が必要な手術です。当院では通常は手術前日に入院していただき、手術後は1~3日で退院となります。
2-2)麻酔はするのでしょうか?
麻酔は、1..痛みのコントロール、2..体の動きの制限のために全身麻酔を行います。
2-3)保険は?
入院と手術は健康保険が適用されます。
2-4)子宮鏡下手術のメリットは何ですか?
手術後の痛みはほとんどありません。入院期間が短く、早い社会復帰が可能です。開腹手術ではないため腹腔内の環境は維持されます。妊娠率の向上を認めます。病変が大きい場合にも何回かに分割して手術を行うことが可能です。
2-5)子宮鏡下手術の問題点は何ですか?
開腹手術と同様に僅かですが感染などの可能性があります。
子宮穿孔などの場合には腹腔鏡や開腹手術に移行する可能性、予期できない出血(血管損傷)には輸血をする可能性があります。
2-6)退院後の過ごし方は?
退院後は、1~4日間は自宅安静が必要です。外来での診察は、退院1~2週
間後と1~2月後に再度の子宮鏡を行います。