本教室について

ヒト組織バンク事業

 聖マリアンナ医科大学ヒト組織バンクでは、手術や検査で採取した組織、血液等の試料を患者さんから同意を得た上で保存・管理しています。これらの試料を学内・学外を問わず、多くの研究者に提供して、医薬品の開発や病気の原因を解明するための研究を支援しています。

ヒト組織を用いた研究の必要性

ヒトと動物ではたくさんの違いがあります

 実験動物で効き目のあった薬でも、私たち人間には効き目がなかったり、思わぬ副作用が現れたりすることがあります。そこで、新しい医療または新薬を、より安全に、より早く実現するためには、人間での効き目や副作用が起きることを予測することが必要となり、そのためにヒト組織を用いた研究が行われています。たとえば、人間の肝臓のごく一部を用いて、薬の分解のしやすさ、飲み合わせの悪い薬があるかを予測したり、病気の組織を用いて、その病気の原因を調べるなど、ヒトの組織を用いた研究は医療の様々な手がかりを選るのに重要な役割を果たしています。

日本人と外国人にも違いがあります

 最近、同じ人類でも日本人と白人では、目や皮膚の色が違うように、病気のかかりやすさや薬を分解する能力に違いがあることがわかってきました。つまり、私たち日本人にあった、より良い医療を作るには日本人の組織を用いた医学研究が必要なのです。

ヒト組織提供件数

2007年以降の採取件数

 肝臓  小腸
 153件  100件

 

 

肝臓組織の疾患背景

研究同意の撤回

すでに、ヒト組織を提供して頂いた方には、組織の使用を拒否する権利があります。そのことにより提供者が不利益な扱いを受けることはありません。撤回をご希望の方は下記までご連絡下さい。

お問い合わせ先

216-8511 神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1

聖マリアンナ医科大学 薬理学

電話番号 044-977-8111 (内線3531)

メールアドレス hs-yakuri@marianna-u.ac.jp

研究成果

本学薬理学講座ではヒト組織を用いて、以下に示すような研究成果を公表しています。

  1. S. Takenoshita et al., Jpn J Clin Pharmacol Ther (2018). 49, 3.
  2. M. Kawakami et al., Biol Pharm Bull (2017). 40, 1344.
  3. Y. Takeba, et al., Cancer Chemother Pharmacol (2012). 69, 154.
  4. M. Hayashi, et al., Biological and Pharmaceutical Bulletin (2011). 34, 71.
  5. Y. Takeba, et al.,Journal of Pharmacological Sciences (2011). 115, 516.

 

また、現在以下の研究課題が進められています。

  1. チトクローム P450(CYP)分子種 3A4, 2D6 の遺伝子多型と機能解析および蛋白発現と活性を測定
  2. 肝細胞癌の病態における神経内分泌の役割、腫瘍免疫の役割
  3. 肝臓組織より初代培養肝細胞を樹立し、薬物代謝酵素、輸送蛋白の研究へ応用
  4. 肝臓癌患者を対象とした癌関連因子の発現と生存率の関係性について - ヒト組織バンク検体を用いた研究 -
  5. 日本人肝チトクロームP450の各分子種における遺伝多型とmRNA、蛋白発現量及び酵素活性との関連の評価