研修・大学院

メッセージ

従来の病理学は基礎医学講座に位置されていますが,診断を中心とする人体病理学は附属病院の診療各科との関係において重要な医療業務の責任を負う立場にもあります。
 この名称変更によって診断病理学としての学問的立場が明確になり,若い医師が入局する目的も明確となりました。
病理診断業務をしている「病理医」と呼ばれる医師がいることが,世間では最近になって知られるようになりました。それは4人に1人が,がんで亡くなる時代になり,がんの確定診断には病理診断が欠かせないということが認知されつつあるからです。

病理医は直接患者さんに接することはありません。しかし,インフォームドコンセントの重要性が指摘される今,患者さんに正しい病理診断の情報を提供するために病理医はチーム医療の一員であるという認識が必要です。

「あなたがたは地の塩です」とバイブルは言います。医療に携わる人は皆そうですが,特に病理医は「地の塩」のような存在だと思います。わずかの塩が料理の隠し味として溶けて見えなくなり甘みを出すように,患者さんには見えない病理医の診断が医療の質を左右します。また,塩には防腐剤の働きがあるように,病理医は適正な医療が行われたかどうかを見守る役目もあります。そして言います。「もし塩が塩けをなくしたら,何によって塩けをつけるのでしょう.もう役に立たなくなります。」

病理医としての塩けをなくさないために,また,塩けが強すぎないように,病理学教室が高い診断能力と謙遜な心を兼ね備えた専門的病理医を育成することに貢献したいと願っています。