苦情相談への対応のあり方についての指針
第1 目的
- この指針は、相談員が、ハラスメントに関する苦情相談に対応するに当たって留意すべき事項について定める。
第2 基本的な心構え
ハラスメントの苦情相談に対応する場合、次の事項に留意する必要がある。
- 加害者を含む当事者にとって適切かつ効果的な対応は何かという視点を常に持つこと。
- 事態を悪化させないために、迅速な対応を心がけること。
- 関係者のプライバシーや名誉その他の人権を尊重するとともに、知りえた秘密を厳守すること。
第3 相談員の任務
相談員は、次に掲げる事項を行う。
- 苦情相談を行う者(以下「相談者」という。)のハラスメントに関する相談内容を聞き、相談者に問題解決に必要な知識及び情報を与えること。
- 相談があった事実及び相談者の意向等を記録に残し、適宜、ハラスメント防止委員会(以下「委員会」という。)に報告すること。
- 相談者が、被害の救済や加害者との間の問題解決を望む場合、その旨を委員会に報告すること。
- 事態が重大で、改善措置や処分が必要であると判断した場合には、そのことを直ちに委員会に報告すること。
- 相談者の同意を得た上で、カウンセラー等を紹介する。
- 事実確認のため必要に応じて、加害者とされるものから事実関係等を聴取する。この場合、当該部局長と協議の上行なうものとする。
- 加害者の言動がハラスメントに該当することを、加害者に対して直接、または、当該部局長を通じて注意することができる。
- ハラスメントについて当事者間で事実関係に関する主張に不一致があり、事実の確認が充分にできないと認められる場合には、第三者から事実関係等を聴取する。この場合、当該部局長と協議の上行なうものとする。
- 苦情相談に関し、具体的にとられた対応については、相談者へ誠実に説明する。
- 相談に係る記録の管理を厳重に行い、外部に流出しないよう細心の注意を払うこと。
第4 苦情相談の進め方
1.苦情相談を受ける際の相談員の体制等
- (1)苦情相談を受ける際には、原則として2人の相談員で対応すること。ただし、相談者の希望によっては、1人の相談員で対応することもできる。
- (2)苦情相談を受けるに当たっては、同性の相談員が同席するよう努めること。
- (3)相談員は、苦情相談に適切に対応するために、適宜、主任相談員へ相談するとともに相談員相互に連携し、協力すること。
- (4)実際に苦情相談を受けるに当たっては、その内容を相談員以外のものに見聞きされないよう周りから遮断した場所で行うこと。
- (5)ハラスメントに関する本学のシステムを充分に説明すること。
2.相談者から事実関係等を聴取するに当たり留意すべき事項
- (1)相談者の求めるものを把握すること。 将来の言動の抑止等、今後も発生が見込まれる言動への対応を求めるものであるか、又は喪失した利益の回復、謝罪要求等過去にあった言動に対する対応を求めるものであるかについて把握すること。
- (2)どの程度の時間に余裕があるのかについて把握すること。 相談者の心身の状態等を鑑み、苦情相談への対応に当たりどの程度の時間的な余裕があるのかを把握すること。
- (3)相談者の主張に真摯に耳を傾け丁寧に話を聞くこと。 特に相談者が被害者の場合、ハラスメントを受けた心理的な影響から必ずしも理路整然と話すとは限らない。むしろ脱線することも充分想定されるが、事実関係を把握することはきわめて重要であるので、忍耐強く聞くよう努める。
- (4)事実関係については、次の事項を把握すること。なお、これらの事実を確認する場合、相談者が主張する内容については、当事者のみが知りえるものか、又は他に目撃者がいるのかを把握すること。 ア 当事者(被害者及び加害者とされるもの)間の関係 イ 問題とされる言動が、いつ、どこで、どのように行われたか。 ウ 相談者は、加害者とされるものに対してどのような対応をとったか。 エ 監督者等に対する相談を行っているか。
- (5)聴取した事実関係等を相談者に確認すること。 聞き間違えの修正並びに聞き漏らした事項並びに言い忘れた事項の補足ができるので、聴取事項を書面で示したり、復唱するなどして相談者に確認すること。
- (6)聴取した事実関係については、必ず記録にして、保管しておくこと。
3.加害者とされる者からの事実関係等の聴取
- (1)相談員は、事実確認のため必要に応じて、加害者とされる者から事実関係等を聴取する。この場合、当該部局長(所属長等)と協議の上行うものとする。
ただし、ハラスメントが職場内で行われ、比較的軽微なものであり、対応に時間的な余裕のある場合などは、監督者の観察、指導による対応が適当な場合も考えられるので、その都度適切な方法を選択して対応する。 - (2)加害者とされるものから事実関係等を聴取する場合には、加害者とされるものに対して充分な弁明の機会を与える。
- (3)加害者とされるものから事実関係等を聴取するに当たっては、その主張に真摯に耳を傾け丁寧に話を聞くなど、相談者から事実関係等を聴取する際の留意事項を参考にして適切に対応する。
4.第三者からの事実関係等の聴取
- ハラスメントについて当事者間で事実関係に関する主張に不一致があり、事実の確認が充分にできないと認められる場合などは、第三者から事実関係等を聴取することも必要である。この場合、当該部局長(所属長等)と協議の上行うものとする。
なお、第三者からの事実関係等の聴取を行うに当たっては、相談者から事実関係等を聴取する際の留意事項を参考にし、適切に対応する。
5.相談者に対する説明
- 苦情相談に関し、具体的にとられた対応については、相談者へ誠実に説明する。
6.学生・生徒または学生等の保護者に係る苦情相談について
- 学生および生徒等または学生等の保護者による苦情相談への対応については、上記事項に留意するとともに、当該学生等の心身の発達段階等を充分に考慮する必要がある。
第5 問題処理のための具体的な対応例
相談員が、苦情相談に対応するに当たっては、ハラスメントに関して相当程度の知識を持ち、個々の事例に即して柔軟に対応することが基本となることはいうまでもないが、具体的には、事例に応じて次のような対処が方策として考えられる。
1)ハラスメントを受けたとする者からの苦情相談
- (1)教職員の監督者等に対し、加害者とされる教職員に指導するよう要請する場合。 例えば、職場内で行われるハラスメントのうち、その対応に時間的な余裕があると判断されるものについては、相談員は必要に応じて主任相談員へ相談の上、職場の監督者等に状況を観察するよう要請し、加害者とされる教職員あるいは学生の言動のうち問題があると認められるものを適宜注意させる。
- (2)加害者に対して直接注意する場合。 例えば、性的なからかいの対象にするなどの行為を頻繁に行うことが問題にされている場合において、加害者とされる者は親しみの表現として発言等を行っており、それがハラスメントであるとの意識がない場合には、相談員は適宜、主任相談員へ相談の上、加害者とされる者に対し、その言動がハラスメントに該当することを直接注意する。
- (3)被害者に対して指導、助言をする場合。 例えば、職場の同僚から好意を抱かれ食事やデートにしつこく誘われるが、相談者がそれを苦痛に感じている場合については、相談者自身が相手の教職員に対して明確に意思表示するよう助言する。
- (4)当事者間の斡旋を行う場合。 例えば、被害者がセクシュアル・ハラスメントを行った加害者に謝罪を求めている場合において、加害者も自らの言動について反省しているときには、被害者の要求を加害者に伝え、加害者に対し謝罪を促すよう斡旋する。
- (5)人事上必要な措置を講じるため、人事担当者等との連携をとる。 例えば、ハラスメントの内容がかなり深刻な場合で被害者と加害者とを同じ職場で勤務させることが適当でないと判断される場合などには、人事担当者との十分な連携の元に当事者の人事異動等の措置をとることも必要となる。
2)ハラスメントとの指摘を受けたが納得がいかない旨の相談
- 例えば、休み時間に自席で週刊誌のグラビアのヌード写真を周辺の目にふれるように眺めていたところ、隣に座っている女性から、他人の目に触れるのはセクシュアル・ハラスメントであるとの指摘を受けたが、納得がいかない旨の相談があった場合には、相談者に対し、周囲のものが不快に感じる以上はセクシュアル・ハラスメントに当たる旨注意を喚起する。
3)三者からの苦情相談
- 例1: 例えば、同僚の女性職員がその上司から性的なからかいを日常的に繰り返し受けているのを見て不快に思う職員から相談があった場合には、相談員は適宜、主任相談員へ相談の上、同僚の女性職員及びその上司から事情を聞き、その事実がハラスメントであると認められる場合には、その上司に対して監督者を通じ、又は相談員が直接に注意を促す。
- 例2: 例えば、非常勤職員に執拗につきまとったり、その身体に不必要に触れる職員がいるが、非常勤職員である本人は、立場が弱いため苦情を申し出ることをしないような場合について第三者から相談があったときには、本人から事情を聞き事実が認められる場合には、本人の意向を踏まえた上で、相談員は適宜、主任相談員へ相談の上、監督者を通じ、又は相談員が直接に加害者とされる職員から事情を聞き、注意をする。